肥薩線の現実
SL58654百歳号が到着した八代駅。
一旦外に出てみました。
八代駅のJR側駅舎は2019年に建て替えられた和風の駅舎。
みどりの窓口、ファミリーマートがあり八代市の(新幹線を除く)中心駅として利用されています。
駅前にはくまモンが。
八代名物晩白柚を抱えて驚いた表情。かわいいですね。
この日、八代駅前ではSL58654百歳号運行に合わせてマルシェが開かれていました。
時間がないのでちょっと覗くだけになってしまいましたが…
さて、八代駅前といったら忘れてはいけないのが…
こちら。
肥薩線タクシー輸送停留所です。
2020年7月の豪雨以来肥薩線は八代~吉松間で運休となっていますが、その代行輸送がここから行われています。
運行区間は八代~葉木間。
葉木というのは八代から球磨川沿いに3駅進んだ場所です。
肥薩線沿線は道路もかなりの被害を受けており、代行輸送すらできない状況が続いています。
そのため代行タクシーが運行されているのは八代~葉木、一勝地~人吉間のみ。
「代行タクシー」と書いてありますが、使用車両はジャンボタクシーなどではなく、通常のタクシー車両。
4人乗りのこの車両で平日のみ1日3往復運行されています。
あまりにも貧弱に思える輸送方式ですが、利用実績はなんと驚異の月数人。
1日あたりでなく、一月で数人なのです。
つまりほとんどの便が空気輸送…
並行して産交バスの路線が走っていることが主な理由でしょうが、被災前からそもそも肥薩線利用者が極端に減っていました。
肥薩線は観光路線として重要ですが、年間9億円の赤字を計上していた赤字路線であり、JR発足時から比べると利用者が80%以上減少しています。
観光列車を運行していても利用客減少に歯止めがかかっていない、その厳然たる事実を認識しておくことも大事なのかな、と思います。
多くの方で賑わう58654の近くでひっそりと目立たない位置に立つタクシー輸送停留所。
今の肥薩線の状況を表しているのかのようでした。
復路はDL牽引!
駅の中に戻ります。
百歳号の編成写真を。
まるでこれから肥薩線に入るところみたいです。
百歳号といさしんがホームで並んでいますが、多くの人が集まっているのでなかなかきれいに並びを撮るのは難しいですね。
いさしん編成が12:00、「しんぺい4号」として一足お先に熊本に向け発車していきました。
百歳号の発車は12:10、そろそろ車内に戻りましょう。
八代駅には転車台がないので帰りはこのDE10が牽引します。
12:10、SL58654百歳号は多くの方に見送られて八代を後にしました。
八代平野を駆け抜けて
行きと同じく新八代を通過する百歳号。
新八代を過ぎると左側に「リレーつばめ」で使われていたアプローチ線が見えます。
現在は保守用のみに使われているとか。
ちょっともったいない気がしますが、他に活用の方法もないでしょうし…
新八代を通過した後、行きと同じようにフィナンシェが配られました。
八代平野を走る百歳号。その展望室にぬいぐるみが現れました。
SL鬼滅の刃のときは煉獄杏寿郎でしたが、今回は「まいてつ」という人吉を舞台としたゲームのキャラ「オリヴィ」のぬいぐるみ。
かわいいですね~
しばらく走ると列車は新幹線の熊本総合車両所の横を通過。
熊本地震で被災して廃車になった800系U005編成のうち未解体の1~3号車の姿も見えました。
川尻では行きと同じくキハ66が留置されているそばを通過。
塗装がかなりくたびれているのが悲しい…
帰りはDL牽引のためか行きよりもあっという間。
もう熊本車両センターの横を通過しています。
今日は金曜なので運用がないA列車やあそぼーい!が止まっていました。
なんとこの列車より10分前に発車していったいさしんが止まっています。
10分の差だったのにもう熊本駅に到着し、乗客を降ろして車両基地に戻っている…
気動車って速いんですね…
マヤ34もひっそり止まっていました。
↑マヤ34を撮影したときの記事はこちら
最後に留置されている銀釜を見ながら百歳号は終点・熊本に到着しました。
↑銀釜についてはこちらから
降りるときにこんなものが掲げられているのを発見。
「ありさハチロク見送り隊」…
これはまた懐かしいものを。
九州新幹線全線開業前にSL人吉の下りが鹿児島本線有佐駅でリレーつばめの退避を行うための運転停車を行っており、そのときにお見送りしていたのがきっかけで始まった活動…だったかと思います。
そんな沿線の方々の想いも乗せて駆け抜けた58654。
最後にに熊本車両センターに向けて回送されるのを見送ってホームを後にしました。
ちょうど100歳の日に普段と同じ場所を駆け抜けた58654。人吉へ行くことは叶いませんでしたが、それでも人吉のみなさんに見守られてこの特別な運行を終えることができました。
引退まであと1年と少しありますが、また熊本以南を走行する機会があることを期待します。
熊本グルメを堪能
帰る前にお昼ごはんを。
やってきたのは肥後よかモン市場にある「とんこつラーメン 一杢」。
JR九州の子会社JR九州フードサービスにより運営されているラーメン店です。
ここで熊本ラーメンを!
ニンニクチップがたくさん載っているのが特徴のラーメンでした!
続いてはちょっと変わり種。同じく肥後よかモン市場にあるこちらのお店です。
この特徴的な顔。熊本県出身のものまねタレント、コロッケさんです。
ここは「コロッケのころっ家」といってコロッケ(タレント)がプロデュースするコロッケ(食べ物)屋。
熊本は地元なので凱旋と書いてありました。
というわけでコロッケを買ってみました。
左が「とろとろコロッケ」、右がLINE登録特典でいただいた「おさつコロッケ」です。
素材にこだわっているそうで、とても美味しいコロッケでした!
ロングラン区間快速に乗車!
そろそろ帰ります…がその前に。
くまモンの入場券なるものがあったので買ってみました。
混雑するみどりの窓口で待つこと10分。
こちらがその入場券です!
「こども用」のみの発売ですが、帽子をかぶったかわいいくまモンの入場券はお土産として人気なのだとか。
それでは帰りの列車へ。
のんびり在来線で帰りますが…せっかくなので面白い列車に乗車します。
すでに電光掲示板に出ていますね。
乗車するのはこちら、門司港行き区間快速354Mです!
9月ダイヤ改正で登場した列車で、熊本から門司港までの196.6kmを4時間15分かけて走るロングラン列車です。
このようなロングラン列車は珍しいですよね~
熊本駅で門司港行きが出るのはかなりの違和感(笑)
使用車両は821系。
データの更新がダイヤ改正に間に合わず、改正後は車内LCDの2/3を隠して運行するという荒業を見せましたが、現在はしっかり対応しているようです。
あまりにも運行距離が長いので博多ですら表示てきていません(笑)
15:55、熊本を発車。
熊本城を右手に長い旅路を始めます。
玉名の手前の高瀬川橋梁を通過。
玉名からは帰宅途中の高校生が乗ってきましたが、熊本県内でほとんどが降りていきました。
長洲の手前では有明海の対岸の雲仙普賢岳がぼんやりとその姿を見せていました。
薄暗くなったころ、大牟田に到着。
西鉄天神大牟田線との乗り換え駅です。
レア運用!
列車は荒木に停車。久留米の1つ手前の駅です。
お隣のホームには813系6両編成が停車しています。
こちらも区間快速門司港行きの表示を出していました。
荒木を発車すると9月ダイヤ改正で運用から離脱し、疎開留置されている415系の姿が。
鹿児島所属の500番台と大分所属の100番台が連結されているのが面白いですね。
久留米を過ぎ、筑後川を渡ります。
熊本から1時間37分、鳥栖に到着しました。
ここで15分停車します。
この停車の間に後ろに6両つなぎます。
そのつなぐ車両というのが…さっき荒木で追い越した813系6両編成。
あの813系は3238Mとして荒木始発で発車し、この列車の5分後を続行で走ってここ鳥栖で併結となります。
…なんで荒木で繋がないんでしょうか。
謎です。
813系がやってきて…
連結。
813系に吸収されるように列車番号もここから3238Mとなります。
ここまで長距離を走ってきたのにあっさり吸収されるのはちょっと不憫な気が(笑)
発車する前に別府始発のゆふいんの森4号がやってきて追い抜いていきました。
途中二日市から快速運転を行い、18:26、博多に到着しました。
熊本からここまで2時間31分、長旅でした。
しかしながらまだまだ終点の門司港まではかなり距離があります。
全区間乗車するのは大変でしょうね…
私はここで下車です。
旅の終わりに
最後に博多駅にある「うちのたまご」に来てみました。
前からここの親子丼食べてみたかったんですよね~
注文するとすぐに親子丼が登場!
ふわっふわの卵と味がしっかり染みた鶏肉。
さすが鶏にこだわっているJR九州なだけはある美味しさですね!
テーブルに置いてあるお醤油で味変するのもまた良きです。
ということで旅は終わり。
58654の100歳を祝う旅、とても充実したものとなりました。
次はどこへ向かいましょうか…
それでは。