飛鳥山公園のD51 853と都電6080 | 国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

国立公園内を走る鉄道の紹介と風景の発見
車窓から眺めて「これはいい」と感じた風景の散策記

[ 国立公園鉄道の探索 ]

飛鳥山公園のD51 853と都電6080

 

 

 

 

 

旧渋沢庭園などの史跡や博物館もある

東京都北区の飛鳥山公園。

その一角では、

静態保存されたD51蒸気機関車と都電6000形電車を見ることもできます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛鳥山公園」のある「飛鳥山」。

 

山の形状をしている地形としては、

東京都区部で一番低いのではないか、

ということで測量がなされた結果、

表示されている通り25.4mと計測され、

港区の愛宕山(25.7m)よりも低いことが確認されました。

 

もっとも上野の山よりは少々高い感じも致しますが。

 

但し、

「一番高い」とか「一番低い」というのは、

名所価値として重要な要素となります。

 

ここは素直に「東京で一番低い山」ということに異議を唱えないことにします。

 

 

公園の南側にD51と都電6000形電車が保存されています。

 

 

 

 

 

 

 

屋外保存されている「D51 853」 それでも屋根は設置されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1943(昭和18)年に兵庫県の国鉄鷹取工機部で製作され、

吹田、梅小路、姫路、長岡、酒田の各機関区に

配属され、この間1,942,471.3kmを走行、

1972(昭和47)年に退役したことなどが記されています。

 

 

この他、データベースなど見ますと、

1962(昭和37)年前後には、重油併燃装置も取り付けられたようです。

この時期からなんでしょうね、石炭から石油へ急速にシフトしていくのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D51 853号機は、運転台に入ることもできます。

 

「D51 853」と明示された下部に

「47-8 大宮工」という表示が見られます。

これは、1972(昭和47)年8月に国鉄大宮工場で展示用の整備が行われた、

ということのようです。

 

因みに、鉄道博物館は、旧国鉄大宮工場、現在のJR東日本大宮総合車両センター近くにあり、

車両の入り替えが可能な状況です。

 

 

 

 

 

 

保存された蒸気機関車で、内部に立ち入ることができるとは。

極めて稀な保存車だと思います。

重厚な近現代史と相対している、そんな思いが致しました。

 

 

 

 

 

 

各計器とも不鮮明な部分もありますが、

一番左側の計器・圧力計ははっきり読み取れました。

 

製作当初のボイラーの最高使用圧力は14㎏f/c㎡、

戦後は15㎏f/c㎡まで昇圧されたはずです。

 

現在用いられているSI単位だと1.471MPa(メガパスカル)という表示になるのでしょうが、

やはりここは15㎏f/c㎡=水頭150m、

この感覚の方がピンときます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D51形蒸気機関車は、

1936~1945年にかけて1115両製造され、台湾やソ連樺太へ輸出された機関車を含めると

合計1184両が製造された、と記録されています。

 

傑作品とも称されたこの蒸気機関車、実に夥しい部品により構成されていることが改めてわかりました。

組み立てる過程では、リベット加工や溶接作業も必要で、多くの熟練工員が携わっていたはずです。

 

「別海町鉄道記念公園」の記事でも触れましたが、

戦後早い段階で、ソ連樺太向けのD51が30両製作輸出されています。

戦中戦後も機関車製造に掛かるサプライチェーンが

維持されていたこともうかがい知ることとなりました。

 

 

 

次は隣の都電6080へと移動します。

 

 

 

 

 

人魚姫の像の向こう側に都電6080電車が保存されています。

 

 

 

 

 

 

 

こちらも車内に入ることができます。

以前、大分荒らされていた時期もありましたが、

その後整備が進み、今は綺麗な状態です。

 

 

 

座席は木製のベンチになっておりました。

 

現役で走っていた当時は緑色のシートだったはずですが、

さすがに屋外保存用車両となると

そこまでの復元は難しかったものと思います。

 

 

それにしても、今は落書きなども見られません。

見学者のマナーが向上した、ということになりましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保存された都電6080の上にもしっかり屋根ができていました。

この車両の維持管理に携わっている北区の尽力に敬意を表したいと思います。