3年前の夏に長年勤めた職を辞し、一時的ながらまとまった自由時間ができた。この間なにかと支えてくれた連れの意向のままにちょっと長めの海外旅行に出た。行き先はフランス・スペイン・ドイツ。羽田発のスイスエアーでチューリヒを経由して仏ボルドー(Bordeaux)に降り立った。レンタカーを利用してボルドーワインの生産地を見てまわった後、南下して仏西国境を越え、スペインはサン・セバスチャン(San Sebastián)を訪れた。ここで数日間滞在し、バール(Bar)やレストランなどでバスク地方のさまざまな美食を堪能した。州都ビルバオ(Bilbao)にも滞在し、郊外に出かけて牛肉料理を食べ塩田を見学するなどした後に再び国境を越え、仏バスク地方のサン=ジャン=ド=リュズ(Saint-Jean-de-Luz)に立ち寄り、言葉は通じないながらも市場で新鮮な魚介料理を堪能したり、街をそぞろ歩きしながらボルドーに戻ってきた。その翌日、KLM機をアムステルダムで乗り継いで独ベルリン(Berlin)に着いた。事故渋滞のベルリンから抜け出すのに時間がかかったが、ドレスデン(Dresden)までレンタカーで移動し、夜遅くにエルベ川のほとりにあるピルニッツ城(Schloss Pillnitz)のホテルにたどり着いた。翌日からそこを拠点にマイセン本店やアルブレヒト城、ツヴィンガー宮殿などで磁器の見学に明け暮れた。

この間、僕はもっぱらレンタカーの運転と車を降りてからの道案内という専属ドライバー兼ツアーガイド。連れにしてみれば大名旅行もいいところだ。そうやって連れの下僕に徹したことが評価され(!?)、旅の最終日は僕の好きなところに行ってよいとのお許しが出た。

ドレスデン近郊にはナローゲージの蒸機が現役で走る路線がいくつかある。ちょっと距離はあるが、ポーランドとの国境の街ツィッタウ(Zittau)から伸びるZittauer Schmalspurbahn(ツィッタウ狭軌鉄道)に行くことにした。前回訪問が1996年9月だから23年ぶりだ。

20年以上もご無沙汰でいたので沿線の道筋などはほとんど忘れていたが、Bertsdorf駅周辺の景色が目に飛び込んできたときは懐かしさがこみ上げた。沿線は紅葉の時期で、木々が色づいていた。BertsdorfからはKrort Oybin方面とKurort Jonsdorf方面への路線が分岐するが、それぞれの路線で数本ずつ蒸機列車を撮影した。朝のほんの少しの間だけ晴れたほかはずっと曇りの天気であったが、しっかりと煙分を摂取することができた。

以下の写真は全てZittauer Schmalspurbahnにて撮影(2019年10月)

↓Olbersdorf Oberdorf ー Bertsdorf

↓Kurort Oybin Niederdorf

↓Bertsdorf ー Kurort Oybin Niederdorf

↓Teufelsmühle ー Kurort Oybin Niederdorf

↓Bertsdorf ー Kurort Jonsdorf Haltestelle

↓Kurort Jonsdorf

長かった旅もいよいよ今日で終わり。明日はドレスデン空港からチューリヒ経由で日本に帰るだけというわけで、ピルニッツ城のレストランで最後の晩餐を楽しんだ。そして、翌朝まだ暗いうちのチェックアウトに備え、早めに床に就いた。(続く)