僕は現役蒸機を知る最若世代だと思っている。1975(昭和50)年12月に国鉄本線上から蒸機が消えたとき僕はまだ中学生だった。だから、蒸機最末期にほんの少しだけ垣間見たといったところだ。

蒸機世代かどうかのメルクマールの一つに、ハドソン機(車軸配置が4-6-4の蒸気機関車)を見たことがあるかということがあると思う。特にC62。東海道筋はいくらなんでもとしても、呉線や函館本線でC62を撮った人は立派な蒸機世代だろう。僕は現役のC62など見たことがないのはもちろんだ。しかし、ハドソン機は見たことがある。いや、乗ったことがある。1974(昭和49)年2月にC61 18号機の牽く旅客列車で日豊本線宮崎・南宮崎間を往復した。

↓C61牽引の旅客列車である下り535列車と上り1528列車(弘済出版社『SLダイヤ情報』より)


C61で運用される535列車の宮崎発は08:22。4分で終点南宮崎着。機関車を方転して今度は1528列車としてバック(テンダーファースト)運転で08:37発。一駅間のみの運転。行きも帰りも乗客はほとんどなく、事実上の回送列車だった。往復30分にも満たない短時間だしノロノロ運転だったが、ハドソンはハドソンだ。今の僕だったら大淀川橋梁で撮ること間違いないのだが、このときは何を考えたのか撮らずに乗ったのである。この日は曇っていたのでフィールドで撮っても大した写真にはならないと小生意気なことを考えたのだろう。お陰で駅撮りの冴えない写真しか残っていないが、ハドソン機を見たというまたとない証拠となって、いつまでも自慢したい気分なのである。別に自慢するほどのものでなく、自慢してどうなるものでもないのだが…

↓南宮崎で方転中のC61 18号機。最後まで残ったC61である。

↓宮崎に向かって逆向運転中のC61を車内から撮影
↓宮崎に到着した1528列車。ライトがだいぶ右に寄ったところに取り付けられている。