【転用か】“波動用”E257系5500番台に高崎線特急表示・コンセント設置

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転用・機器更新工事が完了し、一連の転用が終了したかにみえたE257系。

最近になって、波動用の5000番台・5500番台の一部編成にコンセント設置工事がされている姿が目撃されていましたが、新たに「草津四万」「あかぎ」の表示が搭載されたことが目撃されています。

改造メニューが異なる転用に

踊り子号で使用されている2000番台と波動用の5000番台

E257系は中央線特急用の0番台が9両編成16本と、2両編成5本・房総特急用の500番台が5両編成19本が製造されていました。中央線特急では新型E353系による形式統一で2019年3月のダイヤ改正を以ってE257系の中央線での活躍が終了・房総方面では特急減便と「ホームライナー千葉」の廃止により9編成相当の余剰が発生しました。

これらのE257系の大半は東海道線へ転用されることとなり、伊豆特急「踊り子」と「湘南ライナー」代替の新しい特急「湘南」として、0番台改造の2000番台が9両編成13本・500番台改造の2500番台が5両編成4本活躍しています。

残りの9両編成3本・5両編成5本はしばらくそのままの姿で団体臨時列車・季節の臨時列車などを中心に活躍が続けられていましたが、東海道線転用が完了した2021年3月改正以降に機器更新工事が進められ、この際に5000番台・5500番台に改番されたほか、従来の松本車両センター・幕張車両センターから大宮総合車両センターへ転属しています。

この際の改造内容は東海道線に転用されたグループと一部メニューが変更されており、シートモケット交換、コンセント設置、座席上の発売状況ランプ、半室グリーン車の全席グリーン車化、9両+5両に対応した連結幌設置が省略されています。

5000番台・5500番台独自の改造としては、両番台共通の緑色塗装に改められたほか、荷物棚部分の化粧板が東海道線用が青色に交換されたのに対して波動用は黒色のものに交換されています。

両区分とも大宮総合車両センターに所属し、同東大宮センターを拠点に運用されていますが、2000番台と5000番台、2500番台と5500番台の相互代走はしない前提とされており、2022年現在も実績はありません。

特急「富士回遊」臨時便で運用されている5500番台

“夏休み”中の編成に変化が

先述の通り、波動用のE257系は9両編成の5000番台が3編成(OM-91〜93)・5両編成の5500番台が5編成(OM-51〜55)大宮総合車両センターに配置・同東大宮センターを拠点に運用されています。

不運にも波動用2区分が登場した2021年は感染症の影響で旅行需要が急落した年であり、運用は限定的なものとなっていました。2022年現在も運行機会は徐々に増えてきたものの、最繁忙期でもフル稼働には至っていません。

運用上の余裕が多い状態が続く2022年夏ごろより、この波動用区分の編成の一部にコンセント設置が新たに実施されていることが確認されています。記事公開時点ではOM-53〜55の3編成が施工済となっています。

そして11月2日には、新たに「特急あかぎ」「特急草津・四万」の前面愛称表示が東大宮センター内でファンにより目撃されています。

このことから、E257系5500番台が何らかの形で高崎線特急の運用を担うことが確実視できるようになりました。前月10月には高崎車両センター(新前橋)に貸し出されて高崎線内で試運転を実施している姿も目撃されており、一連の動きとの関連性が高そうです。

例年であれば年末にダイヤ改正の概要がJR各社から発表されますので、定期列車の使用車両変更となればこの時点である程度の情報が出てくるものと思われます。

「あかぎ」「スワローあかぎ」料金体系と名称の統一、「草津」のうちE257系充当列車は「草津・四万」に名称変更、辺りが想像しやすいところで、JR東日本では目立った新製車・淘汰車がなさそうな2023年3月改正では目玉の1つになりそうです。

余談ですが、E257系の機器更新とともに実施されたROM更新は複雑で、9両編成の2000番台と5000番台には東海道線・中央線の表示が、5両編成の2500番台と5500番台には東海道線・房総各線の側面表示が搭載されました。前面表示については機器更新車全てで共通となっており、9両編成の非貫通先頭車用の房総特急や富士回遊表示なども新規で作成されています。

乗務員室にある行先表示対照表には3線区のものが記載されており、その複雑さから趣味者どころか各地の乗務員さんでも仕様を理解していない事例が多く、E257系を使用する臨時列車ではたびたび誤表示が見られる原因にもなっています。

搭載されていない表示が対照表に記載されている一方で、搭載されている表示が対照表に記載されていないものも数多く存在していることも一部のファンの間では知られていました。

過去に目撃されて話題となったものでは「特急ひらつか」「特急しょうなん」がありますが、これらのデータが今回のROM更新で残存している可能性は低そうです。

今回の新規収録データがどの線区に分類されているのかは定かではありませんが、既存の“隠しデータ”があった東海道線区分でしょうか。

故障続出?予備を増やした651系1000番台

大宮操車場ライブカメラを通過する651系1000番台

かつては常磐線特急「スーパーひたち」を中心に常磐線の看板車両だった651系は、E657系への代替によって7両編成6本・4両編成3本が交流電源対応設備を機能停止とした1000番台として高崎線特急に転用されることとなりました。

2014年3月改正より、新しい料金体系が初めて採用された「スワローあかぎ」のほか「あかぎ」「草津」にて再出発。この時点では新宿駅発着の1往復は185系10両編成で引き続き運転されたほか、(スワロー)あかぎ4,5号が11両編成で常磐線時代に負けない長編成で運行されていました。

上野東京ラインが開業した翌年の2015年3月改正では早くも11両編成での運用が取り止められ、付属編成3本は用途がなくなってしまいました。2016年3月改正では185系が担っていた新宿行きに運用進出した一方で、列車自体は新宿発の下りが廃止となっています。

その後もダイヤ改正の度に減便・時間帯変更を何度も実施している「スワローあかぎ」ですが、651系7両編成を5運用とする体制自体は変わらず推移しています。

車両側の基本体制自体が全く変更なかったわけではなく、波動用として使用されていた0番台のK102編成が1000番台のOM207編成と改められ2018年に追加転入。7編成配置と増強されるも5運用を維持している点が特筆されます。651系の経年を考えると、故障対策の意味合いが強そうです。

直近の2022年3月改正でも夜間の「スワローあかぎ」2列車が定期運行終了となったものの、運用数自体に変化はありませんでした。しかしながら、同年4月にOM202編成が廃車となり、再び6編成配置5運用体制に戻されていました。

2022年3月改正現在でJR東日本が所有する特急形電車では唯一VVVFインバータ制御を採用していない651系は、経年車であるものの走行機器更新済みの253系1000番台・255系以上に早急な代替が必要であることは想像に難くありません

651系同様に界磁添加励磁制御方式の205系や211系でも部品確保の課題が深刻であることが明らかになっているように、一部編成だけでもE257系に代替することで部品確保を行う狙いがありそうです。

完全置き換えには高い障壁

先代の185系時代には、波動用の183,189系が最繁忙期の臨時便を担っていました

現時点で651系1000番台は2022年3月の「スワローあかぎ」運行本数削減後も6編成配置・平日5運用,土休日3運用(+最繁忙期に臨時1運用)とされています。

2022年3月のダイヤ改正では高崎線特急以外でも運転本数削減や区間減便となった(参考:過去記事 常磐線中央線東海道線)一方で、車両運用数自体は中央線特急のE353系付属編成以外で削られていません。

減便についても既にやり切ってしまった印象で、ピークである平日夕ラッシュ時間帯の減便をしない限り運用数削減が出来ません。

この651系の運用構成を見ると、平日の2運用相当だけを何らかの方法で代替出来れば651系1〜2編成を更に廃車にでき、4編成配置3運用体制に削減出来る……といった代替が可能な計算です。

この場合、現時点でコンセント非設置のOM-51,52の2編成が波動輸送を継続・OM-53〜55の3編成が2運用程度を受け持つ格好となり、現実的な動向として最も考えやすいところです。

波動用編成はその性質上、平日は活躍の場が少なく土休日中心の運用ですので、親和性が高い印象を受けます。

一方で、仮に651系全運用をE257系で代替する場合を想像すると、編成数の上では可能であるものの、波動運用で使用出来る車両がほとんどなくなることとなります。

また、波動輸送自体の一掃は極めて困難です。JR東日本が自らの意思で需要創出をしている臨時列車は削減できたとしても、最繁忙期の特急増発や外部団体との調整が極めて困難な修学旅行臨など、JR東日本の意思のみで廃止が出来ない列車も数多く存在します。

当初は2022年に廃車と報じられていた185系波動用編成が今も運用されているほか、185系C1,C2編成が6両編成・新幹線リレー色となり新たな波動用編成として運用開始を待っている状態であることを考えると、185系6両編成1〜2本を当面維持することでE257系5500番台を捻出・一部の定期特急運用に充てる……とすると辻褄が合います。

仮に全ての高崎線特急運用をE257系で運用すると仮定すると、「草津」が絡む平日・土休日3運用を5両編成・「(スワロー)あかぎ」のみの平日2運用を9両編成といったところでしょうか。この場合は座席数減少もある程度回避出来る一方で、より多くの185系を波動用に叩き直す必要がある点、より運用機会が少なく長期離脱期間もあった5000番台に対して未だコンセント設置工事がされていない点、土休日の「草津」の輸送力の点など様々な点で課題があり、そもそもそれが完全に克服出来るのならば転用時点でその計画があったはずです。

このほか、185系時代のようにE257系2000番台9両編成に東海道・高崎混み運用が設定されればより多い数の淘汰も考えられますが、JR東日本では遅延範囲の拡大を防ぐため以前より減少・淘汰する傾向が続いていますので考えにくいところです。強いて言えば2500番台1編成は常に東大宮に滞在しているため、共通予備的なポジションになるかもしれません。

E257系5500番台の運用を想像してみる

12/17 7:00追記

当サイトの想像と反して、全列車代替とも読み取れるダイヤ改正概要発表となりました。

現時点での発表は651系全数淘汰を断言できるものではありませんが、どのようにすればE257系で運用を済ませられるのかは新記事で考察しています。

2形式併用で651系1000番台の一部を代替とした場合、どのような運用となるのでしょうか。

651系の走行距離を抑制して少しでも延命を図ること、平日の特急草津は比較的空いているが土休日は需要が大きいこと、E257系は土休日に波動輸送に充てるため東大宮に戻したいこと、5両編成のE257系は混雑便への充当はなるべく避けること……など想像される条件が多く、ダイヤ作成者・車両運用作成者が頭を悩ましている最中と想像出来ます。

これに加え、新たな名称である「草津・四万」の表示が用意されている点も気になるところです。

最繁忙期のみの臨時特急用とは考えにくい(他の臨時特急愛称は未収録で運行されてきた)こと、651系と同等サービスレベルで良ければコンセント設置改造をする必要性がないことを考えると、減車・モノクラス化の代わりにサービスを拡充・新愛称で話題作りをすることで、地元の反発を避ける狙い……といった、沿線住民・自治体対策で鉄道事業者がやりがちな対応としては十分あり得るところです。

以上の課題と現在の651系1000番台の運用構成を基に、E257系5500番台を平日2運用・土休日運用なし、651系1000番台を平日・土休日とも3運用と仮定した場合、一例として下記のような運用構成が想像出来ます。

・平日 E257系5500番台

●東大宮操-大宮-高崎-あかぎ8号-上野-草津・四万1号-長野原草津口-草津・四万2号-上野-あかぎ7号-本庄-大宮-東大宮操▲

●東大宮操-上野-草津・四万3号-長野原草津口-草津・四万4号-上野-あかぎ3号-本庄-大宮-東大宮操▲

・平日 651系1000番台

○新前橋-高崎-あかぎ6号-新宿-東大宮操▲●東大宮操-上野-あかぎ1号-本庄-新前橋△

○新前橋-あかぎ4号-上野-回送-東大宮操▲●東大宮操-回送-上野-あかぎ5号-高崎△

○高崎-本庄-あかぎ2号-上野-回送-東大宮操▲(仕)●東大宮操-回送-上野-あかぎ9号-高崎-新前橋△

・土休日 651系1000番台

○新前橋-上野-草津31号-長野原草津口-草津32号-回送-東大宮操▲●東大宮操-回送-上野-あかぎ9号-高崎-新前橋△

○新前橋-高崎-あかぎ8号-上野-草津3号-長野原草津口-草津4号-上野-あかぎ5号

○高崎-あかぎ6号-上野-草津1号-長野原草津口-草津2号-上野-回送-東大宮操▲(仕)●東大宮操-大宮-新前橋△

土休日に2編成寝ている651系1000番台、平日はもっと多い数の編成が寝ているE257系5500番台の双方を有効活用しつつ、老朽化した651系の走行距離抑制・E257系の少ない輸送力という2つの課題を解決することは決して不可能ではない印象です。

上記は仮定条件としてE257系の群馬側での停泊を避けていますが、群馬側で1泊する運用構成とした場合、両形式とも長距離回送が減り走行距離も抑制出来そうです。

最終的な淘汰は新造車待ち?

労組資料記述や昨今のイベントで、遠くない将来の引退が想定されていることがうかがえる255系

JR東日本の現行車両では老朽車両となる253系・255系・651系の完全淘汰、機器更新未施工のまま現在に至るE257系500番台の今後を考えると、直接投入・玉突き転用いずれにせよ車両新造は避けられない動きです。

近年の事例では、E353系量産先行車が2014年2月公表→2015年7月落成・E261系が2018年5月公表→2020年11月落成と概ね1年半前=製造メーカーとの契約完了が想像される時期にプレスリリースが出されています。

直近で2022年度内にリリースが出される仮定としても2024年夏ごろに1編成目が落成、試験と乗務員訓練を済ませて2025年3月のダイヤ改正でデビュー……といった期間を要します。

JR東日本の車両代替は東日本大震災・E353系の計画遅れ・昨今の大幅な収支の悪化など延期方向で計画変更が多く実施されていますが、通勤車・特急車ともに各地で延命を強いられている印象です。

E257系の“再転用”も場繋ぎ的・限定的なものに留まることは容易に想像されますし、依然として房総特急用のE257系に機器更新をする計画変更がされていない点も疑問が残ります。遅くとも羽田空港アクセス線開業までに大きな動きがありそうです。

苦しい台所事情が垣間見られますが、攻めの姿勢を忘れないJR東日本ならではの新造特急がリリースされる日を楽しみに待ちたいところです。

過去記事

画像掲載元ツイート紹介

記事内掲載写真のうち、クレジット記載のある2枚のお写真は湘南🍥様(Twitter:@sckh56)より掲載許諾をいただいています。

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