複線が単線に、電化が非電化になっていく今後の厳しい現実を受け止める
鉄道各社が今後、厳しい施策を打ち出してきそうです。
JR各社からは、利用の少ない路線や区間の輸送実績、赤字額、収支係数が公表されています。
ローカル線には厳しい話題です。
JR東日本は昨年度、複線区間の単線化と電化設備の撤去にも触れていました。
どの路線や区間が対象になるのでしょうか。
複線を単線にする路線候補として、上下別線複線区間があります。
線路が並行していない分、片側の線路状況が見えないため、保守点検の手間が倍になるからです。
東北線、IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道の黒磯-青森間には上下別線複線が各所にあります。
しかし東北線よりも気になるのは上越線水上-越後中里、羽越線村上-秋田、奥羽線秋田-青森の別線複線です。
水上-越後中里、村上-秋田の別線複線は、トンネルのない当初からの単線と、長いトンネルを掘った、後からの単線により複線が構成されている区間があります。
景色のよい線はトンネルのない旧線側、又はトンネルがあっても長さが短い方の線路側です。
水上-越後中里間は旧線側、上り線が車窓に優れています。
また、土合駅は地上の上り線ホームと、下り線トンネル内ホームとでは天地の差があります。
土合駅利用者としては、すぐに列車に乗降でき、車窓に優れる上り線の存続を希望します。
かつて、紀行作家の宮脇俊三氏も、上越線は上り線を残したらどうかということを書いていました。
しかしJR東日本にとっては残念ながら逆と思われます。
上り線の短い清水トンネルと、線路の長い2つのループ線よりも、下り線の長い新清水トンネルの方が天候の影響が少なく、営業距離も短く、管理面で効率的だからです。
羽越線の一例として村上-間島間で見れば下り線が海沿いで、車窓に優れます。
上り新線はトンネルが長く、海が見えません。
村上-間島以遠にも同様な区間があります。
車窓を求める乗客側と、管理面からトンネルを求める鉄道側の利害は上越線の先例と同じです。
もっとも地元やビジネスの人は車窓以前に、列車遅延や運休のない方を望むので、上り線選択の考え方もでき、その場合、利害は一致します。
羽越線も海岸線を避けたトンネル区間の上り線が選択されていくと思われます。
上下別線複線ではない、通常の並行複線であっても、本数が少ないならば今後は単線化の検討はされると思われます。
電化設備の撤去は、磐越西線会津若松-喜多方間で打ち出されました。
貨物列車、特急列車のない、普通列車だけの運行で、本数の少ない区間に拡大されそうです。
具体的には中央線辰野-塩尻、大糸線信濃大町-南小谷、越後線、弥彦線、奥羽線新庄-大曲などが考えられます。
近年話題の鶴見線、南武線尻手-浜川崎も205系の後継車が注目されます。
長崎線肥前浜-長崎間のように、実際に架線が撤去されると複雑な思いに駆られ、何ともむなしくなります。
線路が残るだけいいと思考を変えるしかありません。
複線の単線化、ローカル線の存続も同じです。
鉄道はこれから厳しい時代を迎えていきそうですが、現実を受け止めた中で、いささかおこがましい話ではありますが、拙ブログも活路を見い出す一助として寄与できれば幸いと思っています。
※写真は本文と無関係です。