KATO クモハ52(1次車)飯田線4両セット が入線しました | 趣味のNゲージと鉄道写真

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「趣味のNゲージ鉄道模型」という名称で続けてきましたが、鉄道写真の記事を載せる機会が増えたことからブログ名を変更しました。
内容は自分への備忘記録が中心で、旧型車両の話題に偏る傾向があります。拙い内容ですが、ご覧頂ければ幸いです。

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新年明けまして、おめでとうございます

本年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

昨年は世の中で驚くような出来事がいろいろとありましたが、なんとか年を越せたことに深く感謝しています。そして今年こそは、以前通りの自由度のある平穏な生活を取り戻せる年にしたいものだと願っています。拙ブログの方は今年もNゲージの話題と昔の写真を中心に、月2回くらいのペースで更新を維持していくつもりです。宜しければ、引き続きご来訪頂きたくお願い致します。

 

 

 

さて、今回も模型ネタです。

年末に、うちの鉄道にもKATOの流電(1次形)が入線しました。いつもながら、とても素晴らしい出来栄えだと思います。今回のセットは、飯田線で見られた両先頭が1次形のクモハ52で、中間に32系由来のサハ48を挟んだオール狭窓の4輌編成となっています。内容は クモハ52×2輌、サハ48×2輌で、どちらの形式もパッと見た感じがそれぞれそっくりなのですが、よく見るとしっかり作り分けがなされています。量産を前提としたプラスティック製品で、よくここまでやってくれたと感心するばかりです。では、早速見ていくことにします。なお写真は入線整備前のものです。


 

流電について

流電は京阪神急電用として登場し、S11年に狭窓の1次車が1編成、S12年に広窓の2次車が2編成の合計3編成が製造されました。また同じS12年には半流形の顔をした増備車(後のクモハ53007・008、クモハ43810など)も2編成製造されています。京阪神急電とは、当時の京阪神区間で走っていた追加料金不要の急行電車のことで、現在の新快速に相当します。編成はそれぞれサロハとサハを間に挟んだ4両編成で、流線形の先頭部や下回りまでスカートで覆われた存在感のあるスタイルで人気を博した様です。その後、カラーリングの変更もあった様ですが、戦時体制が強くなりS17年には急行電車の運行が中止されてしまいます。そしてS20年にモハ52006が戦災で廃車となり、6輌あったモハ52は5輌となってしまいます。戦後のS24年に京阪神急電が復活しますが、翌年には80系に追われ阪和線に転じます。阪和線では特急として使われましたが、ここでも70系に追われ、S32~S33年にかけて先頭車は飯田線に集結、付随車の多くは横須賀線に転出しています。飯田線転入当初は普通列車用でしたが、快速列車として使用されるようになり青とオレンジの快速色を纏って42系と混ぜて運用されました。その後快速色は湘南色に変更されますが、この時塗分けデザインが2次車登場時のものになります。S36年に80系の準急伊那が登場すると一般運用で使われる様になり、1970年代になると塗分けデザインを維持したままスカ色に変更されました。流電の編成は30番代の運用に用いられ、晩年は朝晩中心の運転が多くなり昼間は電留線等で待機をすることが多かった様です。そしてS53年11月、80系に後を譲り惜しまれながら引退しました。現在はモハ52001が吹田総合車両所、モハ52004がリ ニア・鉄道館に静態保存されています。

 


 

模型について

①車体側面

クモハ52002(M車) 2-4位側(左が2位) 向き:辰野⇔豊橋

偶数車(辰野方先頭車)の側面の様子。狭い窓がぎっしりと並んでいるのが1次車の特徴です。ノーシル・ノーヘッダーの車体と相まって、美しい側面をしていると思います。パンタグラフはPS11のままです。写真の2-4位側は、空気側となっていて床下にはコンプレッサーやエアータンクなどが並んでいます。反対の1-3位側は電気側となっていて抵抗器や主制御器などが並んでいます。

 

 

サハ48024 2-4位側(左が2位) 向き:辰野⇔豊橋

この車輛は辰野方の付随車で、サボ受けが2位側ドアの右斜め上にあることや、車体裾やドア横のリベットが1列になっていることが特徴です。残存するリベットの位置も021とは作り分けられています。トイレについては021・024の2両とも豊橋方にあり、曇りガラスになっています。また位置呼称についてですが、この024は左側(辰野方)に②マークがあることから、こちらが前位(2位)となります。

 

 

サハ48021 1-3位側(右が1位) 向き:辰野⇔豊橋

豊橋方の付随車です。021の方は、サボ受けが車体中央の窓下にあること、車体裾やドア横のリベットが2列であること、1位(2位も)のドアがプレスの模様が無いタイプであること、等が特徴となっています。また位置呼称ですが、021は右側(豊橋方)に①マークがあるので、こちらが前位(1位)となります。つまり、024とは前後の定義が逆になっていて、しかも021では前位(1位)にトイレがあるということになります。同じ構造の2両なのに、なんとも不思議なで話ではありますが、これがファンにとって旧形国電の面白いところなのかも知れませんね。

 

 

クモハ52001(T車) 1-3位側(右が1位) 向き:辰野⇔豊橋

こちらは奇数車(豊橋側先頭車)で1-3位側が空気側となります。002とは向きが異なるため電気側と空気側が逆配置になっています。この写真では分かり難いですが、001は002に比べてテールライトの取り付け位置が前寄りになっています。パンタグラフはPS13化されています。

 

 

②前面

左:クモハ52001(T車)、右:クモハ52002(M車)

そっくりに見える2両ですが、次の部分が作り分けられています。おでこの雨樋の取り回し、ヘッドライト脇の手すりの有無、正面窓上の手すりの有無、正面窓枠の形状、正面窓両脇の手すりの長短、助手席側窓枠下部の四角いベンチレーターの有無、助手席側ワイパーの位置、テールライトの取付け位置(001は002より内側かつ高い位置にある)、サボ下ステップの長短、ジャンパ栓の有無(まだ取付けていないので穴が開いています)、ジャンパ栓左脇のステップの位置、私が気が付いたのは以上ですが他にもあるかも知れません。なんだか間違い探しのクイズをやっている様な気分になってきました…。

 

 

③妻面

左がクモハ52001、右がクモハ52002。偶数向き・奇数向きの違いによる配管の位置、ジャンパ栓受けの有無、左下にある局部検査票差しの位置などが作り分けられています。

 

     

左写真:トイレのある側の様子。左がサハ48021(前位)、右がサハ48024(後位)。

    どちらも窓の埋めてある部分がトイレになっていて、その上にはベンチレーターがモ

    ールドされています。右下にはジャンパ栓受けも表現されています。さらに妻面両脇

    の雨樋縦管の形状、銘板の位置、車体裾部のリベットの位置、などが作り分けられて

    います。

右写真:トイレの無い側の様子。左がサハ48021(後位)、右がサハ48024(前位)。

    こちら側は、妻面両脇の雨樋縦管の形状、銘板の有無、車体裾部のリベットの位置、

    局部検査票差しの有無、などが作り分けられています。

 

 

④台車・パンタグラフ周辺・付属パーツ

     

左写真:クモハ52002の台車DT13(M車用)の様子。因みにテールライトは後寄り。

右写真:クモハ52001の台車DT13(T車用)の様子。こちらのテールライトは前寄り。

 

     

左写真:サハ48の台車TR23の様子。

右写真:パンタグラフ周辺の様子。001(手前)はPS13、002(奥)はPS11。他にもパンタ

    周りの配線のモールドやランボードの形状などが作り分けられています。さらに001

    には足止めも表現されています。

 

付属パーツ類です。ジャンパー栓受けとケーブルが別パーツになっています。ケーブルは黒で実感的です。(画像の上下が逆さですね…すみません)

 

 

⑤走りについて

このセットではクモハ52002がM車となっており、スロットレスモーターを搭載したFW付き動力ユニットで、滑らかにとても良く走ります。この新しいスロットレスモーター、特に低速が効いていいですね。以前のモーターより音も静かになったと思います。トラクションタイヤは装備していませんが、これは他の飯田線シリーズの車両と同様です。進行方向により、ヘッドライト・テールライトが切り替わり点灯します。全体的にとても良い印象を持ちました。

 

 

⑥クモハ52の1次形と2次形の違い

左:クモハ52004(2次形)、中央:クモハ52001、右:クモハ52002

左が2次形の004で、最後まで張り上げ屋根で残った2輌(003、004)のうちの1両です。張り上げ屋根とはキハ58を連想して頂ければ良いかと思いますが、雨樋を屋根の肩部分に乗せて側面が屋根まで回り込んだスタイルをいいます。流電は元々この張り上げ屋根のスタイルで登場しましたが、後年の更新等で3輌が普通屋根に直されており、今回製品化された001、002は普通屋根となっています。普通屋根と張り上げ屋根で印象が大きく異なりますね。

 

 

奥:クモハ52004(2次形)、手前:クモハ52002(1次形)

1次形と2次形を斜め上から見た様子。こうやって2つ並べると、普通屋根と張り上げ屋根、グローブベンチレーターの位置(個数)、側面の窓配置、など大きな差異があることがお分かりになるかと思います。

 

 

 

終わりに…

写真は2015年に発売になった広窓(2次形)を含む4両セットで、これに含まれるクモハ52004をつくるためのノウハウが今回の製品の布石になった様です。見た目を大きく犠牲にせず点灯式にしたテールライトは、改めて凄いと思っています。この時の相方はクモハ54119でしたが、今回は前後ともクモハ52。しかも夢にまで見た (?) 狭窓1次形。次の広窓2次形セットがファイナルということでファンとして残念ではありますが…、でもここまで製品化して頂けて本当に感謝です。KATOさん、今回も素晴らしい製品をありがとうございました。

私の宝物がまた一つ増えました。

 

 

 

参考資料

今回の記事を書くにあたって「NEKO MOOK 3055 写真で綴る飯田線の旧型国電」「RM MODELS 329 2023年2月号」の2冊を参考にさせて頂きました。より詳しい内容をお読みになりたい方でまだお持ちでない方は、これらの書籍をお買い求めいただくことをお勧めします。

 

 

 

今回は以上です。本日もご覧いただきまして、ありがとうございました。