JR東海 HC85系とは
HC85系はキハ85系の後継車両として2022年7月より『特急ひだ』として運転が開始されました。
JR東海初のハイブリッド車両として2019年に試験車が製造され、ハイブリッド鉄道車両としては最速の120km/hで運転されます。
なお、特急ひだの場合、最高速度を発揮できるのは東海道線内のみとなります。
基本は4両編成、付属2両編成の2タイプがあり、電車のように運用されるので今までのように1両ずつ連結されることはありません。
運転区間は名古屋~高山、2022年12月からはJR西日本エリアでもある富山まで乗り入れ、近いうちに特急南紀にも導入されます。
外観
貫通型の先頭車は漆器のような質感がテーマになっていて、前照灯の光り方が近未来的な雰囲気です。
オレンジと白のカラーリングはJR東海のコーポレートカラーでもあり、在来線ではお馴染みの色です。
ロゴマークはハイブリッドの文字と紅葉や海をイメージしたラインが入っており、様々な運用に就くことを前提にしています。
普通車
座席配置は2+2、シートピッチは1,000mm(推定)となっています。
シートピッチは数値が公表されていないのですが、キハ85系が1,000mmであるため、おそらく同様と思われます。
大型テーブルにコンセント、無料Wi-Fiサービスなど新幹線とそっくりです。
コンセントの上に出っ張っているパーツを引っ張るとリクライニングすることができる機構はN700Sと同じです。
N700Sと同じで座面が沈むかなと思いましたが、至って普通の座席です。
カラーリングが紅葉みたいで色鮮やかです。
グリーン車
座席配置は2+2、シートピッチは1,160mmとなっています。
キハ85系では展望だったり1+2配置だったりしていたので、グレードが下がった感は否めませんが、普通席より2cm程度の座席幅広げられており、安心と信頼のN700系グリーン車と同じ機構が採用されています。
JR東日本のグリーン車でも普通車と変わらないような座席が採用されていることが多いですが、N700系のデチューン版なのでチープ感は抑えられています。
フットレストはレバーを踏むことで上下に動かせます。
ペダルはN700S風、支柱部分はN700風かな。
ヘッドレストは上下可動式で、JR東海としては珍しい装備です。
コンセントもあります。
グリーン車はここのパーツが黒いです。
読書灯は肘掛けのボタンを操作して、点灯することが可能です。
テーブルは前後スライドが可能です。
残念ながらカクテルテーブルのような小型テーブルはありません。
N700と同様に座面が沈み込む座席です。
N700Sのような挙動ではなく、どちらかといえばN700と似たような挙動で動きます。
2+2にグレードダウンしてもゆっくり寝れそうな座席になっているので安く予約できる機会があれば一度乗ってみる価値はあります。
隣に知らない人が来るとゆっくり出来ない可能性はありますが、普通車に比べると圧倒的に乗車率は低いようです。
表示器
フルカラーLEDで行き先と列車番号が表示されます。
車内もフルカラーLEDでハイブリッドシステムの作動状況も表示されます。
展示品
ナノミュージアムという名称でデッキに伝統工芸品が展示されています。
私が乗車した際は美濃和紙や一位一刀彫が展示されていて、デッドスペースを上手く活用しています。
乗り心地
キハ85系は1車両にエンジン2基で走行していましたが、HC85系は1基が発電機として動いているのでかなり静かになりました。
防音ももちろんですが、防振にも工夫が施されており、グリーン車にはセミアクティブサスペンションが採用されているなど、新幹線の技術も生かされています。
ただし、1つだけ不満なのはアイドリングストップ&スタートシステムのチューニングです。
ドアの開閉に合わせて、アイドリングストップ&スタートが行われるのですが、始動時も停止時もかなり揺れます。
JR東日本のハイブリッド車では低速時走行時に同様の作業が行われるので気にならなかったのですが、JR東海のHC85系では振動がゼロになってから行われるので非常に気になります。
惜しい、とても惜しいです。
おすすめ席
2列1枚の窓を採用しているHC85系では富山・高山方面の場合、
2号車は偶数番、その他では奇数番の席を選ぶと広い視界を確保できます。
また景色を楽しむ場合、『A席』の方が川沿いの景色を楽しめておすすめです。
ただし、午前中は日差しがA席側に当たることが多いので注意です。
まとめ
キハ85系に比べると見た目も地味になったし、展望席が無くなったし、豪華な普通車も普通の普通車になったし、と不満がないわけではありませんが、静粛性は格段に向上し、揺れもかなり抑えられています。
長い時間乗ることが多い特急なので、車内設備だけには現れない疲労感は軽減されていると思うので、観光やビジネスなど新しい特急を試してみてください。