わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【1日1本】日本一の最長私鉄路線を走破する特急「リバティりょうもう39号」に全区間乗車!

 

2023年2月26日(日)

本日は東武鉄道のターミナル、浅草駅へとやってきました。日曜日の夜ということで人は多めです。

今回はこの浅草駅より、1日1往復限定で運行されている「東武伊勢崎線全線を走破する列車」へと乗車していきます。

東武伊勢崎線は浅草~伊勢崎駅114.5kmを結ぶ路線で、その営業距離は近鉄大阪線を凌ぎ「日本一長い私鉄路線」となっています。途中の東武動物公園までは「東武スカイツリーライン」という愛称がついていますが、これも正式には東武伊勢崎線の一部です。

こちらの路線図は、東武の複雑な特急ネットワークとそのおおよその運行本数を線の太さで可視化したものになります。浅草を出てしばらくはどの特急もおよそ同じ方向へ進みますが、東武動物公園で半数以上が日光・鬼怒川・会津方面へと向かうため伊勢崎線を離れます。

東武動物公園以北でも引き続き伊勢崎線を走る特急はりょうもう〕〔リバティりょうもう〕のみとなります。その〔りょうもう〕〔リバティりょうもう〕もほとんどの行先が「赤城」または「太田」となっており、最終的に伊勢崎線の終点である伊勢崎まで到達することのできる特急は1日1本のみというわけです。

ということで今回乗車するのが、浅草19時39分発の特急〔リバティりょうもう39号〕伊勢崎行です。何食わぬ顔で「伊勢崎」と表示されていますが、この行先が浅草駅で表示されるのは1日1回だけです。

19時を過ぎた浅草駅は特急が続々発車していきます。中には「春日部」のような比較的短距離の特急もある一方で、この時間からでも「東武日光」や「赤城」という遠方の行先が見られるのは非常に興味深いところです。

浅草駅の特急ホームは3・4番線となっているので、そちらへ進んでいきます。

特急ホームには有人の中間改札があるため、ここで特急券を提示して入りましょう。

ホームの横には、7月にデビューする予定の新型車両「スペーシアX」の大きな撮影パネルもあります。

3番線に入りしばらくすると、東武500系特急電車「リバティ」が入線してきました!!

シャープな顔でとってもカッコいいです!!

この列車は太田始発の特急〔リバティりょうもう40号〕からの折り返し運用で、浅草駅には19時25分に到着。車内清掃が完了すると乗車可能となります。「Revaty」の語源は、運用の自由度の高さを表現する"Liberty"と、それによる運用の多様さを表現する"Variety"を組み合わせたことから来ています。3両単位での分割・併合が可能となっており、本日これから乗車する〔リバティりょうもう39号〕も全区間3両編成で運行されます。

東武の浅草駅は隅田川の方向に向かって大きくカーブを描いていることから、ホームと列車の間に大きな隙間の開いている箇所があります。これを解消するため先頭寄りの乗車口では渡り板が設置されるのですが、驚いたことにホームを余らせるくらい編成の短いこの列車でも渡り板を使わなければいけない乗車口がありました。

東武の特急列車は全車指定席。またスペーシアに連結されている個室を除き、JRでいうところの「グリーン車」に相当する上級座席もなく、全て普通席での運行です。

発車時刻も近いので、いよいよ車内へ。

座席は青紫色のモケットに包まれた座席が並びます。背中の形状にフィットするようななめらかなカーブを描いた背もたれが特徴的です。

背面テーブル、モバイルコンセント、観光情報誌は各席に装備。また車内では強力なフリーWi-Fiも飛んでおり、さすが2010年代デビューの特急という感じがします。

19時39分、列車は定刻通りに浅草駅を発車。この先とうきょうスカイツリー曳舟、北千住、東武動物公園、久喜、加須、羽生、館林、足利市、太田、木崎、境町、新伊勢崎に停車します。

浅草駅を出るとすぐに列車は大きく右へカーブを描き、隅田川を渡ります。夜の明かりに照らされていてとても綺麗です。

天井のデザインにも曲線が多数使われ、明るくて清潔感のある車内。

浅草駅を発車した時点での乗車率は概ね2~3割程度といったところでしょうか。

列車はとうきょうスカイツリー曳舟といきなり連続して停車。どちらもかつては特急通過駅でしたが、とうきょうスカイツリーは「業平橋」から改称された2012年より、曳舟は2020年よりそれぞれ一部の特急列車が停車するようになりました。

浅草から伊勢崎までの特急料金は1,250円です。ただし2023年3月18日のダイヤ改正で値上げが予定されており、この区間(91~120km)の特急料金は200円増の1,450円へと変更されることになっています。

日曜日の夜ということで、車内あちこちでは缶ビールを開けたりおつまみに手をのばしたりする人の姿もあります。日光や鬼怒川へ向かう観光特急とは異なり、車内にグループ客は少なく、総じて静かな環境が保たれています。

19時51分に列車は北千住駅へと到着。ここは全ての東武特急が停車する主要駅です。

ここ北千住からはかなりの乗車があり、車内の乗車率は一気に6~7割くらいまで上がりました。通路側もあちこち埋まる場所が出てきており、さすがの盛況ぶりです。

北千住を出ると荒川を渡り、足立区を北上してすぐに埼玉県へと入ります。この辺りはまだ街明かりや民家の明かりがしっかりと見えます。

ここで夕食タイム。旅のお供といえばお弁当…ですが、今回はせっかく浅草からの出発ということで「松屋浅草」のデパ地下で購入した古市庵さんの「一色寿司(橙)」です。定価972円のところ、閉店間際で2割引となっており777円で手に入れることができました。

2種類の味のサーモンがご飯の上に敷き詰められており、いくらが華やかさを添えています。私のようなサーモン好きにはたまらない逸品で、とろける美味しさです!

美味しいサーモンに舌鼓を打っている間にも、列車はぐんぐん北上していきます。この区間複々線となっており、特急列車は急行線を走って次々に駅を通過していきます。

驚いたことに、東武アーバンパークラインと接続する春日部駅さえも通過してしまいます。実は〔りょうもう〕〔リバティりょうもう〕は全て春日部駅を通過し、北千住~東武動物公園駅間をノンストップで走行するのです。逆に日光・鬼怒川・会津方面の特急や東武アーバンパークラインの特急については全て春日部駅に停車するようです。

そして20時19分に列車は東武動物公園駅へと到着。先の路線図でも示した通り、ここは東武日光線との分岐駅になっており、また「東武スカイツリーライン」という愛称の終着地点でもあります。

向かいのホームでは、東急田園都市線中央林間駅から来た急行 南栗橋と接続します。地元横浜で見慣れた東急の車両が、まさかこんなところまでやってくるとは…。

続いて列車は久喜駅にも停車。ここではJR宇都宮線と乗り換えが可能です。

先ほどの東武動物公園とこの久喜では、真ん中2号車のドアのみ開きます。降車の準備がギリギリになると降り遅れてしまう恐れもありますので、注意が必要です。

そして驚くべきことに、ここ久喜から先は満席なのだそう。ここにきて初めて「満席」というワードを車掌さんから聞きましたが、まさか浅草時点でも北千住時点でもなく久喜で聞くことになるとは…。

久喜駅での停車時間はわずかですが、ホーム上の特急券券売機には列ができていました。どう考えても〔リバティりょうもう39号〕の停車時間中に捌ける人数ではなさそうに見えましたが、果たしてこの列車へ乗り込もうとする人々だったのでしょうか。

ホーム上でも、〔リバティりょうもう39号〕の特急券が全て発売済み、満席となっている旨が放送されていました。これと同時に向かいのホームには普通 館林行が入線。特急券をお買い求めでないお客様は向かいのホームの館林行をご利用ください」という残酷なアナウンスが流れていました。全車指定席の特急列車ですから、間に合わなかった方は残念ながら普通列車で移動するほかありません。

続いて列車は加須駅羽生駅へと停車。次第に埼玉県北部地域へと突入していきます。

この2駅に特急が停車する時間帯は限られており、朝の上り(浅草方面)ならびに夕方の上下列車のみとなっています。東武動物公園を出てから比較的短い間隔で停車していますが、どの駅でも若干名ずつの降車がしっかりとあり役割を果たしています。

群馬県に入り、20時47分に列車は館林駅に到着。ここでは4分ほど停車します。

群馬県・栃木県の県境付近では、東武の路線ネットワークは一気に複雑になります。館林~太田駅間を結ぶルートは伊勢崎線のほかに「小泉線」もありますが、特急列車は全て足利市経由の伊勢崎線ルートで運行されます。小泉線はあくまでも支線のような立ち位置です。

また、館林から分岐する路線でもう一つ「佐野線」があります。こちらは佐野駅でJR両毛線と接続した後、終点葛生まで続きます。浅草発葛生行の特急〔リバティりょうもう43号〕も運行されていますが、1日1往復限定の特急を除いては全て普通列車での運行です。

21時01分に足利市駅へと到着。立派な高架駅で、降車客もかなりいました。

JR両毛線足利駅とは渡良瀬川を挟んで約1km離れた位置にあります。JRの駅は普通列車が北関東を東西移動するだけですが、こちら東武の駅は東京都心からの特急列車が1時間に1~2本発着するため、対東京における利便性は東武の駅の方に軍配が上がりそうです。

21時09分、列車は太田駅に到着。ここでは何と6分間も停車します。

館林で分かれた小泉線とはここで再び合流。そして赤城方面、伊勢崎方面の二手に分かれます。

先にも述べた通り、これより先ほとんどの〔りょうもう〕〔リバティりょうもう〕は桐生線に直通し赤城へと向かいます。伊勢崎線が本線のような位置づけであることを踏まえると、その本線の終点であるはずの伊勢崎に向かう特急が1往復しかないことは違和感でしかありません。

ここまで来ると、車内はガラガラ。1時間ほど前の北千住での喧騒や、久喜で流れた「満席」の放送がまるで嘘のようです。

太田駅を発車すると、列車は木崎、境町、新伊勢崎に停車します。実質支線のような扱いを受けている区間にしては停車駅が多いですが、これは線路が単線であるために通過駅を多く設定してもそれほどの速達性は見込めないことを考えれば極めて合理的です。

どの駅でも乗車客・降車客ともほとんどいませんが、列車は時刻表通りに進んでいきます。

新伊勢崎駅東武単独の駅ですが、伊勢崎市の中心市街地に最も近い駅です。市役所もこの駅の近くにあります。

浅草駅を出発してから遠路はるばる約2時間、21時38分に列車はようやく終点の伊勢崎駅に到着。「伊勢崎」の駅名標とリバティが並ぶ光景は1日のうちで今のこの瞬間しか見ることができません。

東武のホームは1面2線で、JRのホームと同じ高さにあります。浅草駅から100km以上先にある本線の終点がこのホームであると考えると感慨深い思いもありますが、一方で1日1往復の特急を除いては全て普通列車のみの発着というのは何だか寂しさもあります。

ホームへと上がる階段の近くには、「太田・足利市・館林方面」という近隣地域の主要駅はもちろんのこと、その先の「北千住・とうきょうスカイツリー・浅草方面」の文字もしっかりと出ています。伊勢崎線スカイツリーラインを分けて書いてあるので別路線のように感じてしまいますが、正式には全て「伊勢崎線」です。この限られたスペース内であっても「久喜」や「東武動物公園」より「とうきょうスカイツリー」を優先して表示する部分に東武のプライド(?)を感じます。

JR・東武とも1階部分に改札口がある伊勢崎駅。南北を繋ぐコンコースは日曜日の22時前ともなるとしーんとしています。

伊勢崎から浅草へと向かう1日1本限定の直通列車は、7時22分発の特急〔りょうもう10号〕浅草行。そう、何と上りに関しては「リバティりょうもう」(500系)ではなく「りょうもう」(200系)として運行されています。そのため先ほど乗車してきたリバティの車両が翌朝の「伊勢崎→浅草」で充当されることはなく、これとは別に200系を毎朝どこかから回送して伊勢崎まで持ってくる必要があるというわけです。

2010年から2013年にかけて段階的に進められた、伊勢崎駅の高架化工事。駅前広場も広くとられ、列車が到着すると乗客がぞろぞろ駅前広場に待機する自家用車に各々乗り込んで家路を急ぎます。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。