【花魁】“建築限界測定車”オヤ31 31 えちごトキめき鉄道へ譲渡

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建築限界測定車として個性的な外観を保っていたJR西日本のオヤ31 31。2022年12月6日朝、長年の居住地だった宮原を旅立ち、米原経由で松任へ配給輸送が実施されています。

その後の発表により、松任本所まで輸送された同車は、えちごトキめき鉄道にて動態保存されるとしています。

個性的な“花魁車”

オヤ31形はスハ32系列の車両をベースに、国鉄の建築限界測定車として改造された車両群です。

新路線の建設や、非電化区間の電化など大規模な工事の後に線路とその周辺の構造物が建築限界の範囲内に収まっているかどうかを確認する車両です。

これらの車両の確認方法はアナログそのもので、車端部と中央部に2ヶ所の「矢羽根」と呼ばれる折り畳み式の木の棒を張り出した状態で走らせることで、支障しているか否かを測定します。

国鉄分割民営化ではJR四国を除く旅客会社5社に1両ずつ継承され、このうちJR西日本ではこれまでオヤ31 31が車籍を有する状態で維持されていたほか、JR東海ではオヤ31 32が引退後に佐久間レールパーク、現在はリニア・鉄道館で静態保存されています。

使用頻度が非常に低く、直接的な後継車として作成された鉄道車両は、JR東日本が50系客車を改造した“光オイラン”ことスヤ50 5001=現在のマヤ50 5001のみです。

活躍の場は近年なく……

国鉄分割民営化以降、JR各社では国鉄からの検測車を順次置き換える動きがあり、このうちJR西日本の在来線ではキヤ141系「ドクターWEST」が2編成導入されました。キヤ141系には将来的に3両編成化して機能拡充をする設計とされた一方で、当面は電気検測車は国鉄由来のクモヤ443系電車、建築限界測定車もオヤ31 31が継続して維持されることとされていました。

建築限界測定車は他の検測で使用される車両と同様に、営業列車と同じ速度で検測を進められるメリットがある一方で、使用頻度が他の検測車より少ないこと、在来の保守用車で夜間帯に測定することでほとんどが代替可能であることから使用頻度は極めて低いものとなっています。

最近では鉄道総研により既存の検測車に後付けでレーザーによる建築限界測定が可能となる装置の開発・JR九州マヤ34形への搭載が実施されています。

DEC741形の投入では電気検測車の老朽代替のほか最新技術が各所で導入されており、将来的な線路設備検測機能の拡充を含む拡張改造を想定した車両であることも触れられています。

当面の使用機会がないこと・将来的にも技術的に十分代替が可能であることから、クモヤ443系とともに今回が引退のタイミングになったものと推察できます。

以前より京都鉄道博物館では、引退が近い車両を期間限定で展示する動きがあり、オヤ31 31についてもこの動きから引退を噂する声がありました。

宮原から直江津へ

2022年12月6日、網干総合車両所宮原支所から松任総合車両所本所まで、DD51 1109号機の牽引により配給輸送が実施されています。

JR西日本のなかで車両の大規模な検査等が出来る東端の拠点まで走行したことで、今回オヤ31 31はJR西日本所属の車両としては“ラストラン”、今後は松任本所から直江津までの甲種輸送が実施される模様です。

同様の経路は2021年4月に実施された413系の甲種輸送が記憶に新しいところで、今回も松任駅以東は甲種鉄道貨物輸送としてかつての北陸本線を東進することとなるようです。旧型客車の甲種輸送は極めて珍しいものであり、今後の動向が注目されます。

配給輸送が走行する最中、譲渡先や今後の計画について簡単なリリースがJR西日本側から公表されました(外部PDF)。

えちごトキめき鉄道社長の鳥塚亮氏は12月5日、自身のFacebookにて「明日、一つ、重大発表を行います。どうぞお楽しみに。」としていました。

えちごトキめき鉄道でも動態保存とはなるものの、本線上を走行する車両としての位置付けではなく、直江津駅構内併設の直江津D51レールパークでD51 827号機の被牽引車として活用されるものとみられます。

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