小田原線から江ノ島線が分岐し、大野総合車両所も併設されている小田急の相模大野駅。
通過線を備えた大規模な駅となっており、小田原線と江ノ島線の列車がひっきりなしに発着し、その合間には入出庫も行われています。

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相模大野では過去に大規模な改良工事が行われており、1998年に現在の姿が完成しました。
現在は機能的で広々とした構内を誇りますが、改良前はどのような駅だったのでしょうか。

改良工事前の相模大野駅

急行の分割併合が盛んに行われていた相模大野では、1992年から改良工事が始まりました。
改良工事前の相模大野は、上下線に島式ホームを一つずつ備える2面4線の駅で、現在と比べるとかなり手狭な状況となっていました。

ホームの幅は最大で8mしかなく、現在が12mになっていることを考えると、かなり狭いものでした。
駅舎は小田原寄りに設けられており、駅舎へと続く階段は上下線に一ヶ所しかなく、新宿方には上下線を結ぶ跨線橋が設けられていました。
小田原線と江ノ島線の乗り換えが発生する相模大野ならではの構造といえますが、スマートな配置ではなかったことが分かります。

駅の新宿方は改良工事に合わせて掘り下げられ、踏切の廃止等も行われました。
改良によって相模大野は別の駅かと思わせるほどに姿を変え、その後の輸送力増強にも寄与することとなります。

制約が多かった江ノ島線の列車

改良前の相模大野は、駅構内の配線も現在とは大きく異なっていました。
通過線がなかったことに加えて、新宿方の引き上げ線も設置されておらず、江ノ島線の列車には多くの制約がありました。

駅の配線の制約により、江ノ島線内の折り返し列車は町田発着が基本となっており、小田原線に一駅だけ乗り入れざるを得ない状況でした。
当時は江ノ島線内を10両が走れない時代でもあり、急行は相模大野で分割併合を行い、編成を短くして新宿との直通運転をしていました。

小田原線と江ノ島線の関係、分割併合にも制約が存在しました。
現在とは異なり、江ノ島線は下り列車が1番ホームから発車、上り列車は4番ホームにしか直接入れず、運用上の制約となっていました。
江ノ島線が絡む列車は2番ホームや3番ホームに発着できず、今のような柔軟性はありませんでした。

おわりに

改良工事によって広々とした駅構内になり、運用上でも柔軟性が生まれた相模大野。
次から次に列車が発着する光景を眺めていると、改良工事の効果を実感せずにはいられませんでした。