東京駅の東京ステーションギャラリーで開催中(来年1月9日まで)の「鉄道と美術の150年展」を見てきました。
「鉄道は美術を触発し、美術は鉄道を挑発する」「鉄道と美術は一筋縄でいかない、ただならぬ関係にある」などとチラシにも書いてありますが、鉄道と美術の150年余にわたる関係について、多面的な角度から紹介する展覧会です。
鉄道に関わる美術作品といえば、開化期の錦絵と、近代初期の洋画を思い浮かべるところです。事実、今回の展覧会においても、三代広重や小林清親の作品や、変わったところで河鍋暁斎『極楽行きの汽車』(下絵)や、髙橋由一のスケッチなんかも展示されていました。また、洋画では赤松麟作『夜汽車』、川上涼花『鉄路』、長谷川利行『汽罐車庫』、木村荘八『新宿駅』、松本竣介『駅の裏』といった、「鉄道絵画といえばこれ」という名作は一通り網羅されています。
今回の展示が凄いのは、そうした名作以外の「知られざる傑作」を数多く集めたことでしょう。それも洋画、日本画だけでなく、版画、ポスター、イラスト、写真、彫刻、現代アートなど、様々なジャンルの「鉄道モチーフ」の作品が集められました。私が気になったところでは、近藤浩一路『京橋』、織田一磨『上野廣小路<東京風景>より』、川上澄生『鉄道馬車』、伊藤安次郎『天山丸』などがありました。また、ポスターでは杉浦非水『東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通』や、里見宗次『JAPAN』、それに国鉄の『ディスカバージャパン』といった名作が飾られています。変わったところで黒岩保美の名前があります。鉄道絵画の第一人者ですが、展示されているのは『連合軍専用客車車内図』の方です。初めて見る方も多かったとみえ、注目を集めていました。また、占領期がらみでは、『東京駅RTOレリーフ』なんてものも紹介されています。このほか、谷中安規、浜口陽三、香月泰男、山下清といった人々の作品も興味深いです。
こうして書いていくとキリがありませんね。写真も面白い作品多数なのですが、特に富山治夫『過密(錦糸町)』、都電のラッシュ時の停留所って、こんな感じでした。現代作家では、横尾忠則、立石大河亞、本城直季、Chim↑Pomといった方々の作品が印象的でした。最後を飾るのが日比野克彦による山陽電気鉄道のヘッドマーク『オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト号」です。
充実した展示でした。最後まで見終わるとさすがにくたびれました。鉄道と美術の関係は、本当にただならぬものであることがよくわかりました。そして、これだけ数多くの作品をあちこちの美術館、博物館から集めたキュレーターの皆さんの努力には頭が下がります。一連の鉄道開通150周年記念イベントの中でも白眉といえる展覧会です。皆様にもお薦めする次第です。
実は東京ステーションギャラリーの後、美術館の「はしご」をしました。京浜東北線で上野に向かいまして、東京国立博物館(東博)の創立150年(こちらも150年なのです!)記念特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」を見てきました。この展覧会、とにかくチケットがなかなか取れませんで、本来12月11日までの会期が特別に1週間延長になったことで、ようやく見ることができたのでした。いわば、アディショナルタイムにやっと1点取ったみたいなもんです。
で、こちらの展覧会の方は、鉄道ブログですから詳述はしません。とにかく「東博」が所蔵する国宝が一堂に会しているのですから、壮観なことこの上ありません。ただ、私のように何十年も「東博」に通っている者であれば、一度や二度は見たことがある作品ばかりともいえます。この博物館の「常設展」はやはり侮れません。
帰途、上野駅で駅弁を買いました。それがこちらです。
中身の写真は撮り忘れました。(腹が減っていたのでしょう)容器については食後よく洗いまして、何か小物入れにしようという魂胆です。
仕掛中のコンテナの模型でも入れましょうか。いずれも国鉄時代の黄緑色のコンテナですが。