DCCの苦労話です。 | 16番ゲージレイアウトのこと..など

16番ゲージレイアウトのこと..など

16番ゲージの鉄道模型レイアウト・白縫鉄道川正線の制作記です。

 鉄道模型は、車両工作も楽しいし、ストラクチャーやシーナリィの工作も楽しいし、もちろん、走らせるのも楽しいのですが、なぜか日本では、走らせて楽しむ人は多くないと言われています。

 この点、真偽のほどは?ですが、そうであるなら、走らせて楽しむ人が増えて欲しいですね。

 

鉄道模型の楽しみいろいろ

 

 そのためにも、DCCだけでなく、カンタムエンジニアやサウンドボックス、ティーノスなどの走りを楽しむ仕組みは、それが何であれ普及して欲しいと思っています。そして、私たちがどの仕組みを選択しても、ストレスなく楽しめると嬉しいですね。

 

 ところが、私が選択したDCCは楽しくもありますが、苦労が多く、ストレスを感じることも多々ありました。

 

 日本型16番では、今のところ、特注品などを除くと、DCC仕様の市販車両は見当たりません。このため、ユーザーがデコーダーを組み込まなければなりませんが、ここで、いきなり苦労が生じるのです。以下、私の経験を記してみます。

 

レイアウトの風景(城址を望む)

1:デコーダーを簡単に組み込めない車両があります。

 デコーダーの搭載を考慮した製品もありますが(過去記事1 過去記事2 参照)、そうでないものは、分解の上、モーターやライトの配線を取り出して、デコーダーと結線しなければなりません。

 特にプラ製品の分解は厄介ですし、デコーダーを置くスペースにも悩みます。私が初めてDCC化したのはKATOのC56でしたが、先達の方々のサイトがなければ無理だったと思います。

 

DCCデコーダー&搭載機C56

2:当然ですが、海外のデコーダーを選ぶと説明書の解読に苦労します。

 国内の製品(永末システムなど)は上級者向けのものが多いようで、私には敷居が高く、ESUやDigitraxなど海外の製品を使っています。国内の店舗では日本語の説明書を付けてくれますが、それも万全ではなく、配線方法やファンクションの割り当て(※)は、原語の説明書を解読しなければならないことがあります。

 例えば、ESU の LokPilot V4.0 の説明書(ESUのマニュアルダウンロードページ)は結構なボリュームがあり、該当部分を探すのに苦労しましたし、もちろん解読にも苦労しました。

 

※ファンクションの割り当て:DCCのコントローラーには写真のようなボタンがあり、それぞれにファンクションが割り当てられています。例:3=室内灯の点灯 など

 

私のDCCコントローラー

私のコントローラーは、MRC の Prodigy Express2です。

 

 こうした苦労の末、デコーダーを搭載できても、いろんな原因で壊れてしまいます。あくまで私の感想ですが、デコーダーは、工業製品としてはあまりにも脆弱だと思います。

3:デコーダーの絶縁を怠ると、すぐに焼損します。

 これまでに私が購入したデコーダーは、本体の絶縁被膜は施してありましたが、スピーカーはむき出しの状態でした。

 このため、デコーダーの搭載スペースに余裕がない車両では、絶縁を怠ると、スピーカーと他の配線が接触しショートを起こします。そうなると瞬時に焼損です。

 試運転の途中で焦げ臭いにおいがした時は泣きたくなりました。

 それ以来、絶縁には万全を期しています(過去記事1過去記事2(再掲))。

 

デコーダーと搭載箇所の絶縁施工

4.因果関係は不明ですが、こんなことをしたらデコーダーが壊れました。

a:プログラミングをしただけなのに、デコーダーが壊れました。

 

 DCCでは、サウンドの音量や最高速度、加速・減速の割合などを調整することができ、この作業をプログラミングと呼びます。

 私は、プログラミングの後に、機関車が動かなくなるという悲しい経験をしました。途中で予期せぬバグが起きたのでしょうか。

 

b:複数の機関車を置いた状態でプログラミングしたら、プログラミングしなかった機関車が動かなくなりました。

 

 通常、プログラミングには専用の線路を使います。このため、DCCのコントローラーからは、プログラム用と走行用の2種類のフィーダー線が出ています。

 私のコントローラーは、走行用の線路を使ったプログラミングもできるため、何気なく、複数の車両を置いた状態でプログラミングを行ったのです。結果、無関係の1両が壊れました。

c:駅に進入するC58がオーバードライブを起こしたら、留置線の8620が壊れました。

 デコーダーには許容電流があります。C58には許容電流の小さいデコーダーを搭載していたのですが、知らぬ間に従輪の動きが渋くなっており、駅の入り口のカーブポイントで立ち往生し、コントローラーがオーバードライブを表示しました。

 おそらく、モーターに大きな負荷がかかったのでしょう。C58は無事でしたが、なぜか留置線の8620が動かなくなりました。

 

オーバードライブを起こしたC58と壊れた8620

5.原因に心当たりがなくても、デコーダーは壊れます。

  • さっきまで調子よく走っていたのに、突然動かなくなった。
  • 昨日はちょっと調子が悪かったけど、今日はどうかな、やっぱり駄目だ。

 こんなことが何度かあったので、DCCの電源投入の度に緊張感を覚えるようになりました。

 電源投入後、蒸気機関車のかすかな唸りが聞こえ始めると、心底ほっとします。

 

私のレイアウトのコントロールパネル

6.DCCって、やっぱりお金がかかります。

 私がこれまで入手したデコーダーは、動力車用に限ると、サウンド付きが十数個、サウンドなしが2個です。サウンドなしは2個とも健在ですが、サウンド付きは2個しか生き残っていません。

 ちょっと壊れすぎですよね。コストパフォーマンスが低すぎます。

 

 でも、上記4と5の中には、デコーダーが壊れたのではなく、アドレス(※)が勝手に書き換わった事例があったかもしれません(そんなこともあるそうです)。

 

 そんな時は、書き換わったアドレスを、コトローラーで読み取れば良いのですが、私のでは無理でした。読み取りの機能はあるのですが、これまで一度も成功した試しがありません。

 もっと上位の機種にすれば良かったのかもしれませんね。“安物買いの銭失い”という諺が頭をよぎります。

 DCCを快適に楽しむには、必要な機材に投資を惜しまない思い切りが必要なのかもしれません。

 

アドレス:通常、DCCでは全てのレールに電流を流すので、レール上の全ての車両に電流が流れています。その状態でコントローラーが特定の車両を呼び出すため、車両ごとに番号(=アドレス)を付与します。アドレスが勝手に書き換わったら、コントローラーから呼び出せなくなります。

 

ヘッドランプを光らせて唸りを上げる9600

 

 以上が私の苦労話です。

 

 この記事を書く前は、みなさんにDCCをお勧めして締め括ろうと思っていたのですが、書き進めるうちに、お勧めしてはいけないような気がしてきました。

 

 そもそも、自分が末永く楽しみたいからDCCを普及させたい、などという不埒な考えがいけませんね。今回は、自分で自分に鉄槌を下しておきます。

 

 さて、これから先、DCCに限らず、鉄道模型の走りを楽しむ仕組みはどんどん発展していくことでしょう。鉄道模型が、もっともっと楽しくなることを願って記事を締め括ります。

 

 本日も、ご訪問ありがとうございました。