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【高山→大阪4時間16分】新型車両HC85でどう変わった?大阪ひだ36号乗車記[2023ダイヤ改正(16)]

2023年3月24日

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ここは外国人にも人気の観光地、飛騨の小京都とされる高山です。

ここへのアクセスとして設定されているのが、特急ひだ号。名古屋〜高山〜富山を結んでおり、先日のダイヤ改正で新型車両HC85系に統一されました。

 

基本的には名古屋発着の特急ひだ号ですが、1日1往復だけ大阪駅発着の便が存在しており、「大阪ひだ」として親しまれています。

 

今日は新型車両に生まれ変わった大阪ひだに乗車し、その魅力をお届けしたいと思います。



特急ひだ16・36号は途中の岐阜駅まで、それぞれ名古屋行きと大阪行きが連結して走ります。

留置線には4両編成のHC85系が停車中。どうやらこれから2番線に停まっている、名古屋行きひだ号と連結作業を行うようです。

 

高山駅では列車ごとの改札を行っているため、それ以外の時間にホームへ入ることはできません。

駅員さんに指定席を持っているので少し入らせてとお願いしまして、後で一回改札を受けに来ていただければ、と許可を頂いてホームへ。

特別な対応ですから、いつでもこれが許されるわけではありません。

 

2番線ホームにはこれから特急ひだ16号になる、名古屋行きの編成が停車中。一番先頭寄りにはグリーン車が連結されています。

 

先程留置線から引き上げられたHC85系は、名古屋寄りで停まっています。普通美濃太田行きが発車して、2番線ホームに入れるのを待っているのです。

 

名古屋行き編成では、連結器カバーを取り外して準備が整いました。

 

そして4両の大阪行きひだ号が入線。途中何度か停止して衝突するのを防ぎます。

 

大阪行き編成についても連結器カバーが取り外され、ゆっくり連結。

 

貫通扉を開いて幌が繋がれ、車両間の行き来が可能になります。

 

連結作業が終わった頃に改札が開始。僕がわざわざ戻らなくて良いように、駅員さんがホームまでいらっしゃって検札してくださいました。ありがとうございます。



それでは車内に入りましょう。

大阪行きにグリーン車は無く、先頭が自由席、後より車両が指定席です。

 

沿線の紅葉や祭り、花火のイメージをグラデーションで表現した、温かな色合い。座席はかためで、しっかり支えられる感じです。

2席1組の大きな窓、カーテンなので座席間にブラインドの支柱がなく、景色が遮られません。

 

そして、肘掛け部分にはコンセントが設けられました。長距離乗車でこの上なくありがたいことです。

 

フットレストは廃止されましたが、座席下の空間へ足を伸ばせるので十分快適。

 

テーブルはパソコンをおけるだけ広くなりました。お弁当なども安心して広げられます。



ホーム端に立つと、遂に大阪ひだがHC85系になったのかという実感。

かつてはパノラマ展望を楽しめる最前列を求めて列ができていましたが、もうその様子もなくなりました。

 

こちらが連結部となっていまして、前寄りには大阪行きの表示。

 

車内から見ますと、かなりフラットな印象があります。しかし、この先はグリーン車になっているので、あまり行き来はしづらいところです。

 

車内の液晶ディスプレイでは停車駅の案内中。米原から先JR西日本区間では、丸い駅ナンバリングが表示されます。



15:34 高山駅 発

あまり奥からぐわっと来ないエンジン音を立て、「アルプスの牧場」のチャイムから始まる、非常に長い自動放送が流れます。

 

大阪ひだは旅行会社の商品に入っていることが多く、今でも残っている理由の一つとされます。この時も添乗員さんがアンケートを渡して回っており、実際その様子です。

 

列車は飛騨一ノ宮駅を通過。宮川を渡った先には宮カーブと呼ばれる撮影ポイントがあります。

 

キハ85系定期運行最終日には、ここで横断幕を持った方がお見送りをしてくださり、撮り鉄の方が大勢集まっておられました。

 

非常に大きなカーブとなっていまして、山を登るにあたって勾配を緩くしているのです。

 

トンネルを抜けると飛騨川沿い、非常に景色の良い区間となります。

 

こちらは東上田ダム、川の途中にはところどころダムがあって、これらを観察するのも面白いです

どんなに素晴らしい海や川の景色でも、それが続けば単調になりがちですからね。

 

ダイヤ改正以前は停車していた飛騨萩原駅ですが、通過になりました。これによって高山駅の発車が1分遅くなっています。



まもなく下呂駅に到着というところ、飛騨川からは下呂温泉街を一望できます。

白い温泉旅館が立ち並び、作り出されていないレトロな空間に溶け込んでいます。

夕日に照らされた温泉街を流れる河川敷には、鉄橋を走る列車のシルエットが落とし込まれて、車内からも旅情を感じさせられました。

 

下呂駅からはこの車両に5人ほどの乗車。ほとんどの区画が埋まっている状態で、やはり大阪まで直通の需用は大きいものです。

 

向かいのホームには手湯があって、温泉のぬくもりを気軽に楽しめます。

 

下呂駅を発車してからも、飛騨川沿いを走ることに。柳越しの温泉街など、城崎温泉を彷彿させます。



駅を出たばかりですが、列車は少ヶ野信号場でしばらく停車します。

1953〜73年は貨物駅だったこともあり、かなり広い構内です。

 

反対方向の特急ひだ11号富山行きと行き違いました。これが遅れていたことにより、4分遅れでの出発。

 

まるで海に沈んで走っているかのような車窓、飛騨川はすぐそこです。

 

お茶畑に主張の強い桜には、いよいよ飛騨の山にも春の訪れを感じます。

 

白川口駅を通過して暫く進むと、これまでで一番の渓谷美を見せられました。飛水峡と呼ばれる景勝地であり、独特な岩々を間近で観察できます。



飛水峡というクライマックスで渓谷の景色は終わりに。

少し開けて街が広がってきました。上麻生駅周辺、七宗ひちそう町中心部を抜けていきます。

 

列車が走りやすい線路の形になったところで、ぐんぐん速度を上げていきます。遅れていることもあり、高山本線内の最高速度110km/hに達しました。

 

HC85系はハイブリット気動車で、基本的にエンジンで発電することでモーターを動かしています。

その上で、ブレーキをかける時にモーターからバッテリーを充電。加速する時にその充電した電気にも手助けしてもらうのです。

今はフル加速状態なので、バッテリーとエンジンどちらからも、モーターへ電気が来ていることが分かります。



美濃太田駅まで来ると、名古屋の近郊路線に含まれます。

JR太多線、長良川鉄道越美南線の乗換駅であり、4方向へ分岐する非常に重要な駅です。

 

ここから岐阜県と愛知県の県境、木曽川沿いを走ります。日本ラインの異名を持ち、ライン下りで栄えました。

 

左手に注目していると、ボロボロの廃墟が何軒が並んでいてこれを見るのが結構好きです。

この建物はカフェテリアゆらぎ、2007年時点では営業していたそうですが、15年でここまで朽ちてしまうんですね。

 

鵜沼駅を通過、名鉄犬山線の特急列車が停まっていました。

 

ちょうど名鉄各務原線の普通列車が追いかけるように発車。遅れていなければ、もしかしたら途中で追い抜いたりするかもしれません。

 

名鉄各務原線とかなりぴったりくっついており、鵜沼宿駅の真横を通過します。

 

高山本線では速度を落とさないまま通過できる、Y字分岐器が採用されています。

信号設備を安く抑えた上で、速達性を確保。ここを通るとかなり揺れるので、気をつけましょう。

 

名鉄岐阜駅の上を交差しまして、岐阜駅に到着です。



岐阜駅にて特急ひだ16号名古屋行きと、特急ひだ36号大阪行きの解結作業が行われます。

名古屋行きが先に出発したのに続いて、大阪行きが発車する形です。

 

まずは貫通扉を閉めまして、大阪ひだの扉が一度閉まります。

 

大阪ひだの方が米原方面へ進み、車両間にスペースが設けられました。

 

各車両で外されていた、連結器カバーを取り付けて、解結作業は完了です。

 

特急ひだ16号名古屋行きが先に出発しまして、大阪行きもそれに続く形で出発です。

 

最高速度120km/hの東海道本線、電車に引けを取らないレベルの走行を見せます。



次の停車駅は大垣駅です。

需要が大きくても新幹線が停まらない岐阜駅、大垣駅。これらから大阪駅まで利用される方も、数名いらっしゃいました。

 

遂にこの車両から養老鉄道を見ることになるとは、中々の違和感です。

 

大垣駅を出発してしばらくすると、この列車は東海道本線もう一つのルート、「新垂井線」に入ります。

 

南荒井信号場から北へ迂回するルートとなっており、東京から大阪方面に向かう下り列車が山を越える時、勾配を緩くするために作られました。

垂井駅を通らないルートであり、現在は大阪方面の特急列車と貨物列車が走行します。

 

その途中に存在するのが、新垂井駅跡です。

下り列車が垂井駅を通らないため救済措置として設置したのですが、降りる場所が違っては非常に不便で、1986年に廃止されました。

 

トンネルを抜けまして、左手には東海道本線の盛り土が見えてきました。

 

新垂井線が合流しまして、関ヶ原駅より東海道本線に復帰です。キハ85系ではこの様子を前面展望で見られたのですが、HC85系になってかなり見づらくなってしまっています。

 

東海道新幹線を間近で見られる位置で交差。運が良ければちょうど新幹線が来るかもしれません。

 

これまでずっと岐阜県を走ってきましたが、滋賀県に入り関西地方へ突入。



米原駅に到着です。

ここからはJR西日本管内に入ります。JR東海からJR西日本の方へ乗務員さんが交代です。

 

HC85系から関西圏の通勤電車を見る日が来るとは…。中々感動的なことです。

 

米原駅を発車したところで、東海道新幹線のぞみ号がやって来ました。米原駅を通過する光線です。

 

そして、こちらHC85系も気動車とは思えない走行、120km/h出している上、割と静かに走ってくれます。

 

滋賀県と言えば平和堂のイメージですが、こちらは駅前のイオンが輝かしい、近江八幡駅を通過です。



次の停車駅は草津駅。

関西本線柘植駅まで南北に結ぶ、草津線の乗換駅です。

3月末で113系・117系が引退するとのことで、HC85とのツーショットになったらアツかったのですが、残念ながら新しい223系でした。

 

草津駅から始まった、日本一長い複々線区間。石山駅で普通列車を追い抜きました。

 

滋賀県の県庁所在地、大津駅には停まらずに通過します。



逢坂山トンネル、東山トンネルを抜けて京都駅に到着です。

高山から関西圏へ直接行きたい外国人観光客にも重宝されているようですが、見たところ10人も乗っていなかったように思います。明らかに名古屋方面や高山方面に乗る方が多い印象です。

 

向日町の車両基地にはJR西日本の様々な特急列車が停まっていて、鉄道ファンにはたまらない夜景の一つだと思います。

 

山崎駅周辺では、普通列車西明石行きとの並走バトル。

一度普通列車に追い抜かされつつ、最終的にはこちら特急列車が意地を見せて抜き去る、とても面白い光景です。

 

そして、遠くの方には阪急電車が走っています。すぐ近くに東海道新幹線の高架があるので、もしかしたら3列車が並ぶことがあるかも…。

 

特急サンダーバードも停まる高槻駅ですが、この列車は通過。ここに停まっていたら後ろから追い上げてくる、新快速に追いつかれかねません。



19:44 新大阪駅 着

ツアーの方は、京都、新大阪、大阪で下車駅を選べるシステムだったよう。ここでお客さんは半分くらいになっています。

 

淀川を渡りまして、いよいよ梅田の都会の中へと侵入します。

アルプスの牧場から始まる、終着駅の放送。これで4時間以上に渡るハイブリッド気動車の旅が終わりです。



19:50 大阪駅 着

最新型の車両ということで、非常に居心地の良い車内空間。長時間乗っていても全く疲れることはありません。

 

新型車両置き換え時には廃止も噂された列車。その一方で全区画が埋まるくらいの人気で、残って本当に良かったなと思います。

 

1日1往復に限定されるものの、ぜひ高山へご旅行の際は利用してみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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