58654が百歳!
JR九州唯一のSLとして活躍している8620形蒸気機関車58654号機。
その誕生は1922年(大正11年)11月18日のこと。日立製作所笠戸事業所で製造されました。
ということは…
今年、2022年11月18日をもってちょうど100歳を迎えることとなります!
ボイラーや台枠など主要部分は交換を受けているものの、JR線を走る現役の鉄道車両として100歳を迎えるのは58654が初めてのことです!
この記念すべき日にJR九州は特別な列車を走らせることとなりました。
それが、「SL58654百歳号」!
運転区間は熊本~八代間の往復で、肥薩線が被災してから久しぶりに熊本以南を走行することとなります。
肥薩線が被災していなかったら人吉まで向かえたのでしょうが、こればかりは仕方ありません。
八代まで運行するので被災前までのSL人吉の姿を少しでも味わえることができる………のではないでしょうか?
それと同時に残念な発表もありました。
それは、58654号機の2024年3月頃をもっての引退。
主要部分は交換されているものの、SLは細かい部品が多く、それらが劣化してももう同じものを製作できる技術がありません。
また、運行や保守に関わることができる人材も年々減少し続けています。
ネット上の情報によると、近年は(肥薩線被災前でも)補機をつけての運行が多く、運行不能になった例もあるとか。
最初の復活からもう30年、根本的に老朽化が進んでいるようです。
総合的に考えた結果、もう維持していくことができないというJR九州の考えはもっともなものだと思います。
でも、たとえ肥薩線が復旧したとしてももうそこを走るSL人吉の姿を見ることができない…というのはなんとも寂しいもの。
できればもっと走っている姿を見たかったですね…
そのような発表を受けての今回の特別運行。
きっと争奪戦になるはず…
10時打ちに参加したいところですが、忙しいので駅には行けません。
ということでJR九州インターネット予約でセルフ10時打ちをやってみたところ、なんとか席を確保!
58654の100歳のお祝いに参加したいと思います!
まずは熊本へ
11月18日当日、まずは博多駅からさくら403号で熊本へ向かいます。
GW以来の熊本です!
↑前回の熊本訪問時の記事はこちら
おなじみ巨大くまモン。
一旦改札口を出て、時間を潰してから在来線側に向かいます。
百歳号、入線
在来線へ向かう途中のコンコースには58654の顔ハメパネルがありました。
今日にぴったりのこのパネルですが、あまり使われてはなさそう…
改札口には鬼滅のときと同じく案内ボードが出ていました。
ここからSLに乗るのは今回で3回目。
もう慣れたものです(笑)
すでに電光掲示板にSL58654百歳号の表示が出ています!
英語でもしっかり「100 years old」!
6番ホームに向かうとすでに人が集まりつつありました。
百歳号の下に表示されているのはこれも今日だけの特別運行、特急いさぶろう1号八代行き。
期待が高まる中、10:06ごろにDE10 1207を先頭にSL58654百歳号が入線してきました!
八代方にはSL人吉のヘッドマークを付けた58654の姿が!
肥薩線被災以来、58654は鳥栖・博多方を向いて連結されていたのでこうして通常向きになるのも2年半ぶり!
今日でちょうど生誕100歳を迎える58654は本来の姿を取り戻し、誇らしげに煙を上げています。
SLを撮影したあと車内へ。
なぜかサボが「団体専用」になっていたのがちょっと残念…
ボックスシートが並んだ車内。
早めに車内に入ったのでまだ展望席もガラガラでした。
ちなみに駅の放送は「快速 八代行き」でした。
100歳記念の特別な旅
10:21、多くの方に見送られ、SL58654百歳号は八代に向け発車しました!
列車は熊本車両センターを見ながら走っていきます。
9月23日ダイヤ改正で運用を終了した415系鋼製車が何編成か留置されていました。
…と車窓を見たいところですが、一旦2号車ビュッフェに向かいます。
というのも、今日から発売の特別な商品があるのです。
売り切れちゃったら困りますからね~
少々並んで買ったのがこちら!
58654 100周年のラゲージタグです!
このマークは客室乗務員がデザインされたのだとか。
今日のいい記念になりますね。
ついでにビュッフェにあった100周年記念の「鉄聞」をいただいて戻ります。
列車はちょうど川尻にさしかかったところ。
2021年6月30日の運用終了以降留置されているキハ66の群れの横を通過していきます。
以前はここだけでなく八代にもキハ66が疎開留置されていましたが、そちらは少し前に廃車回送されています。
↑廃車回送についてはこちら
ここで車内に乗車されていたJR九州の社員さんより乗客に焼き菓子のプレゼントが!
これは人吉にある「旬菓工房ポエム」のフィナンシェ。
「86」の焼印が入った特別なお菓子です。
沿線の方に手を振りながら
列車はすでに八代平野に差し掛かっています。
平日にも関わらず、沿線には多くの方がお見送りに!
肥薩線被災前は毎週ここを通っていたSL人吉。
その姿が見られなくなってもう2年半。久しぶりの運行を地元の方も心待ちにしていたのでしょうね。
沿線の方に手を振りながら景色を眺めます。
そこにやってきたのは車掌さん…ではなく、車掌に扮した地元テレビ局の情報番組のレポーターの方。
今日は特別な日なので取材するべくメディア関係者も乗り込んでいるようです。
(私はインタビュー受けませんでした)
しばらく走るとこんな看板が。
もう八代市。ゆっくり走るSLとはいえあっという間です。
八代に到着
列車は九州新幹線の下をくぐります。
ここは新八代駅。
通常のSL人吉では停車していましたが、今日は通過。珍しいですね。
新八代から一駅、列車はポイントを渡り、終点・八代に到着しました!
ホームに降り立つと、そこには人吉の観光協会の方が「ようこそ人吉へ」の横断幕を掲げて歓迎していました!
水害前は当たり前に見られていた光景が久しぶりに!まるでここが人吉駅になったかのようです。
でもやっぱりここは八代…
58654の前に行って写真を撮りたいところですが、ホーム先端部で58654百歳記念式典が行われているので封鎖中。式典が終わるまで待ちます。
待っていると隣の乗り場に八代止まりのいさぶろう1号が到着。
式典会場に乗客が入らないよう、速やかな誘導が行われていました。
人吉のゆるキャラ、「ヒットくん」の可愛い姿を見ながら待っているとやっと式典が終了しました。
ケーキでお祝い!
ということで八代に到着した58654です!
元気に蒸気をあげて今日もかっこいいですね~!
駅には多くの人が集まりSLと一緒に写真を撮っていました。
この賑わいを見た人から「まだ走ってほしい」「これだけ多くの人が集まるのだから肥薩線は絶対復興させなければならない」という声が聞こえてきました。
2度目の復活からすでに13年経っていますが、まだまだSLに期待される役割は大きいようです。
さて、ホームには今日で100歳となる58654のための誕生ケーキが用意されました!
フルーツでデコレーションされたケーキはとっても豪華!
ケーキまで用意してもらってお祝いされる58654。鉄道車両としてはとても幸福な車両であることは間違いありませんね。
それでは、今回はここまで。
次回はもう少し八代駅の様子、そして復路の様子をご紹介します。
★乗車データ
5403A さくら403号 鹿児島中央行き 博多(8:39)⑪→熊本(9:17)⑬ 800系 U001編成
9311レ 快速SL58654百歳号 八代行き 熊本(10:21)⑥→八代(11:16 11:18)②
58654+オハフ50-701+オハ50-701+オハフ50-702+DE10-1207
↑2020年に行われた熊本→博多間特別運行の様子です。
↑2022年に行われた熊本→鳥栖間特別運行の様子です。