僕が現在所有する三脚は3本。一番古いのがハスキー4段の通称ハイボーイ。1984年頃の購入だから、40年ほどになる。米国クイックセット社製のものだ。脚の一つに“made in USA”と刷られたシールが貼られている。ペンタックス67をはじめニコンFやD一桁のモータードライブ付きに80(70)ー200/2.8という重量級の機材をよく支えてくれた。しかし、あの重さは半端なく、車利用以外はとてもじゃないが持っていこうという気にならなかった。

↓米国クイックセット社のHUSKY 4段(ハイボーイ)。同社での製造は既に終わっていて、現在は日本国内で作られている。

そこでその欠点を補うために購入したのがジッツオの3段。小ぶりだが堅牢という評判に惹かれた。これも購入して30年ほどになるだろうか。脚を伸ばしただけでは自分の目線に届かないが、徒歩鉄や海外旅行などでは重宝した。いかんせん全高が低いのだが、かといって大きな不満もなかった。しかし、撮影地では見劣りするのが残念といえば残念だった。

↓フランス製のGITZO。同社は以前機関銃の台座を作っていたということを聞いたことがある。その後、マンフロットと同じイタリア資本の元に組み込まれて現在に至るらしい。

そこで、そこそこ軽くて全高が稼げる三脚を探した結果、ベルボンのネオカルマーニュというカーボン三脚にたどり着いた。5年前のことだ。脚にウレタンのようなウォーマーが巻かれていて、冬の北海道では手が凍えることなく扱えてとても重宝した。これが終の脚となるのかなぁと漠然と思っていた。そして、このベルボンにSiruiというメーカーの自由雲台を取り付けて使っていた。ほぼほぼ満足していたのだが、三脚座の付いていない望遠ズームを伸ばしたところに1.4倍のテレコンをかまして取り付けるとどうしても下にずれてしまって構図がピシッと決まらず、その下にずれる分を考慮に入れてカメラをセットしなければならないというのが唯一の使いづらさであった。

↓僕が所有する三脚の中で唯一の国産ものVELBON。ただし、自由雲台は中国のSIRUI製。

そんなとき、先日大井川鉄道に出かけた際に久しぶりにハスキーを持ち出し使ってみた。フジフイルムX-T5を購入したところ、これにフィットするまともなLグリップがなく、アルカスイス規格の自由雲台に取り付けられないため、ベルボンの代打として持ち出した。新たな発見だったのは、ハスキーだと望遠ズームにテレコンをつけたまま縦位置にしても下ぶれやぐらつきがほとんどないことであった。ハスキーはすごい!と今更ながら驚いた。

↓X-T5に70-300mmと1.4倍のテレコンを装着したものをハスキーにセットして撮影。大井川鉄道福用ー大和田にて(2023.1.2)

そんなわけで、思い切ってハスキーの雲台を購入して、ジッツオやベルボンにつけようかとも思ったが、雲台だけでも結構な値段がする。そこで今一度自由雲台をチェックすることにした。するとユラユラの原因はどうやらカメラに取り付けたLプレートの方にあるのではないかと気がついた。手元にあったクイックリリース用の普通のプレート(グラ付き防止のツメの付いたもの)をカメラ底部に装着して自由雲台に取り付けてみると、縦位置にしてもユラユラすることなくピシッと構図が決まった。

よく利用するJAL機に搭乗する際に三脚は預けることになるが、最近は預ける際に(破損防止のためか)パン棒を取り外すように言われ、3ウェイ雲台は面倒だなぁとも感じていた。いずれにしろハスキー雲台に大枚を叩くことなくすんだが、ハスキーの実力を再認識した次第である。