12月16日に鉄道各社より、23年春のダイヤ改正のあらましが一斉に発表されました

なんやかんやで年末は忙しく、ようやく今日になって記事を書く時間が確保できたわけですが、1週間も経ってしまったので、追加で発表された情報も盛り込んでいこうと思います

 

鉄ちゃんにとっては、クリスマスと並ぶ年末の風物詩となっていますが、今年もJR北海道から順番に気になったところを整理していきます

 

●JR北海道

札幌・旭川~網走を結ぶ「オホーツク」「大雪」にキハ283系が投入されます

22年春改正までは札幌~釧路間を走る「おおぞら」で活躍していた車両が、石北本線へコンバートされた形となります

 

意外なことに、JR化以降に製造された振り子車が他線区へ転用される初めての例となりますが、特に石北本線では高速化工事等は行われていないので、振り子は固定されたまま運用に入るのでしょう

しかし、「オホーツク」1号の札幌~旭川間を除いて、最大で7分所要時間が短縮されており、20年以上前に製造された車両とはいえ、キハ183系と比べるとキハ283系の高性能ぶりが窺えます

 

12月21日になって、JR北海道よりキハ283系の先頭車両側面に「オホーツク」「大雪」の走行する石北本線の沿線自治体にちなんだロゴを掲出することが発表されました

上川町は大雪山国立公園、網走市は能取岬のように8種類のイラストが用意される予定ですが、凛々しいFURICO283のロゴは見れなくなってしまいます

 

737系電車については、春のダイヤ改正に間に合わなかったのか、23年5月20日から運行を開始し、室蘭本線を走るキハ143形を置き換えます

 

●JR東日本

E7系の増投入に伴い、上越新幹線からE2系が撤退し、ダイヤ改正以降は上越新幹線を走る車両はE7系に統一されます

これにより、大宮~新潟間の最高速度が240㎞/hから275km/hへ向上し、改正前と比べて東京~新潟間で7分のスピードアップが図られます

 

上越新幹線で275㎞/h運転というと、かつて200系新幹線が新清水トンネルの下り勾配を活用して275㎞/h運転を行っていましたが、99年12月で終了しているため、上越新幹線では実に23年ぶりに275㎞/hが復活することになります

 

21年10月1日にE4系が引退し、23年3月17日にE2系が撤退し、車種の統一が図られる上越新幹線

鉄ちゃん的には車種が多い方が楽しいですが、ダイヤが乱れた時のことを考えると、北陸・上越新幹線を走る車両がE7系に一本化されるのは”前進”と捉えることができます

 

▲新潟駅に停車中のE2系新幹線

 

そして、在来線で一番注目したいトピックは、上野~高崎・長野原草津口間を結ぶ「草津」「あかぎ」「スワローあかぎ」から651系が撤退し、E257系5500番台が投入されることです

列車名についても、「草津」が「草津・四万」へ改称され、「スワローあかぎ」は「あかぎ」へ統合されるほか、改正後は両列車共に全車指定席で運行されます

 

この話題については、651系の老朽化が進んでいることやE257系5500番台の網棚に座席の発売状況を表示するランプが設置されたこと、そして車両基地で「草津・四万」という謎のHMを掲示していたことで、徐々に現実味を帯びてきました

 

それでも、651系が6編成在籍しているのに対して、E257系5500番台は5編成しか在籍しておらず、予備車が不足すること、そして何よりも波動輸送を受け持っていることから、置き換えは現実的ではないと思っていました

 

それでも、今回の改正で置き換えへ踏み切ったということは、それほど651系の老朽化が深刻なのでしょう

高崎支社のチラシには、改正後の「草津・四万」「あかぎ」の両列車には、グリーン車が連結されない旨の表記があるので、651系の定期運用撤退は間違いなさそうです

 

なお、改正後の特急料金については、「草津・四万」が従来通りのB特急料金ですが、「あかぎ」の方は他の首都圏を発着する「ひたち」や「あずさ」と同様の新たな着席サービスと同じ料金が適用されます

つまり、同じ上野~高崎間を乗車する場合で比較すると、前者が通常期1,890円に対して、後者では1,580円となり、同じ区間を走る同じ車両の特急列車であるにもかかわらず、特急料金に差異が生じています

利用者からすれば煩雑であることに変わりなく、なぜ統一しなかったのか不思議です

 

▲登場から30年以上が経過した651系

ダイヤ改正後の去就に注目が集まる

 

●JR東海

何と言っても、最大の注目点は「ひだ」の使用車両がキハ85系からHC85系へ全面的に刷新されることです

22年6月1日から「ひだ」の定期列車10往復中2往復で運行が始まったHC85系ですが、7月1日からは3往復へ、12月1日からはさらに1往復を置き換え、遂にJR西日本エリアである富山駅への乗り入れも始まりました

 

23年3月改正では、「ひだ」の定期列車全てがHC85系での運行となり、大阪ひだも存続のうえ、同車に置き換えられることになりました

なお、「ひだ」5・25号については、高山本線内での停車駅が見直され、名古屋・大阪~高山間で10分のスピードアップが図られます

 

今回の発表では「ひだ」と同じキハ85系で運行される「南紀」の置き換えについては、なにも触れられていません

HC85系の増備ペースを考えると、「南紀」からキハ85系が退くのは23年の夏頃でしょうか?

 

●JR西日本

うめきた新駅の開業については、先日公開した別記事をご参照ください

 

 

同社管内のダイヤ改正で、地味な変更点ながら興味深いのが、鳥取発着の「はまかぜ」が従前の2・5号から1・4号に変更されることです

これまで、鳥取を発着する「はまかぜ」は、車両基地への回送を兼ねて運行されている感が否めず、お世辞にも利用しやすい時間帯に運行されているとは言い難い状況でした

 

今回、1・4号が大阪~鳥取間の運転に変更され、城崎温泉~鳥取間が昼間の運行となるため、観光客にとっても利用しやすくなるのではないでしょうか?

一方で、2・5号については運行区間が大阪~豊岡・城崎温泉間に短縮されるため、香住駅基準では「はまかぜ」が1往復減便されることになります

 

●JR四国

岡山駅で在来線と新幹線との接続を改善することで、東京・新大阪~高松・松山間において、最大18分の短縮が図られます

 

●JR九州

九州新幹線の運転時刻がよりパターン化され、博多駅における「のぞみ」と「つばめ」の接続時間が見直されることにより、熊本~博多間の各駅から博多以西への移動が便利となります

また、鹿児島中央駅を朝一番に出発する上り「みずほ」の発車時刻が30分ほど繰り上げることにより、日帰りで大阪市内へ向かう場合に滞在時間が拡大します

 

また、12月20日になって、23年4月1日乗車分から新幹線及び特急列車のグリーン料金を見直す旨の発表がありました

これまでJR九州のグリーン料金は、例えば在来線特急列車で100㎞まで1,050円、新幹線であっても1,050円と、JR他社の1,300円より低く抑えられていました

 

ところが、弊社を取り巻く経営環境が厳しいことから、これをJR他社と同じレートに引き上げることと相成ったようです

これに連動してDXグリーン料金とグリーン個室料金も値上がりするため、今春のJR東日本のグリーン料金値上げに引き続いて、乗り鉄のお財布を直撃しそうです