6両の編成が多く増備されつつも、初期には仕様変更が繰り返された小田急3000形。
最初に登場した12編成は、その後に増備される車両との相違点が多くあり、初期車として分類されています。

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初期車ならではの特徴はいくつかありますが、その中でも足回りの機器配置は独特なものとなっています。

初期車ならではの床下の機器配置

3000形として最初に登場した6両編成は、編成内に4両の電動車を配置しました。
編成構成としては4M2Tとなりますが、3263F以降の編成には変更が発生し、3M3Tとなっています。

初期車の12編成のみが4M2Tとされた3000形ですが、新宿方から3両目と5両目に配置される電動車に特徴があり、小田原方の台車にはモーターがありません。
つまり、モーターの数は編成内にある台車の半分となっており、実質的には3M3Tとなっているのが特徴です。

このような構成となった理由は定かではありませんが、趣味的には面白い編成が誕生したと、登場当時は感じたものです。
片側の台車にだけモーターを搭載する構成は、30000形(EXE)の4両編成でも採用されており、当時の小田急が好んでいる印象でした。

不思議な機器配置とされた理由

初期車だけが不思議な機器配置となった3000形ですが、3次車以降では一般的なものへと変更されました。
時代の流れが標準化へと進み、それに伴っての変更だったと思われますが、当初の狙いはどのようなものだったのでしょうか。

6両の編成を横から見ると、同じ構成の中間車が2両ずつ、並んで配置されていることに気付きます。
編成内に同じ構成の車両を2セット配置すればよく、結果的にシンプルな構成となることから、それを狙ってのことだったのかもしれません。

しかし、この構成が活きるのは6両の場合のみで、他の両数ではそうもいきません。
6両の車番が3200番台となっていることから、4両が3000番台で登場する想定があったものと思われますが、その場合にはどうするつもりだったのかが気になります。

初期車のVVVFインバーターは、二つのモーターを制御する1C2Mとなっており、これを3群で一つの機器としています。
つまり、一つの機器で2両分のモーターを制御しているのですが、4両ではこれを4群とする想定だったのかもしれません。
8両の場合には、4両を2編成繋いだ場合と同じ構成にすればよいため、その点もクリアできそうです。

気になるのは10両の場合ですが、通勤型車両の分割併合をやめることを、3000形の登場時点で想定していなかったと仮定した場合、10両固定編成は考慮されていないと考えられます。
3次車以降で登場した8両が、3600番台とされたこともそれを裏付けており、6両が不思議な機器配置となったことを説明できそうです。

おわりに

3000形が当初の流れのまま増備され続けた場合、どのような展開となっていたのでしょうか。
12編成しか登場しなかった初期車ですが、その後の展開も想定されていた可能性は高く、実現しなかったその姿が気になってしまいます。