「日本のイベントと臨時列車(80、90年代)」をひたすら取り上げてみようという長期企画です。手元の時刻表はもとより、当時の鉄道ダイヤ情報やインターネット上の情報を参照しつつまとめてみました。
第9回目は、富山県富山市で毎年開催されている、おわら風の盆に関する臨時列車の運転履歴を追っていきます。
お祭り、催事の概要
おわら風の盆
会 期 |
毎年9月1〜3日 |
会 場 | 富山県富山市八尾(やつお)地区 最寄駅:越中八尾(えっちゅうやつお) |
お祭り、催事の概要 |
「おわら風の盆」の起源は元禄時代まで遡る歴史を有し、三味線、胡弓の音色と甲高い唄が相まった「越中おわら節」に 日本舞踊の所作を組み込んだ男女の踊りが多くの人の心を魅了する伝統行事です。 ※公式サイトトップページより一部引用 |
臨時列車の運行概要
おわら風の盆関連の臨時列車(1980〜99年)
2022年現在でもおわら風の盆臨は多数運転されておりますが、1980年から遡ると、私の所蔵する時刻表で確認できたのは1981年から。ちなみに1977、78年9月号の時刻表紙面には一切おわら風の盆関連の臨時列車はありません。
1980年代はじめは、富山〜越中八尾間で数本の臨時列車設定からはじまり、1982年からは金沢からの観覧客の輸送として金沢発着の特急ひだ号が臨時停車するようになります。この特急停車は、後々まで金沢発着の普通列車が設定される伏線となります。
JR化前後の年から輸送力強化をはかった富山〜越中八尾・猪谷間のピストン運転化がはじまり、特急を中心として遠方からの観覧客の便宜をはかる臨時特急列車も設定され、大変活気づいて来ます。
今回年表内では詳細に明記しておりませんが、定期列車のスジを活用して延長運転する臨時列車も多数あり、越中八尾発は日付を越えた時間帯の運行も数本存在していることも付記しておきます。
【凡例、備考】
「 」は前後年との違いがある箇所
1980 | 手元に当該月の時刻表がなく詳細不明 |
---|---|
1981 | 普通列車 ※列車名なし
越中八尾〜富山間のみで夕方〜深夜にかけて運転。 運転日:9月1、2日 の両日ないしはいづれか |
1982 | 普通列車 ※列車名なし
越中八尾〜富山間のみで夕方〜深夜にかけて運転。 運転日:9月1、2日 の両日ないしはいづれか
※特急ひだ7号(金沢行)が越中八尾(19:42)に臨時停車(9月1、2日)
|
1983 | 普通列車 ※列車名なし
越中八尾〜富山間のみで夕方〜深夜にかけて運転。 運転日:9月1、2日 の両日ないしはいづれか
※特急ひだ7号(金沢行)が越中八尾(19:42)に臨時停車(9月1、2日)
|
1984 | 普通列車 ※列車名なし
越中八尾〜富山間のみで夕方〜深夜にかけて運転。 運転日:9月1、2日 の両日ないしはいづれか
※特急ひだ7号(金沢行)が越中八尾(19:42)に臨時停車(9月1、2日)
|
1985 | 普通列車 ※列車名なし
富山〜越中八尾、猪谷間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、金沢、越中八尾→高山といった区間でも設定あり 運転日:9月1、2日 の両日ないしはいづれか |
1986 | 手元に当該月の時刻表がなく詳細不明 |
1987 |
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、金沢〜越中八尾といった区間でも設定あり 運転日:9月1、2日 の両日ないしはいづれか |
1988 | 普通列車 ※列車名なし
富山〜越中八尾・猪谷間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、金沢、高山〜越中八尾といった区間でも設定あり 運転日:9月1、2日 の両日ないしはいづれか |
1989 |
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾・猪谷間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜高山、猪谷→金沢・魚津、金沢→越中八尾といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1、2日 の両日 |
1990 |
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾・猪谷間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜高山、猪谷→金沢・魚津、金沢→越中八尾、富山〜泊(泊行は快速)といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1〜3日 の期間中毎日ないしはいづれか |
1991 |
L特急 ひだ85、90号 8087D 85号 名古屋発15:40 → 越中八尾着19:28(高山→越中八尾 9019D) ※週末運転の高山行を、祭りの期間中のみ延長運転したもの 9022D 90号 越中八尾発22:35 → 高山着23:50 運転日:9月1、2日
普通 おわら風の盆号 富山〜越中八尾・猪谷間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、高山〜富山、猪谷〜富山〜魚津・金沢 といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1〜3日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
1992 |
L特急 ひだ87、100号 8087D 87号 名古屋発15:40 → 越中八尾着19:27(高山→越中八尾 9019D) ※週末運転の高山行を、祭りの期間中のみ延長運転したもの 9022D 100号 越中八尾発22:41 → 高山着23:52 運転日:9月1、2日
普通 おわら風の盆号 富山〜越中八尾・猪谷間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、高山〜富山、金沢→越中八尾、越中八尾→魚津、猪谷→金沢 といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1〜3日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
1993 | L特急 ひだ87、100号
8087D 87号 名古屋発15:40 → 越中八尾着19:30(高山→越中八尾 9019D) ※週末運転の高山行を、祭りの期間中のみ延長運転したもの 9022D 100号 越中八尾発22:41 → 高山着23:52 運転日:9月1、2日
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾・猪谷間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜高山、金沢〜越中八尾、越中八尾→魚津 といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1〜3日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
1994 |
L特急 ひだ101、102号 高山〜越中八尾 1往復 9019D 101号 高山発18:12 → 越中八尾着19:30 9020D 102号 越中八尾発22:18 → 高山着23:26 運転日:9月1、2日
普通列車 おわら風の盆号 富山〜越中八尾間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜高山・猪谷、金沢〜越中八尾、越中八尾→魚津、猪谷、美濃太田→富山(高山までは定期) といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1〜4日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
1995 |
L特急 ひだ101、102号 高山〜越中八尾 1往復 9019D 101号 高山発18:06 → 越中八尾着19:27 9020D 102号 越中八尾発22:33 → 高山着23:42 運転日:9月1、2日
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜高山・猪谷、金沢〜越中八尾、越中八尾→魚津、猪谷 といった区間でも設定あり 運転日:9月1、2日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
1996 |
L特急 ひだ101、102号 高山〜越中八尾 1往復 9019D 101号 高山発18:06 → 越中八尾着19:29 9022D 102号 越中八尾発22:36 → 高山着23:48 運転日(始発駅基準):9月1、2日
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜高山・猪谷、金沢〜越中八尾、猪谷→魚津 といった区間でも設定あり 運転日:9月1、2日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
1997 |
L特急 ワイドビューひだ101、102号 高山〜越中八尾 1往復 9019D 101号 高山発18:06 → 越中八尾着19:29 9022D 102号 越中八尾発22:37 → 高山着23:46 運転日(始発駅基準):9月1、2日
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜猪谷・高山、金沢〜越中八尾、猪谷→魚津、越中八尾→猪谷 といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1〜4日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
1998 |
L特急 ワイドビューひだ101、102号 高山〜越中八尾 1往復 9019D 101号 高山発18:02 → 越中八尾着19:29 9022D 102号 越中八尾発22:39 → 高山着23:47 運転日(始発駅基準):9月1、2日
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜猪谷・高山、金沢〜越中八尾、猪谷→魚津、越中八尾→猪谷 といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1〜4日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
1999 |
L特急 ワイドビューひだ101、102号 高山〜越中八尾 1往復 9019D 101号 高山発18:01 → 越中八尾着19:29 9022D 102号 越中八尾発22:37 → 高山着23:47 運転日(始発駅基準):9月1、2日
普通列車 ※列車名なし 富山〜越中八尾間で夕方〜深夜にかけてピストン運転。そのほか、富山〜猪谷・高山、金沢〜越中八尾、猪谷→魚津、越中八尾→猪谷 といった区間でも設定あり 運転日(始発駅基準):9月1〜4日 の期間中毎日ないしはいづれか
|
使用された車両について(推察含む)
特急ひだ号については、国鉄自体キハ80系82形、JR化後はキハ85系が運用に入っていました。
普通列車については、当時の高山線の運用にはいっていた車両が挙げられますが、JR化後は猪谷以北がJR西日本管轄になっているため、キハ120形、キハ40系、キハ58系が運用に就いていたと思われます。
下記は2019年のものだと思いますが、’90年代、JR化後を彷彿とさせる構成でしたので、越中八尾駅のイメージとして取り上げてみました。
終電ウォッチャー浦島太郎Youtubeチャンネルより
当時の時刻表紙面での臨時列車
1984年9月号紙面より。この当時は名古屋発金沢行の特急ひだ号、急行のりくら号が越中八尾駅に停車(特急は臨時停車)していました。加えて20時台から0時台で断続的に臨時普通列車が設定されているのがわかります。この当時の普通列車では富山以北行きの設定はありませんでした。
交通公社の時刻表 1984年9月号より
1985年9月号の時刻表紙面より。1985年3月のダイヤ改正で高山本線の優等列車のダイヤ見直しで、従来設定された越中八尾駅を夜間通過する急行列車、特急列車がなくなります。従来行っていた金沢からの観覧客への便宜を図るため、この年から越中八尾始発金沢行という設定が追加されました。
交通公社の時刻表 1985年9月号より
1991年9月号の紙面です。名古屋発越中八尾行というひだ85号が運転されています。もとよりこの列車は週末を中心とした高山止まりの季節運行便であり、そのスジを活用しておわら風の盆期間中のみ高山以北にむけて延長運転されたという経緯があります。個人的にはL(える)特急マークがぐっときます。
JTB時刻表 1991年9月号より
本日は以上です。
まとめページはこちらから
参考資料 1980年〜1999年の交通公社時刻表、JTB時刻表、JR時刻表
参考ページ:おわら風の盆(Wikipedia)、おわら風の盆公式ホームページ