5社直とは、東武東上線/西武秩父•狭山•池袋•有楽町線/東京メトロ副都心線/東急東横線/横浜高速鉄道みなとみらい線の5社で行われる直通を指します。

 これらの路線は非常に広範囲かつ複雑な運用のため毎週のように大幅なダイヤ乱れが発生します。酷い場合、週に2回運転見合わせということもあります。

 これらの路線の面白いところは、ダイヤ乱れ時に普段は見られない珍運用が多数見られることです。今回は通常は見られない異常時の5社直の光景を10個紹介します。

 


1.新桜台駅閉鎖

閉鎖された新桜台駅の入口の画像

 急なダイヤ乱れが発生した際、このようにたくさんの路線が直通していると一気に広がります。そこで、通常直通運転中止することで遅延拡大を防ぎます。

新桜台駅閉鎖のお知らせ板の画像

 しかし問題になるのが新桜台駅。地下鉄の小竹向原と西武の練馬を繋ぐ連絡線である「西武有楽町線」の中間駅です。小竹向原と練馬で西武有楽町線の折り返しを行うことはできません。その結果発生するのが、駅閉鎖です。

2. 小竹向原行き/千川行き爆誕

急行小竹向原行きの発車標

 前述のような西武線と地下鉄線の直通が打ち切られた際、西武線直通列車の行き先はこうなります。 

⑴各駅停車→千川行き
⑵急行•通勤急行→小竹向原行き

 

各駅停車千川行きの行き先表示器の画像
急行小竹向原行きの行先表示器の画像
 後者は4路線が集まる小竹向原行きにすることで誤乗乗り換え客の大混雑が発生し大混乱に陥るのを防ぐため、一つ前の千川で折り返します。また、池袋行きにした場合和光市方面に行くために改札外乗り換えが必要ですが、千川であれば真上の有楽町があります。
副都心線千川行きの画像

3.行き先変更&嘘の表示⁉︎

 遅延により直通が打ち切りになった場合、途中で行き先変更が行われる場合があります。

 またそれ以外に直通で生じた珍行き先の列車で以下のような実際とは異なる表示がされるケースもあります。

⑴東横線からの千川行きは東横線内池袋行き

⑵西武線からの自由が丘行きは西武線内渋谷行き

⑶西武線からの渋谷行きは西武線内元町中華街行き

⑷地下鉄からの自由が丘行きは地下鉄線内元町中華街行き

 これは、駅の表示ができなかったり、直通会社間で情報のやり取りが遅れた際にとりあえず仮で適当な行き先を表示し、会社を跨ぐ際に正式なものに変えるためです。

4.渋谷行きの王国

副都心線渋谷行きの画像

 ここからは東横線内で運転見合わせが起きた場合について説明します。東横線は東武東上線•西武池袋線とは異なり副都心線と一体化されています。そのため遅延だけで直通打ち切りにはなりません。しかし東横線の渋谷口自体が運転見合わせした場合に渋谷行きとなる場合があります。

渋谷駅4番宣に停車中の池袋行きの画像

 その際、折り返しの都合上東横線ホームから副都心線が出ることがあります(因みに逆の副都心線ホームから東横線は定期列車で存在)。

5.両方向あり得る自由が丘止まり

⑵横浜→自由が丘行き

 渋谷〜自由が丘の駅で人身事故などが発生した場合は渋谷〜自由が丘で運転を見合わせます。この際前者の地下鉄からの渋谷止まりの他、横浜方面から自由が丘止まりも運転されます。

 さらに折り返しの都合上、通常は優等待避の8両編成各駅停車しか使用しない自由が丘の副本線(外側線)に10両の急行や特急が止まることがあります。

 また上りホーム•下りホームどちらからも上り(渋谷方面)が発車します。

⑴渋谷→自由が丘行き

 先程の場合は渋谷口が見合わせた場合ですが、自由が丘〜

6.東横車の新木場行き

 

 5社直通は西武秩父線•狭山線•池袋線•有楽町線、東武東上線、東京メトロ副都心線、東急東横線、みなとみらい線で行われていますが、これ以外に東京メトロ有楽町線とも密接に関係しています。同線は建設の経緯から副都心線と車両が共通で、西武線•東武線とも直通しています。しかし、普段有楽町線を走行するのは10両編成のメトロ車・西武車・東武車のみで8両や東急車は使われません。しかし、保安装置や列車無線等の走行に必要なものは共通のためダイヤ乱れ時には東急車10両が充当されることがあります。

7.他社線車の西武池袋行きと練馬止まり&区間準急

 通常西武線の地上の池袋に5社直車が来ることはありませんが、ダイヤが乱れて直通運転が中止になると、取り残されたメトロ・東急車を使って西武線内の列車に充当されることがあります。

 また直通列車のダイヤを利用して特殊な列車が運行されることがあります。

  • 練馬発着の列車

直通列車をそのまま縮小して練馬〜飯能方面で運行します

  • 区間準急

本来は走行しない西武池袋〜練馬間を途中無停車で走り、練馬からは各駅停車になります。表示は準急ですが肉声放送では区間準急(2001年まで存在した池袋〜練馬間のみで速達運転する種別)で案内されるようです。

8.東新宿駅留置線化と8両Fライナー誕生

 東横線は8両編成と10両編成が混在し、各駅停車は8両、急行は8•10両、特急•Fライナー特急は10両で運用されています。なお各駅停車のみが止まる駅は2両分が柵で閉鎖されている駅とホーム自体8両分しかない駅の2種類があります。

 そのためダイヤが乱れた際、車両運用はぐちゃぐちゃになりますから各駅停車で使えない10両編成は非常に使いにくくなります。そこで、10両を運用から外し、8両のみで運用することがあります。

 その場合、10両は車庫に入れる分は入りますが、それ以外は東新宿駅の副本線や渋谷駅の本線に留置されます。

 またそれにより稀に8両のFライナーが走ることがあります。

9.4社直通しないFライナー⁉︎

 Fライナーは、東武(急行)又は西武(快速急行)、東京メトロ(急行)、東急(特急)、横浜高速(特急)の4社を直通する速達列車の愛称です。

※休日は東武線に快速急行があるため必ずしも最速達とは限らない

 そのため、通常3社•2社で完結する列車には付きません。

 しかし、ダイヤ乱れによって急遽直通が中止になった場合、本来はあり得ない3社完結のFライナーが運転される場合があります、

10.色々バグる西武線アプリ

西武線アプリのスクショ

 西武線が絡むダイヤ乱れ発生時に西武線アプリを開くとバグります。

 地下鉄直通が中止され、練馬止まりが発生した際、列車が来なくなるはずの新桜台駅のページに表示てしまいます...小竹向原方面で練馬行きという迷表示で。他の線区でも西武線内で行き先変更が行われれば同じ事象が発生します。

 その他、ダイヤ乱れ以外でもかなりの頻度でバグりますが、地下鉄直通に2000系が入ったり、各駅停車にLaviewが入ったりと手の施し用がないほどバグります。

 ダイヤ乱れ時に西武線アプリを開くときは注意しましょう。

最後に

 いかがでしたか。一つの遅延でこんなことになってしまうのですね。遅延に巻き込まれた時は乗車する列車と行き先に注意しましょう。それでは次回のブログもお楽しみに。


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おまけ

 2023年、これらの直通ネットワークに相模鉄道(以下、相鉄)が加わります。それにより5社直遅延時に目黒線埼京線の系統まで遅延の拡大が予想されます。また京急線との直通(フリーゲージトレイン又は対面乗り換え)計画の蒲蒲線も進んでいます。これらが実現すれば浅草線系統への遅延拡大も予想されます。直通は便利ですが過度に広げすぎると遅延した際に東京中の路線へ広がる危険性があるのです。鉄道ファンとしては面白い行き先に期待してしまいますが...

2023/1/22追記

ダイヤが乱れると、東上線内完結のFライナーや、急行新木場行き等が運転されることもあるようです。

なおこの記事は、2023年ダイヤ改正以前の内容となります。改正後はこれらも大きく変化すると思われます。