王子駅南口から降りて目にした建物 | 国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

国立公園内を走る鉄道の紹介と風景の発見
車窓から眺めて「これはいい」と感じた風景の散策記

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[ 国立公園鉄道の探索 ]

王子駅南口から降りて目にした建物

 

 

 

JR京浜東北線・王子駅は、東京メトロ南北線や都電荒川線との接続駅でもあり乗降客の多い駅です。

改札は北口、中央口、南口と三か所ありますが、その中で南口は一番小規模な改札です。

 

 

 

 

王子駅の西側には飛鳥山公園があり、

一番山側を走る湘南新宿ラインの車窓には樹影が迫り寄せます。

 

 

 

 

 

 

王子駅南口改札を出て西側に向かうと、「人道橋」があり

そのまま飛鳥山へ向かうことができます。

 

 

 

この橋は、絶好の列車展望地点です。

王子駅のある京浜東北線の他、

駅はありませんが、宇都宮線、高崎線、

貨物線とそこを利用している湘南新宿ライン、

さらには高架線には

東北北海道、上越、北陸、秋田、山形の各新幹線が通っています。

 

 

文字通り鉄道交通の大動脈です。

さらに地下には

線路と直交する形で首都高速道路中央環状線が走り抜けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は飛鳥山公園の反対側、東側に向かいます。

 

 

 

都電荒川線の踏切りを渡ります。

 

 

 

すると、紺碧の空を背景に一風変わった建築物が現れました。

この建物、いったい何者でありましょうか。

 

 

この建物北側の石神井川、その下流方面には

なにやらチューブのようなものが建物の下に向かって伸びています。

 

 

 

 

このチューブのように見えたもの、

これは首都高速道路中央環状線の遮音壁でした。

 

首都高中央環状線は、

この建物の下で「飛鳥山トンネル」に入り、

「飛鳥山公園」の下を潜り抜けます。

 

 

 

 

そして「飛鳥山トンネル」があるが故にこの建物が登場することになります。

 

この建物は「換気塔」もしくは「換気所」と呼ばれています。

 

外気から新鮮空気をトンネルに取り込み、逆にトンネル内の排気ガスなどを排出する役割を担っています。

 

その際は、排ガスはそのまま放出されるわけではなく、

電気集塵機で粒子状浮遊物質(SPM)を除去したり、低濃度脱硝装置で二酸化窒素(No₂)を低減させるなどの

環境対策がとられているようです。

 

 

 

 

「換気所」の一角には首都高「飛鳥山トンネル」の緊急時非常口もありました。

 

 

「換気所」の下で「飛鳥山トンネル」に入った「首都高中央環状線」は石神井川の流れに沿う方向で

飛鳥山と鉄道の真下を通り抜けています。

 

もし首都高が高架で、あるいは一部切り通されて飛鳥山を越えることになっていたなら、

その景観は著しく棄損されたはずです。

 

しかし、飛鳥山直下をトンネル通過とするに際しては、

環境対策や安全対策をしっかり講ずる必要もありました。

そのため「換気所」のような建物が誕生することになりました。

 

 

飛鳥山公園には「飛鳥の小径」と呼ばれる探索路も整備されています。

静かな散歩道の真下では、たくさんの車が高速道を行き来しています。

 

 

 

 

 

 

原生自然美を後世に遺していこうとする「国立公園」、

人口稠密地帯の潤いの場として開かれた「都市公園」、

保全対策の難しさを一概に比較することは出来ません。

 

但し、

膨大な人為圧力に晒されている自然に対して

日々様々な環境対策が継続されている点に関しては、

都市域の景勝地を管理することの方が

より多くの課題解決を迫られている、

と感じられました。