清流新岩国駅で待つことおよそ30分、やってきた11時26分発の錦町行きに乗り、いよいよ錦川鉄道初乗車の旅がスタート。
路線名の『錦川清流線』の名が示す通り、ひたすら錦川に沿って進んでいきます。
車窓から見える住宅の屋根は、この地域独特の石州瓦を用いた赤色のものが目立ちます。これだけでも、静岡では見ることのできない風景。旅に出たという実感がどんどん増してきます。
こちらは清流みはらし駅。
イベント列車しか停車しない、いわば完全に観光に特化した駅で、当駅へ通じる道は存在しないことから、列車でしか訪問不可能な秘境駅となっています。私が乗るのは定期列車のためもちろん通過しますが、その際は徐行をし、観光案内が放送されていました。
車内にいた同業者たちがいっせいにカメラを構え、思い思いに撮影する様子はなかなかに滑稽ではありましたが、私も気にすることなくその輪の中に加わります。『旅の恥は掻き捨て』とはよく言ったもの。人目を気にしたら、楽しむことはできませんよね。
たまには後面展望も。
こんな山の中を走り、さらに沿線人口は希薄なこともあって、錦川鉄道は現在廃線の危機に晒されているとのこと。ホテルで見た県内ニュースでも、その話題に触れていたような記憶があります。少しでも経営の手助けとなればと思い、車内で\2,000のフリーきっぷを購入。できればこの先も存続していただきたいと、いち鉄道ファンとして陰ながら願っています・・・
清流新岩国駅を発車しておよそ50分、列車は定刻の12時17分に終点錦町駅に到着しました。
旧線名である『岩日線』の名が示す通り、線路はその先島根県方面へと延びており、雙津峡温泉までの区間を『とことこトレイン』なるゴムタイヤ遊覧車を運行しているようです。もっとも平日である今日は、そんなものはもちろん運行していないですが・・・
ちなみにこのとことこトレイン、未成線を活用した地域活性化への貢献が高く、2004年(平成16年)には日本鉄道賞なる賞を受賞しているようです。
そしてこちらはイベント列車『清流みはらし列車』として運用される、JR東日本から譲渡されたキハ40系気動車。
でもなんか地味な感じですね。個人的にはもうちょっとド派手にラッピングなどしてもいい気もしますが、どうなんでしょう。
ひと通り構内は見終わったので、改札を出て駅舎を撮影します。
なかなか趣のある駅舎のお出迎え。沿線唯一の有人駅で、錦川鉄道のグッズなどを売る売店もあります。荷物になるので何も買わなかったのを、ちょっとだけ後悔。何でもいいから軽くてジャマにならないものを、1つくらい買ってもよかったですよね。
ここでの滞在はわずか14分。名残惜しくはありますが、すぐに引き返すため、乗ってきた車両に再び乗り込みます。
折り返しの車内は、私を含め乗客は7~8名ほど。ただその中には行きにも見た顔がチラホラ見られます。まぁこれは行き止まりのローカル線ではよくある光景。私を見て、彼らもそう思っていることでしょう。
列車は1時間ほどで、起点の川西駅に到着。これで錦川鉄道は無事完乗となりました。
この川西駅、JR岩徳線との分岐駅で、キロポストもしっかり設定されていましたが、駅自体は1面1線の棒線駅。分岐駅としては最小クラスの駅といえるかもしれません。
これから未乗線区である岩徳線で徳山駅まで往復し、その後今夜のホテルのある岩国駅まで戻ってこようと思います。