芸備線 と 持続不能の日本・その13 | 安芸もみじ / Photos, Historys, Trains - Hiroshima JAPAN

芸備線 と 持続不能の日本・その13

-芸備線と維持困難路線・その13-

今日はキハ40系とキハ120系のスナップ写真を、夏に訪れた場所からのUPです。

冒頭の写真は梅雨入り直前の6月20日に、下関駅での長門市行きです。

トワイライトエクスプレス瑞風5周年記念列車が発車した、その直後に入線して来たので、ホームにはまだたくさんの人やスタッフさんがいました。



当日の瑞風の写真は既にUP済みですが、枚数が多かったのでセレモニーの写真のみにしており、残りは通常ローテで公開予定としています。

そしてこの4枚は新見駅でのキハ120系です。

岡山DC開幕の7月2日に運転された、トワイライトエクスプレス瑞風の新見行きを、撮るために40年ぶりに訪れた時の写真です。



新見駅はある意味ターミナル駅で、伯備線の駅で新見市の玄関である顔と、芸備線そして姫新線の始発駅でもあります。

伯備線は岡山駅から倉敷市・総社市を通って新見市へ到達しますが、岡山駅と総社駅を短絡する吉備線もあります。

新見駅からは姫新線が伸びていますが、その名の通り津山市を通って姫路市とを結んでいる路線で、岡山駅からは津山駅と結んでいる津山線(ももたろう線)があります。



吉備線~伯備線~姫新線~津山線と乗り換えると、岡山駅から総社駅・新見駅・津山駅と巡って岡山駅へ帰って来ますが、中国地方において広島県よりも人口が少ない岡山県において、これだけの路線は重荷となっています。

コロナ禍によって保留となっていますが吉備線はライトレールへの転換が決まっており、姫新線も芸備線と同じく一部区間が単独維持困難路線となっています。

その他の交通体系への転換も将来の選択の1つかも知れませんが、自治体や運行会社の営業力にも限界があり、運転手そのものの確保も難しくなっている時代です。




バスでもライトレールでもありませんが、大阪の金剛山ロープウェイは2019(平成31•令和1)年から運休していおり、今年ついに廃業を決めました。

金剛山ロープウェイは大阪・奈良の府県境となる標高1125mの金剛山に路線を持つ村営索道で、標高708m地点の千早駅と標高975m地点の金剛山駅を約6分で結んでいました。

1966(昭和41)年に開業しましたが、建設基準法の新基準に駅舎の耐震強度が不足していたものの、改築予算が立てられずに2019年3月から運休していました。



2021(令和3)年には村営での営業を断念し、民間の譲渡先を募集していましたが、営業委託及び譲渡の相手が見つからなかった故の廃業でした。

大阪府という人口密度の高い府県の観光地でも、民間でロープウェイ1つを守れない今の日本に、JR籍から切り離された路線の維持は″困難″以上の″苦難″が待ち構えていることは、想像に難くありません。

西九州新幹線の部分開業によって、長崎本線の一部区間をJR九州籍のまま存続させて、列車の運営を沿線自治体が行う上下分離方式は、本数は減ったものの特急列車の運行も存続されました。



バス転換や第三セクター化以外の新たな選択肢となり得る形態ですが、日本ではまだまだ諸問題が山積しており、将来を見通して解決しなければならない事案が先送りとなっています。

JRが線路を保有しての上下分離方式の場合、あくまでもJRの施設を活用することが前提となるため、設備投資は抑えられるメリットがあります。

しかし芸備線や姫新線の単独維持困難区間では、保有会社そのものが変わることによって実行できる不要施設や乗降の無い駅の廃止などの実施が不可欠です。



メリットとデメリットを見極めながら、持続可能な鉄道路線の維持を考えていかなければなりませんが、新幹線開業による上下分離方式導入は、ある意味で明るい未来と言えるでしょう。

さて写真に話しは戻りますが、新見駅に続いては岡山駅での4枚で、新見からの帰えりで新幹線に乗り換えする間の撮影でした。

そして最後の5枚は、みまさかスローライフ列車とさく美さく楽を撮影したくて、7月23日に津山へ行った時の駅撮りです。


ーご了承事項と免責事項ー
● 芸備線と持続不能の日本のシリーズは、第1回からの連載となっています。

● 以前の記事を前提として積み重ねで記して行くので、特にスポットを当てた回でない限り、同じ解説を本文内では致しません。

● このシリーズは日本国の法律と下記の既成事実を基本として、中立的に私一個人の思いを綴っていますことを、ご理解とご了承のお願いを致します。

▼ ローカル線が使い辛いのと鉄道の優位性が発揮できないのは鉄道会社の責任で、沿線都市へ人が訪れない原因は、受け入れ態勢が脆弱な各自治体の責任である。

▼ 日本人口の減少と山間都市の過疎化は国政の責任で、諸問題を先送りにして国鉄分割民営化を強行させたのは国民の責任である。

▼ 公共交通の提供は日本国憲法と交通政策基本法に定める基本的人権の1つであり、安易に国民の権利を奪うことは許されない。

▼ 街の活性化は住民と訪問者の両輪が必須で、そのためにはインフラ・ビジネス・エンターテイメントの3要素に、恒久性が欠けては成立しない。

▼ 諸問題を先送りにして実行された諸事案件は、当時の有権者の責任であることは間違い無いが、先送りが実行された以上は当時まだ未成年や未誕生だった国民が、現在においてその全ての責任を負う。


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