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【四国新幹線】大鳴門橋の新幹線スペースが自転車道に?JR鳴門線の需要を見る[渦潮の上のサイクリングロード]

2022年11月1日

 

こちらは兵庫県神戸市、JR山陽本線の舞子駅に来ています。

 

駅を出て左側に向かうと、目の前にあるのは明石海峡大橋です。

この橋は本州と淡路島を結んでおり、さらに淡路島から四国に架かる大鳴門橋によって、関西圏から四国へ一直線のルートが形成されました。

 

また、この明石海峡大橋は道路しか無く、鉄道は走っていません。

そのため関西圏から徳島へのアクセスは、高速バスが首位を占めています。鉄道で行くには、瀬戸大橋を通る大迂回が必要になってしまうのです。

明石海峡大橋は元々、鉄道も通される予定でした。しかしオイルショックが重なり、費用圧縮のために道路だけの橋になったのです。

一方で、淡路島から四国に架かる大鳴門橋は、新幹線を通せる設計で建設されました。そして先日、このスペースを利用して、自転車道を整備すると発表されています。この事業によって、周辺の観光産業にどのように寄与するのか、徳島県側のローカル線、JR鳴門線への影響について見てみます。

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まずは明石海峡大橋の構造を見ましょう。

橋の付け根部分は、かなり立派なコンクリートの塊があります。

瀬戸大橋など橋を渡る時はそのまま通過してしまうので、こうじっくり見られるのは新鮮です。

 

近くには明石海峡大橋について知れる、橋の科学館があります。今回は時間的に行けませんでしたが、舞子駅からのアクセスも非常に良いです。

 

科学館の前では、何本もケーブルが集まっているモデルを示していました。これによって、あの大きな橋を支えている訳です。



橋の下部分を歩くことができる、舞子海上プロムナードへ行ってみます。

途中まで透明になっている部分で、入場料は250円となります。

 

定期的に、上から車の大きな振動が伝わってきます。

鉄道も通していた場合、瀬戸大橋と同じように、道路の下を通っていたと考えられます。現状ご覧の通り、斜めに支柱が入っているので厳しいでしょう。

元々は鉄道を通すつもりで設計が進められていたため、部分的にその名残は残っているそうです。しかし、構造や耐久性的にも、これから鉄道は通すことはできず、新幹線がここを通ることはありません。

 

瀬戸内海は徳島県阿南から和歌山県御坊を結ぶラインまでに及ぶ、結構広い範囲になっています。ここからも神戸の穏やかな海岸を見ることができました。

 

休憩所から、さらに奥へ進みます。

ここには一番の目玉として、アクリル板の上に渡された丸太を進むエリアもありました。高さ41mほどのスリルを味わうことができ、こういった高い所には、すべからくあるように思います。

 

明石海峡大橋で歩けるのは、神戸側から150mくらい。

その先へは点検用の網々部分が続いていますが、1年に2回ほどイベントで歩けるようです。

 

自転車で走れるようになるのは大鳴門橋部分だけで、この橋は通れないため関西から四国へ自転車で一直線に行けるわけではありません。

しかし、明石から淡路島にはフェリーがあり、10月には須磨から淡路の航路も試験運航されました。元々淡路島はサイクルツーリズムが盛んで、徳島側とも繋がればさらに観光産業振興が見込まれます。



それではここ舞子より、四国方面へ高速バスに乗車します。大阪や三宮から乗ることもできますが、ここでじっくり橋を見た後に渡るのも楽しいです。

バス乗り場はJRを挟んで、明石海峡大橋とは反対側。

 

橋上の高速バス乗り場へ上がる、エスカレーターは無機質な感じ。まるで工事現場に行っているみたいです。

 

1番のりばから四国各都市、奥の2番のりばから淡路島へのバスが発車します。ここからは徳島行きの高速バスに乗車し、四国へ渡ります。

 

明石海峡大橋は全長3,911m、支間長1,991mに及び、1998年に架けられた当時は世界一長いつり橋でした。

 

海沿いの白い神戸の街並みも非常に綺麗です。



四国新幹線は、大阪から徳島、松山を経由して四国を横断、豊予海峡を渡って九州に行く計画です。

本来は明石海峡大橋から大鳴門橋を通って四国へ至る予定でしたが、新幹線が走れるのは大鳴門橋だけに。そのため、和歌山から淡路島へ紀淡海峡に橋など架ける計画へ変更しました。もう一つ本州対四国のルートを増やす日は来るのでしょうか?



大鳴門橋は1985年、淡路島と四国を繋げた橋です。

明石海峡大橋よりも早く結ばれています。繰り返しになりますが、現在は自動車専用橋であるものの、鉄道も走れる設計になっています。

 

大鳴門橋上にあります、鳴門公園口にて下車しました。

 

四国側の先端が孫崎、淡路島側の先端が鳴門岬となっており、地名が向こうに奪われているみたいで違和感です。

 

大鳴門橋を横から見ますと、車が走っている道路の下にスペースが取られているのが分かります。

 

そして、途中には何かガラス張りの構造物が見えます。これが、渦潮を見るための遊歩道として整備された、渦の道です。



橋の下に当たる、渦の道入口まで来ました。

入っていく前に後ろを振り返ってみると、真ん中に大きな四角い穴が開いた壁が並んでいました。この四角い部分に、新幹線を通すということです。

その先トンネルまで掘っている訳ではなさそうですが、本来なら高松、松山を目指していきます。

 

入場料は510円、渦潮を見るためと思えばこれくらいはしますね。

 

下を覗き込むと白波が複雑に絡み合っており、本当に渦を巻いているのが分かります。

 

この上を新幹線が走っていたら…というロマンも感じますね。

 

さて、自転車道は真ん中の新幹線用スペースに通す予定です。ここに道を作ってアスファルトを敷くという、完成予想図が公開されていました。

このスペースの両サイドには、点検用の通路があります。これによって渦潮は見づらいのではないかとも思いますが、自転車を停められる休憩所などを作ってくれるのでは無いでしょうか。わき見運転による事故防止のためにも、これは必要だと思います。

 

自転車道は2027年度に完成予定です。淡路島を中心としたサイクルツーリズムが徳島にまで広がりを見せ、ここを自転車で渡るのはとっても楽しみです。



しかし、鉄道ファンとしてやっぱりここには、新幹線が来てほしいというのが切なる願いですね。

このスペースについては、新幹線複線分確保されています。しかし、耐久性は単線分しか無いとのことです。

四国新幹線を作るとき改良工事を行うか、それとも需要を考えて単線として開業させるか、具体化した時には議論が分かれそうですね。

単線新幹線の場合、十分な安全性を確保した上で運行可能なよう、技術開発が必要になります。それであれば複線で建設したほうが、費用を抑えられるのではというのが、個人的な考えです。



ここからは徳島駅行きの路線バスに乗車、鳴門駅へ向かいます。

鳴門公園を出発した時点では、15人程乗っている状況。鳴門観光港からはさらに5人乗ってこられました。

 

少々立ち客が出るくらいの乗車率となりまして、観光客が多い印象です。

 

鳴門駅前では7人だけ下車、やっぱり乗り換えの利便性など考えれば、徳島駅まで直接行けるのが便利です。

 

JR鳴門線の輸送密度1,925(2019年度)。駅周辺は結構栄えていまして、この利用状況は大量輸送を担う鉄道としてのメリットを、ギリギリ発揮できているくらいです。

 

JR鳴門線が厳しい状況なのは、同じく鳴門〜徳島を結ぶ路線バスとも競合しているためです。また、日常利用者の多くは自動車を中心に利用します。

観光面についても、鳴門駅から鳴門海峡まで9km。路線バスも1時間に1本で、わざわざ鉄道とバスを組み合わせるメリットは小さいです。

 

しかし、JR鳴門線も大鳴門橋の自転車道整備によるサイクルツーリズムが浸透すれば、観光面においては改善するかも知れません。

現在、JR四国は予讃線の伊予西条~松山で、自転車を載せられるサイクルトレインを運行しています。こちらでは自転車が走れるしまなみ海道を通って四国へ渡り、そのまま列車に載せるという流れを作り出してくれている訳です。

 

このようなモデルはJR鳴門線でも活用でき、大鳴門橋から自転車で鳴門駅まで来てもらい、そのままサイクルトレインに載せて徳島へ、ということも可能です。

鳴門海峡から鳴門駅の距離も自転車ならばネックにならず、自転車を載せられない路線バスに対してアドバンテージになります。

 

これで路線の赤字を改善するとまでは行きませんが、周辺の観光産業促進と組み合わせて、基礎自治体でもJRと協力し合って実現できるレベルだと思います。



ここからはJR鳴門線で徳島駅へ。16:03発で、ちょうど夕方の時間帯なので、高校生の方の利用状況など見てみましょう。

使用されているのはキハ47系気動車です。

鳴門駅の時点で20人くらいの乗車、5人が路線バスから乗り継いで来られたようで、そのうち3人は地元利用者みたいです。

 

JR四国の特急と同じようなチャイムが流れており、車内の雰囲気も相まって急行列車みたいです。

外からは小さな子が手を振ってくれていたりと、ただの普通列車でも温かな気持ちになります。

 

次の撫養むや駅からは、高校生の生徒さんが30人くらい乗ってこられました。

この駅は鳴門高校、鳴門渦潮高校の最寄り駅で、1日500人近くの利用者がいます。

 

鳴門線が高徳線から分岐する、池谷駅に到着。全部埋まっていた座席は、半分くらいまで空きました。

高松方面の普通列車へ乗り換える方も、10人くらいいらっしゃいます。

 

吉成駅にて、鳴門線の普通列車と行き違い。

大鳴門橋へ向かう四国新幹線の基本計画線では、この辺りに新幹線駅が設置される予定です。

 

綺麗な夕陽が落ちていく中、吉野川を渡ります。



徳島駅に到着しました。

高校生の生徒さんの下校時間で、かなり利用されている様子を見ることができました。バスに転換するのは難しそうで、これからも残ると予想されます。

 

さて、現在四国新幹線については、瀬戸大橋から高松・徳島、松山、高知方面へ分岐させる案が有力。大鳴門橋から高松・松山を経由して九州へ繋げるのは、厳しい状況です。

 

それでも徳島としては、新幹線は関西と繋げて欲しいところです。

高松からの新幹線を徳島駅に伸ばし、大阪との直通を諦めるのか、吉成駅周辺に設置して大鳴門橋を通って関西への望みを繋げるのか、四国新幹線整備が具体化した時には選択を迫られます。

 

現在は電車が全く走らない徳島県ですが、いつか新幹線として来ることを願いたいですね。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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