「日本のイベントと臨時列車(80、90年代)」をひたすら取り上げてみようという長期企画です。手元の時刻表はもとより、当時の鉄道ダイヤ情報やインターネット上の情報を参照しつつまとめてみました。
第13回目は、徳島県徳島市で開催される阿波おどりに関する臨時列車の運転履歴を追っていきます。有名過ぎる祭りですので、調査前から「昔からたくさんの臨時列車が設定されていたのだろう」と高をくくっていましたがそんなことはなく、私が確認したところでは、意外にも1983年が初めてでした。また運行パターンもすごぐ単調に見えますが、過年度比較することで、阿波踊り臨設定のコツ、ポイントが見えてくるようです。
お祭り、催事の概要
阿波おどり
会 期 |
毎年8月12〜15日 |
会 場 | 徳島市内 最寄り駅:徳島駅 |
お祭り、催事の概要 |
400年の歴史を持つ祭りで、期間中は、徳島市中心街で、昼は「選抜阿波おどり大会」、夜は演舞場での「阿波おどり」が行われます。私達がメディアで目にすることが多いのは夜の部ものでしょうか。 |
臨時列車の運行概要
阿波おどり関連の臨時列車(1980〜99年)
臨時列車のパターンの大きな流れですが、1983年をはじめとして、高松行の臨時優等列車(急行、または特急)が1本、徳島郊外への普通列車が数本設定されているという「パターン」は20年続いています。1987年が快速になってしまった理由も不明ながら、1988、89年で時刻表で確認できなかったのは、運転されていないのか、時刻表の締切に間に合わなかったのか、現時点では定かではありません。
高松行の臨時優等列車ですが、1983年の急行阿波号にはじまり、徳島にはじめて設定された特急うずしお号の増発便、その後1992年からは現在も続く特急阿波踊り号と脈々と続いているのですが、このスジは高松到着が日付が変わらないうちに設定されているのではと推察しますが、明確な理由を記載するほどの根拠を集められていないません。
【凡例、備考】
1980 | 設定確認できず |
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1981 | 設定確認できず |
1982 |
当該月の時刻表がないため、確認できず |
1983 |
急行 阿波52号 9318D 徳島発22:08 → 高松着23:34 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島発 板野 2本、阿南、穴吹、鴨島 各1本 |
1984 |
急行 阿波52号 9318D 徳島発22:05 → 高松着23:38 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島発 板野 2本、阿南、阿波池田、鴨島 各1本
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1985 |
急行 阿波52号 9318D 徳島発21:49 → 高松着23:38 運転日:8月12〜15日
普通列車 板野→徳島 1本、 徳島発 板野 2本、池谷 1本(鳴門線に接続)、阿南 1本、阿波池田 1本、鴨島 1本
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1986 |
当該月の時刻表がないため、確認できず |
1987 |
快速 9320D 徳島発21:50 → 高松着23:22 運転日:8月12〜15日 ※途中主要駅のみ停車のため快速としているが、時刻表紙面には「快速」表記なし
普通列車 徳島→阿波池田 2本(うち1本は穴吹まで定期)、徳島→鴨島 1本、徳島〜阿南、南小松島 各1往復 運転日:8月12〜15日
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1988 |
設定確認できず |
1989 |
設定確認できず |
1990 |
特急 うずしお72号 9072D 徳島発22:14 → 高松着23:34 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→鴨島、阿南 各1本 運転日:8月12〜15日
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1991 |
特急 うずしお86号 9086D 徳島発22:15 → 高松着23:34 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→阿波川島、阿南 各1本 運転日:8月12〜15日
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1992 |
特急 阿波踊り号 9086D 徳島発22:16 → 高松着23:35 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→阿波川島、阿南 各1本 運転日:8月12〜15日
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1993 |
特急 阿波踊り号 9086D 徳島発22:16 → 高松着23:35 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→阿波川島、阿南 各1本 運転日:8月12〜15日
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1994 |
特急 阿波踊り号 9088D 徳島発22:17 → 高松着23:37 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→阿波川島、阿南 各1本 運転日:8月12〜15日
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1995 |
特急 阿波踊り号 9088D 徳島発22:18 → 高松着23:34 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→鴨島、阿南、板野 各1本 運転日:8月12〜15日
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1996 |
特急 阿波踊り号 9088D 徳島発22:13 → 高松着23:34 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→鴨島、阿南、板野 各1本 運転日:8月12〜15日
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1997 |
特急 阿波踊り号 9088D 徳島発22:13 → 高松着23:34 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→鴨島、阿南、板野 各1本 運転日:8月12〜15日
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1998 |
特急 阿波踊り号 9088D 徳島発22:20 → 高松着23:37 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→鴨島、阿南、板野 各1本 運転日:8月12〜15日
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1999 |
特急 阿波踊り号 9088D 徳島発22:36 → 高松着23:43 運転日:8月12〜15日
普通列車 徳島→鴨島、阿南、板野 各1本 運転日:8月12〜15日
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使用された車両について(推察含む)
高松行臨時優等列車は、各々の定期列車との共通運用であり、他の運転所などからの借り入れ、ジョイフルトレインの投入はなかったと推察します。
急行阿波号であれば、キハ58系、65系が、特急うずしお号、阿波踊り号はキハ185系が運用にはいっており、阿波踊り号においては1998年以降にN2000系気動車が運用にはいっていたケースも有ったのではないかと推察します。
当時の時刻表紙面での臨時列車
1983年の阿波おどり臨が掲載された高徳本線の紙面より。この企画でさかのぼってみたときにはじめて確認できた年でした。高松行の急行阿波52号は全席自由席で運転されています。2022年の阿波踊り号と比較してみましたが、徳島発時刻は2022年の22:48発と比較して、40分ほど早い時間での出発でした。この阿波52号は板野で先行する定期普通列車と接続し、板野〜高松間への乗降客の利便を図っていたと読み取れます。その他、板野行の臨時普通列車が2本設定されています。
交通公社の時刻表 1983年8月号より
1987年8月号紙面より。この年の高松行の臨時列車は急行でも特急でもなく、快速列車になっている珍しい年でした。その理由はよくわかりません。この快速列車設定に伴って、376Dのダイヤが、本来臨時快速の「前の」出発が、「後の」出発に繰り下げ出発に変更されています。強いていえばこのダイヤ変更で22時台の臨時列車を1本創出したといえます。それにしても徳島発の22時前後の時間帯は、’80〜’90年代の優等臨時列車の「指定席」と見え、この頃の観覧客の帰宅ピーク時間帯だったと見るのが自然なのでしょうか?
交通公社の時刻表 1987年8月号より
本日は以上です。
まとめページはこちらから
参考資料 1980年〜1999年の交通公社時刻表、JTB時刻表、JR時刻表、列車名変遷大事典 三宅俊彦著
参考ページ:徳島市阿波おどり、阿波踊り(ともにWikipedia)、