藤沢駅を境に運行が分断されたことで、片瀬江ノ島発着の快速急行は消滅しました。
箱根湯本と片瀬江ノ島は、小田急で行ける主要な観光地ですが、どちらにも通勤型車両では乗り通せない状況となっています。

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2022年3月12日のダイヤ変更において、大胆な減便を行った小田急ですが、今後片瀬江ノ島発着の快速急行が復活する可能性はあるのでしょうか。

少数派だった片瀬江ノ島発着の快速急行

湘南急行を発展させ、2004年に快速急行が誕生しました。
ロマンスカー以外では最速となる種別であり、江ノ島線系統を走る列車は藤沢発着が基本とされました。

10両の優等列車が藤沢発着となるのは、湘南急行の時代から続いており、片瀬江ノ島発着の列車は少数派でした。
1日に1本しかないというのが定番でしたが、花火大会等が実施される際には延長運転が行われ、普段より多くの片瀬江ノ島行きが走ることもありました。

その状況に変化があったのは2018年のダイヤ改正で、土休日に限り多くの快速急行が片瀬江ノ島発着へと変更され、比較的見る機会が多い列車となります。
攻めの輸送へと転じて、インバウンド等の需要を狙ったものと思われますが、少しして新型コロナウイルス感染症による影響を受けることとなります。

片瀬江ノ島発着の快速急行が復活する可能性

土休日だけとはいえ、片瀬江ノ島発着の快速急行が増加した江ノ島線でしたが、2022年3月12日のダイヤ変更で再び変化が生じます。
このタイミングでは、藤沢を境として運行が分断され、江ノ島線全線を通して運転する列車は数えるほどとなってしまいました。
快速急行においてもそれは例外ではなく、増加した状況から一転して完全消滅となってしまいます。



藤沢で運行を分断した背景には、スイッチバックによる運行の煩雑さを解消するという狙いがあるものとみられますが、今後予定されている駅の改良工事も関係していると考えられます。
その一方で、片瀬江ノ島発着のロマンスカーについては多く運転されており、特急への誘導という視点もあるのかもしれません。

今後はインバウンド等も徐々に戻ってくることが予想されますが、今の段階で快速急行の片瀬江ノ島発着を復活させることは難しいと考えられます。
減便に合わせて保有車両数の削減を進めているほか、藤沢で10両の停車に対応しているのが、1番ホームしかないという問題があるためです。

しかし、片瀬江ノ島発着の快速急行が復活する可能性がないのかというと、そうでもありません。
駅の改良工事に合わせて、2番ホームが10両の停車に対応し、1番ホームの出入りを支障せずに片瀬江ノ島に向かえるような配線変更が行われた場合には、比較的運用はしやすくなります。

改良工事後の藤沢がどうなるのかはまだ分かりませんが、配線を変更するような動きがあれば、変化はあるのかもしれません。
そこまでして復活させるのかという点では疑問が残るものの、少なくとも夏場等の多客時だけ延長運転をするといった対応はしやすくなりそうです。

おわりに

藤沢のスイッチバックがネックとなり、運行が分断されてしまった江ノ島線。
改良工事によってどのような変化があるのか、詳細が気になるところですね。