ついに引退!キハ281系
札幌と函館を結ぶ特急といえば「北斗」です。
現在はキハ261系が使われており、北海道一の都市・札幌と道南の主要都市・函館を結ぶ重要な役割を担っています。
そんな北斗ですが、2022年9月30日まではキハ281系気動車も使用されていました。
キハ281系はJR四国の2000系気動車に続く振り子式気動車として1994年に「スーパー北斗」で運行を開始。
在来線気動車として初の130km/h運行を実施し、札幌~函館間2時間59分運行という驚異の記録を達成した車両です。
その後はJR北海道の方針により2013年より最高速度を120km/hに落として運行、2020年からは列車愛称も"スーパー"が取れた「北斗」となり、往年の輝きは失われてしまいました。
JR北海道は特急用気動車をキハ261系1000番台に統一していく方針のため、引退が近いと噂されていたキハ281系。
2022年7月13日、ついに引退宣告が出てしまいました。
定期運行終了日は2022年9月30日。
北海道の特急のイメージとして最初に浮かぶのがキハ281系だっただけに、引退は個人的にも寂しいですね…
でも、そのお知らせには続きがあって…
それはラストランのお知らせ。
定期運行終了後から3週間後、10月22日・23日に特急「スーパー北斗」として復活運行を行うとのことでした。
しかも、途中停車駅は東室蘭のみ。
キハ281系デビュー時に最速2時間59分で運行されていた「スーパー北斗2号」と同じ停車駅です!
さすがに定期運行時と同じ所要時間というわけにはいきませんが、「スーパー北斗」の名前と東室蘭のみ停車の復活!
JR北海道全盛期を感じられるようなこの列車、ぜひ乗ってみたいと思って10時打ちを行いました。
結果…22日の札幌→函館間のきっぷ取得に成功!
最初で最後のキハ281系スーパー北斗の旅、楽しみたいと思います。
札幌駅へ
泊まっていたホテルを出発、大通公園を横目に札幌駅へと歩いていきます。
季節はもうすっかり秋。あと少ししたら雪の季節になるのでしょうか…
信号待ちをしていたら、なぜかスヌーピーが載ったトラックが目の前を通過していきました。
荷台に堂々寝そべるスヌーピー。一体何でしょうね…?
時計台の脇を通って札幌駅に到着。
賑わう駅構内へと入ってきます。
キハ281系、札幌入線
スーパー北斗は3時間59分の長丁場。車内で食べるお弁当を買ってから改札内へ向かいます。
お弁当を購入した札幌駅の「北海道四季彩館」、10月28日に閉店らしく…
PASEOもそうですが、どんどん変わっていきますね…
お弁当を手に入れたところで改札に入ります。
すでに改札の電光掲示板には「スーパー北斗」の表示が…
8番線にやってきました。
発車標には「停車駅は東室蘭です」の文字が誇らしげに流れています。
そして…
こんなものまで!
臨時列車にもかかわらず「スーパー北斗」の乗車位置案内が掲げられていました!
キハ281系全盛期を再現しようとする意気込みを感じます。
まもなく入線時刻。
ホームに人が増えてきました。
キハ281系入線まであと少し、期待が高まります。
12:16、函館からのスーパー北斗が到着!
側面には「スーパー北斗 札幌」の文字。
2日限りのスーパー北斗、復活です!
先頭車へ~
こちらが札幌方先頭車、8号車キハ281-901です。
「901」という車番からわかるようにこの車両はキハ281系の中でも一番最初に作られた先行試作車。
真っ先に廃車されることが多い先行試作車がラストランまで残るのはかなり珍しいことだそうです。
このキハ281-901、引退に合わせて登場時の姿に復元されていて…
具体的には先頭部のロゴが「HEAT 281 HOKKAIDO EXPERIMENTAL ADVANCED TRAIN」と登場時のものになっていること、スカートの色が青→灰色に戻されていること、だそうです。
高速化への期待を一身に受けていた時代の塗装の復元。
その時代を知らない私もなんだかわくわくしちゃいます。
反対側のホームから。
ロゴがかっこいいですね~!
先頭には赤く「SUPER」の文字が入った愛称表示器が誇らしげな姿を見せています。
先頭8号車の後ろにもまた先頭車がくっついています。
このように先頭車が中間に入っているのを俗に「変態連結」なんていったりしますが、COVID-19の影響もあって昨今ではキハ281の変態連結を見る機会はほとんどないようです。
(キハ85系とかだと変態連結は日常茶飯事なんですけどね)
外観を眺めていると行き先表示が函館行きに変わりました。
中に入りましょう。
こちらが普通車の車内。
キハ261系のものと同じグレードアップ座席に取り替えられており、古さは全く感じられません。
せっかくなので先行試作車の車内を見てみましょう。
変態連結なので7号車の先頭部を通り抜け~
なんだか秘密の通路を通っているみたいな雰囲気。
そしてここ、先頭部をつないでいるので…
愛称幕が間近に!
これも貴重です。
さて、こちらが先行試作車の車内。先ほどとは異なり青色のモケットの座席が並んでいます。
この座席は登場時から変わっていないそう。
こっちの席にも座りたかったかも…
そろそろ発車時刻。自席に戻ります。
※ついでに後で撮影したグリーン車の様子を載せておきます。
グリーン車は大きな焦げ茶の座席が並ぶタイプ。
2+1列配置で、車両中央で2列側と1列側の配置が反対になっています。
座席はこんな感じ。キハ283系のものと雰囲気が似ています。
グリーン車には車掌室がついていますが、まるでホテルフロントのようなオープンカウンターがついているのが特徴的。
これは他にはキハ283系でしか採用例がなく、キハ283系のグリーン車がすべて廃車となった現在ではもう見ることができないと思われます。
千歳線主要駅を飛ばしながら
12:38、多くのファンに見送られて札幌を発車しました。
車内チャイムとともに放送が流れます。
「次は東室蘭、およそ1時間30分後に到着します」
たった一駅しか停車駅のないスーパー北斗、どんな走行ぶりを見せてくれるのでしょうか…
列車本数の多い千歳線を案外早いスピードで飛ばしていくスーパー北斗。
さっそく全列車停車駅の新札幌を通過!
寝台特急廃止以来定期営業列車が通過することがない新札幌を堂々通過していくのは結構な違和感です(笑)
でも…どうやら先行列車に追いつきそうになったためか、さっそく速度が落ちて…
まあ、臨時列車なので仕方ないですね(笑)
列車は続いてこれも全列車停車駅の南千歳を通過。
新千歳空港や石勝線帯広方面への乗り換え駅をも容赦なく通過していきます。
乗り換え需要よりも速さを追求していた時代の姿です。
南千歳を過ぎると先行列車がいなくなったのか速度が上がりました。
車内で駅弁を
ここで先ほど買った駅弁を…!
函館駅名物、鰊みがき弁当です!
鰊の甘露煮と味付け数の子が入ったシンプルなこのお弁当は、青函連絡船の時代から函館駅名物駅弁として有名だったそうです。
旅行時には毎日お昼ごろに札幌駅の北海道四季彩館にも入ってきていて、購入することができました。
甘辛く煮込んだ甘露煮は柔らかく、数の子はポリポリとした食感が楽しめ、人気なのが実感できるお弁当でした!
沼ノ端を過ぎ、列車は室蘭本線へ。
4点チャイムが流れ、次の苫小牧に停車するとの放送がありました。
ということで苫小牧、運転停車です。
停車してしまうのは残念ですが、これも臨時列車の宿命…
苫小牧を発車。
列車は室蘭本線を西へと向かっていきます。
マヤ検との出会い
室蘭本線に入ったスーパー北斗。車窓右手には樽前山が見えます。
すかさず車掌さんより車内放送で樽前山の紹介がありました。
樽前山は標高1041mの活火山。火口原には特徴的な溶岩ドームがあって、その頂上が最高地点となっています。
ちなみにこの樽前山から名付けられた「ホッコータルマエ」という競走馬がいて、最近ウマ娘となって登場しました。
列車は白老を通過。
ウポポイ(民族共生象徴空間)の最寄り駅で、同施設の開業後は一部「北斗」が停車するようになりました。
さて、白老を過ぎてからしばらく、チャイムが流れ車掌さんから放送が入りました。
「まもなく緑色の車体をしたマヤ35形高速軌道検測車とすれ違います。動画撮影される方はご準備をお願いいたします」
マヤ35!?
急いでカメラを構えると…
キハ40にサンドイッチされたマヤ35とすれ違いました!
マヤ35は軌道検測(通称・マヤ検)に使われる事業用客車。
2017年に導入された新しい車両で、北海道新幹線と同じ緑色の車体に雪原をイメージした白と紅葉をイメージしたオレンジのラインが入ります。
通常はキハ40-301・304にサンドイッチされた状態で検測を行っていますが、なかなか見ることが難しい車両です。
車掌さんの放送があったおかげで初めて撮ることができました。
まさかマヤ検とのすれ違いを放送してくれるなんて思わずびっくりしちゃいました。
サービス精神旺盛ですね…!(一般人にはなんのことかわからないと思いますが…)
東室蘭停車
スーパー北斗は登別温泉の玄関口・登別を通過。
登別温泉へはここからバスで20分くらいです。
↑登別温泉を訪問したときの記事
登別を通過してしばらく。列車は速度を落とし、東室蘭に到着しました。
この列車唯一の途中停車駅。
ここから乗車する方も少々いるようで、その客を乗せてから列車は東室蘭を発車しました。
次は終点の函館。あと約2時間30分後の到着です。
続きます。
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