わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【デビュー33年差】「新旧ひだ」HC85系&キハ85系を乗り継いで名阪移動してみた!

 

2023年1月1日(日)

今回は、東海道本線名古屋駅へとやってきました。これから大阪を目指したいと思います。

みなさんなら名古屋~大阪間を移動する際、どのような手段を用いるでしょうか。

「スピード・快適性重視」という場合は、やはり東海道新幹線でしょう。〔のぞみ〕および一部の〔ひかり〕であれば途中停車駅は京都のみ、所要時間はたったの50分ほどです。

「安さ重視」であれば、JRもしくは近鉄普通列車を乗り継いで移動することになります。時間がかかり複数回の乗り換えが発生しますが、JRの「青春18きっぷ」や近鉄株主優待乗車証を使えば新幹線の3分の1~4分の1程度の費用で移動することもできます。

watakawa.hatenablog.com

あるいは「スピード・快適性と安さのいいとこどりがしたい」という場合もあることでしょう。この場合はやはり近鉄特急がオススメです。運賃に加え特急料金が必要となりますが、新幹線よりは安く、それでいて快適性も担保されています。

そんな中、今回私が大阪へ向かうべく利用していくのは、JRの特急〔ひだ〕です。

何を言っているんだ、ひだ号は名前の通り飛騨高山に行く特急じゃないか。
こんなのに乗っても大阪には永遠に着けやしない。
わたかわも厄年でいよいよ頭がおかしくなったか?(謎理論)

そう思われた方もいるかもしれません。確かにひだ号は岐阜県の飛騨高山やその先の富山を目指す特急です。発車標にも確かにそのように表示されています。

しかし、実は1日1往復限定で大阪発着のひだ号が存在します。

運行区間は上図の通りで、この大阪発着のひだ号は名古屋へ立ち寄ることなく直接大阪~高山駅間を結んでいます。

これにうまく時間を合わせれば、「岐阜駅でひだ号とひだ号を乗り継ぐ」ことで快適な名阪移動ができるのでは…!? とひらめいてしまったのです。

というわけで、名古屋から大阪までの乗車券を携え、いざ移動を開始していきます。

ちなみに余談ですが、東海道本線(在来線)経由での同区間営業キロ190.4キロとなっており、200キロ未満のため「名古屋市内」「大阪市内」の表記とはなりません。

まず乗車するのは名古屋16時05分発の特急〔ひだ15号〕高山行です。名古屋発着のひだ号は1日10往復ありますが、このうち半数にあたる5往復が高山までの運行となっています。

使用車両はHC85系。2022年7月にデビューした、JR東海のハイブリッド式特急気動車です。側面の行先表示器も色鮮やかで視認性の高いものとなっています。

watakawa.hatenablog.com

岐阜までの乗車時間は短いこともあり、普通車を利用していきます。まだ非常に新しいこともあり車内はとても綺麗で、岐阜までしか乗車できないのが惜しく感じるほどです。

〔ひだ15号〕は通常4両編成での運行ですが、この日は最繁忙期ということで増結され8両編成での運行となっていました。

列車は定刻通り、16時05分に名古屋駅を発車。ニューバージョンの「アルプスの牧場」の車内チャイムが飛騨高山への優雅な旅行に華を添えます。

名古屋~岐阜駅間では座席の向きが進行方向とは逆になります。所要時間は20分程度のため、わざわざ座席の向きを転回しないよう車内放送でも案内がなされています。

せっかくなので、おやつに名古屋駅のホーム上で購入したおにぎりでも食べることにしましょう。(唐突)

「なごやめし」とも称されるほど数ある名古屋名物の中でやはり人気の高いのが「みそカツ」。このおにぎりはそんなみそカツをご飯と海苔で豪快に包み込んでおり、本来ご飯の中に隠れているはずの「おにぎりの具」の概念を超越してきています。ボリュームがありとっても美味しかったです。

客室内のモニターでは、エンジンとバッテリーを器用に使いこなしながら走行している様子を随時確認することができます。走行中はエンジンの使用を基本としつつも、効果的にバッテリーでアシストすることで高速かつ環境負荷を小さくしながらの運行が可能となっています。

また最新式の特急車両ということで、普通車・グリーン車とも全ての座席にコンセントが設置されています。車内のWi-Fiも安定しており、JR東海のクオリティの高さを感じます。

名古屋~岐阜駅間の特急料金は1,490円JR東海のA特急料金は通常50キロまで1,290円のところ、繁忙期につき200円増となっています。

ちなみに使用している座席は「2号車12番D席」。この座席番号をよーく覚えておいてくださいね。

座席が逆向きのため、景色が背後から車両前方に向かって流れていきます。

お正月ということで下呂や高山あたりまで乗車するとみられるグループのお客さんが多く利用されていますが、増結の甲斐もあってかそこまで激しい混雑であるという様子ではありません。

名古屋を出てから19分、16時22分に岐阜駅へと到着。

列車はここで進行方向を変え、東海道本線から高山本線へと入ります。

名古屋駅で見た時は先頭車両だった部分にテールライトが灯り、発車していきました。本当はここから先が景色の素晴らしい区間だろうに…という意味では残念ですが、私は何としても大阪へ向かわねばならないので仕方のないことです。

さて岐阜駅では、ここから先大阪方面へと向かうひだ号を待つことになります。

岐阜駅は2021年夏の「最長片道切符の旅」でも下車・宿泊した街の一つですので、その時の記憶が蘇ります。東海名物の「スガキヤのラーメン」を食べ、疲れ果てた体を妙に埃っぽいベッドの上で休めたのも今となっては良い思い出です。

少し時間があるので、駅構内にあるスタバで時間を潰していました。元日でも営業しているのは本当にありがたいことです。

約1時間後、改めて岐阜駅の4番ホームへ。先ほど〔ひだ15号〕で降り立ったのと同じホームです。

次に乗車するのは、岐阜17時44分発の特急〔ひだ36号〕大阪行となります。いよいよこれで大阪へ行けるというわけです…!!

そして列車がやってきました。こちらは1989年より長年活躍してきた「キハ85系」です。

ひだ号としては2023年3月のダイヤ改正をもって引退し、また名古屋~紀伊勝浦駅間を走る「南紀号」での運用も同年6月いっぱいをもって引退となることが発表されています。

岐阜駅では、名古屋行「ひだ16号」と大阪行「ひだ36号」の切り離し作業が行われます。キハ85系のこうした姿が見られるのもあとわずかということになります。

HC85系の色鮮やかな行先表示器とは異なり、キハ85系は昔ながらの方向幕です。「特急 ひだ 大阪」の文字を出すのは1日の中でこの〔ひだ36号〕1本のみです。

通常〔ひだ36号〕は3両編成での運行ですが、こちらも繁忙期につき1両増結して4両編成での運行となっていました。

先ほどまでと同様に、こちらでも普通車指定席を利用していきます。モケットの柄や座席の形状がHC85系のそれと大きく異なるのは一目瞭然です。HC85系ももちろん非常に快適なのですが、このキハ85系の普通車は座面のクッション性の高さも大きな魅力の一つとなっています。

切り離し作業にやや時間を要したのか、列車は定刻よりも2分ほど遅れて17時46分頃に岐阜駅を発車。車内は先ほどまでよりも混雑しており、こちらもやはりグループ客が多い印象です。

HC85系と異なり、残念ながらコンセントの設置はありません。一応Wi-Fiはありますが、HC85系と比べると不安定な印象です。走行区間の違いなどもあるかもしれませんが…。

座席番号はやはり同じく「2号車12番D席」。ひだ15号とひだ36号で全く同じ番号の座席を利用することで、「同じ列車で名阪移動をしている」ことの実感を少しでも沸かせたいという思いです。まぁ全くの同一列車ではないんですけどね。

岐阜を出ると列車は大垣、米原草津、京都、新大阪と停車して終点大阪に至ります。辺りはすっかり暗くなり、車窓は期待できませんが、夜の東海道の旅をしばし楽しむことにします。

岐阜県内最後の停車駅は大垣駅です。かつて夜行快速「ムーンライトながら」の終着駅として首都圏でも毎晩見ることのできた行先で、主に東海圏の普通・快速列車の終着駅としても見ることの多い駅です。周囲に新幹線の停車駅もないので、こうした"大阪ひだ"のような特急の存在は貴重です(他に「しらさぎ」も停車します)。

真っ暗闇を駆け抜け、その約30分後には滋賀県米原駅へと到着。ここでJR東海からJR西日本へと切り替わります。隣のホームには新快速の223系(?)も停車しており、早くも関西圏が近づいていることを実感します!

列車は真っ暗な夜の東海道本線を疾走していきます。辺りは田園風景の広がる区間ということもあり夜になるとこれといった車窓は期待できないのが正直なところですが、次々に駅を飛ばしていく光景はやはり特急ならではです。

なお東海道本線琵琶湖線内)では、他にも定期在来線特急として〔びわこエクスプレス〕が運行されています。しかしこちらは米原を出ると彦根近江八幡野洲、守山、草津南草津…というようにかなり停車駅が多く、今回乗車している「ひだ36号」の停車駅がいかに絞られたものとなっているかを実感することができます。

米原に続き滋賀県内2つ目の停車駅は「草津」。首都圏に住む人にとって草津と聞くと群馬県草津温泉が連想されますが、もちろんこれとは別です。

草津駅は県内屈指の乗降客数となっており、県庁所在地の大津駅をも凌ぎ1日約2.4万人の乗車人員を誇ります(2020年)。年によっては一つ隣の南草津駅に1位を譲ることもあるようです。

現に今回も、ここ草津駅で降りていかれるお客さんを多数お見受けしました。一時期はすぐ近くに新幹線駅を設置する計画もあったようですが、特に進展もない今となっては東海圏へ乗り換えなしで行けるこの”大阪ひだ”の存在はかなり大きいはずです。

草津を出ると、次はいよいよ京都です。”大阪ひだ”は県庁所在地の大津駅を通過します。

次第に街明かりも増えてきて、いよいよ京都が近づいていることを実感します。京都の一つ手前にある「山科」という駅で北陸方面からやってくる湖西線と合流しますが、そちらの特急が遅延しているようで、ひだ36号は数分の間入線待ちをすることになりました。こうした光景も長距離特急ならではです。

定刻よりも5分ほど遅れ、19時22分頃に京都駅へと到着。新幹線接続もあるほか、在来線も各方面にのびるターミナル駅です。やはりここでも多数の方が降りていかれました。

発車標を見てみると、この後も7・8番線には続々特急がやってくるようです。〔サンダーバード38号〕とは発車順序が入れ替わっているようですが、どちらも大阪行なので乗り継ぎ客の心配をすることはないでしょう。むしろ〔サンダーバード38号〕から〔スーパーはくと13号〕へ乗り継ぐお客さんがちゃんと乗り換えられたのか…は気になるところです。

しばらくすると列車は大阪府に入ります。京都~大阪間は列車本数も多く、また新快速は130km/hでかっ飛ばしますので、その合間を縫って走るこの”大阪ひだ”がボトルネックになってしまってはいけません。キハ85系は130km/hとまではいかずとも100km/h超で走る瞬間があり、平成初期の気動車特急の本気を見れた気がします。

列車は新大阪駅を発車。次がいよいよ終点の大阪駅となります。

大阪駅がすぐそこまで迫っているのを実感する瞬間といえば、やはり淀川でしょうか。飛騨の山中を抜け、関ヶ原の峠を越え、ここまで遥々キハ85系がやってくる光景も残りわずかとなりました。

19時52分頃、列車はようやく終点の大阪駅に到着。定刻よりも2分ほど遅れての到着となりました。方向幕は「回送」へと切り替わり、発車標には「当駅止」の文字が出ています。

岐阜駅からの所要時間は2時間ほど、名古屋~大阪駅間にかかった時間は待ち時間も含めて約3時間50分となりました。

岐阜駅での接続があまり良くないこともあって名阪移動の方法としてはあまり現実的ではありませんが、れっきとした特急での移動ゆえ快適であることには違いありません。

またこのルートを「キハ85系」と「HC85系」で乗り比べながら移動できるのは、2022年8月(ひだ15号にHC85系導入)から2023年3月までの約7ヵ月間のみ。ダイヤ改正後も大阪ひだはHC85系で運行が続けられますが、大阪駅の大屋根にキハ85系がやってくる景色はまもなく見納めとなります。乗っておこうという方はお早めに!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。