「臨海地下鉄」いよいよ始動 | 書斎の汽車・電車

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 一昨日の『読売新聞』、サッカーの歴史的勝利を報じる隣で、独自(スクープ)記事がありました。

 東京都が、東京駅と臨海部を結ぶ新しい地下鉄の事業化に着手するというものでした。加えて昨日には、小池都知事もこの計画について発表しています。

 

 都心部と臨海部を直結する地下鉄構想そのものは、いわゆる「豊住線」「品川地下鉄」と並んで、今後の東京における地下鉄計画として公表されていましたから、そんなに目新しいものではありません。ただ、都知事が正式に事業計画案を発表したことで、いよいよ始動ということになりそうです。

 

 改めて、東京都の計画案を見てみますと、起点は東京駅(東京駅の北東側、八重洲口ですね)、その後約1kmごとに駅を設けるそうで、新銀座、新築地、勝どき(大江戸線と乗換)、晴海、豊洲市場という各駅(駅名はもちろん仮称)が公表されています。終端は有明・東京ビッグサイトとなっています。総延長は約6km、概算事業費は4200億円~5100億円、2040年度末までの開業を目指しています。黒字化は開業後30年以内の見通しだといいます。

 

 確かに、都心部と臨海副都心を直結する鉄道はこれまで存在しませんでした。(「ゆりかもめ」は臨海部のあちこちに寄らねばならず、くねくねと蛇行していますし、何といっても中量交通機関です。また「りんかい線」も都心部との直結路線ではありません)その意味で今回の地下鉄新線の計画は大いに歓迎されるところではありますが、いくつか問題が残っているのも事実ではあります。

 

 まずは事業主体をどうするのか、新聞報道によれば、都が今後最終計画をまとめて運営事業者を決定、その事業者が国土交通省から鉄道事業許可などを受けることになります。運営事業者、さすがに東京メトロはないでしょう。有楽町線と南北線の延伸で手一杯でしょうから。では、都営地下鉄はどうかといえば、5路線目の追加はやはり難しいかな?という印象です。「3セク」とするのか、無理を承知で都営地下鉄とするのか、注目しています。

 次に、他の鉄道との接続(乗り入れ)問題です。先の新聞記事などにも「羽田アクセス線」(「りんかい線」等を活用した新木場ルート)との接続が検討されているとありました。ところで、この「臨海地下鉄」、当初計画では「つくばエクスプレス」の秋葉原~東京延長線との乗り入れが取り沙汰されていたはずです。今回の都の発表でも、いちおうは「つくばエクスプレス」との接続も触れられてはいましたが、後景に退いたようです。それよりも羽田空港、海外からのお客様を豊洲市場、銀座へということで「前のめり」になっている印象があります。

 そして、何といっても開業時期です。発展著しい勝どき、晴海地区からの通勤の足としても期待されているといいますが、約20年後の開業というのは、いくら何でも遅すぎやしませんか?さしものモダンな「タワマン」も次第に古びてくるでしょうし、2040年代に東京そして臨海部がどのように変化しているか、少々予測しがたいところです。巨額の税金を投じる意味が果たしてあるのかという問題が出てきそうです。

 

 文句ばかりを書き連ねてしまいましたが、趣味人的には、副都心線以来の「新線」開業となれば、大いに楽しみではあります。まあ、余り開業が遅くなると、それまで生きていられるかわかりません。先程の、開業時期が遅すぎるという文句は、そんな私のわがままでもあるのですが。