青森~室蘭のフェリー「15年ぶり復活」へ 背景にトラック運転手「2024年問題」



津軽海峡フェリーは2月2日、青森市と北海道の室蘭市を結ぶフェリー航路を10月に開設すると発表した。15年ぶりの復活。同社は今後、国土交通大臣に対し航路開設の許可を申請する考え。

青森~室蘭航路に投入される「ブルーマーメイド」。【画像:津軽海峡フェリー】

航路は青森~室蘭の205km。青森発は昼行便で所要時間は6時間45分。室蘭発は夜行便で7時間になる。運航時刻は青森9時00分発→室蘭15時45分着、室蘭20時00分発→青森3時00分着。青森発は月曜日を除き運航し、室蘭発は日曜日を除き運航する。

船舶は青森~函館航路で運用しているフェリー「ブルーマーメイド」を使用。総トン数8820トン、全長約144mで、車両積載能力は12mトラック71台分か乗用車230台分になる。旅客定員は583人。

津軽海峡フェリーは現在、青森~函館航路で1日8往復、大間~函館航路で1日2往復を運航している。青森~室蘭航路の開設で3航路に増強されるが、「ブルーマーメイド」が青森~室蘭に移るため青森~函館は2往復減って1日6往復になる見込みだ。同社は青森~室蘭航路の開設について「多様なお客様のニーズに対応した輸送サービスの選択肢を充実させる」としている。

青森~室蘭を結ぶフェリーは東日本フェリー(現在の津軽海峡フェリー)が運航していたが、燃料費の高騰や利用者の減少で2008年に廃止されていた。復活の背景には、働き方改革関連法の施行でトラック運転手の労働時間規制が強化される「2024年問題」がある。

「ブルーマーメイド」の座敷席(スタンダード)。体を横にして休憩を取ることができる。【画像:津軽海峡フェリー】

これまでトラック運転手は残業や休日労働の規制がなかったが、2024年4月1日以降は時間外労働時間の上限が年間960時間に規制される。その一方、フェリー乗船時の特例は従来通り。乗船中は休憩時間として扱い、本来確保しなければならない休憩時間から差し引くことができる。このためフェリー各社はトラック運転手の拘束時間を減らせるフェリーの需要が増加すると見込んでおり、運送業者への売り込みを活発化させている。

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