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【日本海最長の廃線140km】羽幌線沿岸バス途中下車の旅(羽幌〜稚内)[史上最長片道切符の旅(85)]

2023年2月21日

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国鉄羽幌線の羽幌駅跡近くに位置する、こちらは羽幌ターミナルです。

駅跡地に建てられたカラフルなタイル張りの壁。

かつて長距離輸送を担った鉄道はバスへ代替され、街の玄関口は場所をそのままに、駅から沿岸バスのターミナルへ変わりました。

 

日中でお客さんはいらっしゃいませんが、広々とした待合室。窓口では乗車券の販売が行われており、札幌〜豊富を結ぶ長距離バス特急はぼろ号が走ります。

 

今回は羽幌から引き続き、路線バスに乗車。141.1kmに及ぶ長大廃線、羽幌線沿いを途中下車しつつ北上します。



12:03 羽幌ターミナル 発

バス乗り場は頭から突っ込んでいる形、地方のバスターミナルでたまに見られる構造です。

 

鉄道駅があった歴史を今に残す、「停車場線」から国道232号へ戻ります。



左手に見えてきたのは、羽幌自動車学校

ここの免許宿泊パックがあまりにも面白くて、羽幌までの片道交通費負担、羽幌遊歩ユースホステルの宿泊費1泊2食付き1500

そして休日には日帰り可能な範囲で無料観光案内までしてくださいます。その範囲がとんでもなくて、一例として挙げられているのが「宗谷岬・富良野のラベンダー畑・北竜・名寄のひまわり畑など」

 

…いや、稚内と富良野を並列にするな(笑)

初心者の方に限るため残念ながら僕はもうできないのですが、知っていたら本気で考えたレベルです。

羽幌遊歩ユースホステルHPはこちら

 

再びオロロン鳥にお見送りされまして、築別炭鉱へ羽幌炭礦鉄道が接続した築別駅跡の集落へ入ります。

また、名寄と羽幌を結ぶはずだった未成線の名羽線は、ここから深名線の朱鞠内駅まで向かう計画でした。

 

羽幌町から初山別村に入りました。

人口1,081人(2022年12月)の小さな村、カントリーサインには日本最北の天文台しょさんべつ天文台が描かれています。

 

羽幌線はちょっと丘になった、やや高めの所を走っていたようです。

 

初山別村の中心市街地に入りました。地方でも出店しているセイコーマートですが、ここはその一例としてよく話に出てくる店舗。後ほど訪れて紹介したいと思います。



初山別のバス停出た先、右手に注目していると金駒内陸橋が現れます。

羽幌線の廃線跡で、最も状態良く残っている構造物です。今でも走っていそうなくらいで、突然真横に現れると迫力があります。

 

その先、国道から日本海側の脇道に逸れました。前回乗ったバスは初山別村内での事故による通行止めで、羽幌で運転を取りやめました。岬町と呼ばれるこの辺りで事故が起こっていたようです。



12:36 しょさんべつ温泉 着

国道から外れるためかつてはバス停の利用に予約が必要だったそうですが、現在はそれがなくなり気軽に立ち寄ることができます。

 

今回はしょさんべつ温泉岬の湯さんへ日帰り入浴。

大人500円で、利用可能時間は6:30〜8:00・11:00〜22:00です。

 

こちらはロビーから撮影したものですが、露天風呂からは物々しい日本海の景色を見られました。

氷点下で寒すぎる場所のはずなのに、一旦入ってしまえばとても和みます。

 

晴れた日には利尻富士まで見られるそうです。かなり遠いので結構難しそうですが…。



13:44 しょさんべつ温泉 発

思ったより早く上がったので、羽幌方面のバスで初山別の市街地へ戻ります。

 

13:51 初山別 着

初山別ターミナルとなっているのが、初山別駅跡地です。

 

国道沿いのメインストリートに出てきましたが、やはりその規模感は小さめ。食堂もほとんど見られず、公共施設と銀行が目立つばかりです。



その中でこの村の買い物を支えているのが、セイコーマート初山別店です。

先にも触れましたが、小さな集落でも出店するセイコーマートの代表例として取り上げられます。

 

かつては商店が存在した初山別村中心部ですが、これが閉店したことで買い物難民地区に。そこで初山別村村長がセイコーマート本社に出店を直談判したのが始まりです。

 

店舗の場所は村役場に近い国道沿い。村は年間3万円という破格で土地を用意しました。

既存の配送ルート上に位置し、従業員もなんとか集まり、2014年に出店までこぎつけました。

 

店舗あたり収支はトントンで良いとされていたそうですが、1人あたりの購入額が大きく黒字を達成しているとのこと。初山別村に住んでいる方々にとって、無くてはならない存在です。



14:32 初山別 発

小さな村ですがオタク層が好きそうな話の詰まった場所。一般の旅行者でも温泉や天文台、ハスカップなど十分楽しめると思います。

 

再び北上しまして、また金駒内陸橋を観察。

実は現役時代の内陸橋はもっと長く、第一〜第三初山別陸橋と呼ばれる陸橋が、崖に張り付くようにしていたそうです。

地盤の関係で盛り土ができなかったためと言われていますが、潮風にさらされて危険と判断され、2000年頃に撤去されています。

 

現在残っているのは危険がない、崖から繋がっていた一部分に過ぎません。本来なら道路にせり出すような高架橋が連なっていて、今とは比べ物にならないくらいの迫力だったんでしょうね。



初山別村から遠別町に入りました。

牧場の向こうに歌越駅跡地が位置します。遠別町は稲作の北限となっており、メロンをはじめとした野菜の栽培が盛んです。

 

名も無い川に架かる鉄道橋跡も、僅かに確認できました。



15:01 富士見第1 着

市街地が広がる遠別川の手前、道の駅えんべつ富士見に来ました。2020年春にリニューアルオープンしており、かなり新しく居心地の良い道の駅です。

 

お土産屋さんとフードコートによって構成されており、これらが一体化していることで開放感があります。

 

フードコートには3店舗入居しており、メニューも豊富でとても美味しそう。

 

ここで選んだのは、えんべつコロッケ。サクッとした衣にホクホクのじゃがいもには、タコやホタテといった海の幸が入っています。

 

これより上には富士見ヶ丘公園があって、パークゴルフやキャンプを楽しめるそうです。



16:11 富士見第1 発

だいぶ夕方になってしまいました、待っていた路線バスで北上します。

 

遠別の中心街に入ったところ、遠別出張所で運転士さんが交代されました。

 

遠別駅跡には大きなバス待合室が建てられていました。お手洗いは大丈夫か聞いてくださったので、どうやらここに備えられているよう。

 

遠別町は人口2,400人の町、1km四方に満たないうちに市街地から出てしまいます。

 

この辺りは鉄道廃線跡がどこか、ほとんど分からなくなります。しかし、更岸駅と干拓駅跡地には駅名標まで残っているそうです。

 

てしお温泉夕映も、しょさんべつ温泉と同様に予め予約が必要だったそうですが、ちゃんと停まるようになって気楽に訪れられます。



16:43 天塩2のりば 着

天塩町の中心街にて下車。

旭川から稚内を結ぶ宗谷本線は天塩川に沿って北上しますが、その河口はここにあります。

 

かつては木材を天塩川の船運で運んでおり天塩町もそれで栄えたのですが、鉄道の登場により貨物列車へ切り替えられて衰退。

ニシンも穫れなくなり、かつて繁栄した名残を残すばかりです。



天塩駅跡地に向かって歩いているところ、カフェ「あげいん」さんに興味深いものを発見。

んっ!?これは駅名標ではないですか!

 

レプリカなどではなく、現役時代からのものだそう。のっぺりした昭和感が良いですね。

位置関係としては天塩駅の目の前となります。

 

羽幌線跡は国道232号となっており、それに面しているのが道の駅てしおです。

 

ここにはポケふたが設置されていて、これまで走って来た日本海オロロンラインをモチーフにしていそうなデザインでした。



市街地から15分ほど、てしお温泉夕映まで歩いてきました。

日帰り温泉もやっていますが、初山別で入ったのでまあいいやという気分。

 

その代わりにレストランで、しじみラーメンを頂きます。

 

天塩町はしじみが名物、寒い中歩いた後でのラーメンは最高です。

しじみの旨みが詰まったスープ。じんわり、しみじみ、しじみ。



19:56 てしお温泉夕映 発

お世話になった沿岸バスさんも、これが最後の乗車です。

 

天塩町市街地を通りまして、この先真っ暗な原野へ。

 

2020年10月に新橋へ架け変えられた、天塩大橋を渡ります。

それまで使われていた天塩大橋は1957年の開通で、更に前は国内の一級国道で唯一、渡船が存在していたそうです。そんな状況じゃ鉄道が必要な訳ですね。

 

これで天塩川を渡ると、幌延町に入ります。



20:29 幌延駅 着

羽幌線と宗谷本線の乗換駅だった、幌延駅に到着。ここまで来たらもう安心できる領域です。

 

特急停車駅でありながら、完全に静まり返っています。みどりの窓口は15:00までで無人状態、お客さんも他にいらっしゃいませんでした。

 

幌延駅は現在2面2線構造の駅。

向かいの島式ホーム一番奥に3番線が存在しており、そこから羽幌線が発着していました。



22:53 幌延駅 発

2時間以上待ちまして、雪を踏み締めるようなサーッという音と共に、最終の特急サロベツがやってきました。

 

駅には券売機も無いので、車内で車掌さんからきっぷを購入します。

 

点と点を線で結んでいるはずの鉄道、しかし間の区間が真っ暗すぎて、飛行機に乗っているような瞬間移動に似た感覚です。

 

次の停車駅は豊富駅、沿岸バスはここまで来ています。油分を含んでいるのが特徴的な豊富温泉があり、すごくオススメされます。

いつか行きたいと何度も言っているのですが、今回も素通りしてしまいました…。

 

そしてこれまでとは比べ物にならない、立派な稚内の市街地が広がってきます。



市街地の真ん中に位置するのが、南稚内駅。

史上最長片道切符のルートとしてはここまでなのですが、宿の関係上もう一駅進みます。

明日はここから分岐していた、天北線の代替バスに乗ることとなります。

 

もうすぐ日付が変わろうとする深夜、日本最北端の駅、稚内駅に到着です。

 

23:47 稚内駅 着(3分遅れ)

3分遅れで到着したことを謝っていましたが、冬の夜の宗谷本線でこの遅延は冗談抜きで定刻です。

 

何度も来たことがある稚内駅。

最北端の駅だからといって特に何も感じなくなりましたが、史上最長片道切符の旅としてついにここまで来た!という特別感はあります。

 

稚内駅まで特急列車で来ているのは、ほとんどの方が観光客。ホーム上で皆さん記念撮影されていました。

 

明日もまた路線バスをなぞる、路線バスに乗り続けることとなります。まもなくそのバス路線すら消えてしまう、限界の公共交通の様子をお楽しみください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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