こちらは2010年6月撮影の夕やけ団地の自転車置き場です。このときは団地の建物そのものを撮影していないので、空室がどれだけあったかわからないのですが、けっこうたくさんの自転車が停めてあります。

 

こちらは上の写真を拡大したもの。放置されているわけではないと思うのですが、子供用の自転車でしょうか、けっこうお行儀の悪い停め方をしているものもあります。原付バイクや一輪車もありますね。いずれにしても、2004年の様子を再現するには、自転車の調達が必須です。

 

鉄道模型の自転車といえば、古いファンにとって思い出深いのは、何といっても阿部敏幸氏の16番作品でしょう。子供の頃、「レイアウトテクニック」でみて、こんな小さなものを作ってしまう人がいるのだなあと驚嘆した覚えがあります。ただし、誰もが簡単に作れるものではなかったようで、懇切丁寧な製作記事だったにもかかわらず、その後の16番レイアウトにこの自転車が置いてある例を見た記憶がありません。エコーモデルからキットや完成品が出てからは、ずっと身近なものになったのでしょうが。

 

阿部様、機芸出版社様、画素数を落とすので、日本鉄道模型史に燦然と輝くこの記事の一部掲載をお許しください。阿部氏も凄いのですが、なかおゆたか氏によるイラストも本当に素晴らしい。当時は当たり前のように見ていた氏のイラストですが、今は古いTMSを読み返すたびに、WOWという感嘆の声が出てしまいます。

 

さて、40年前、学生時代の小生が暇にまかせてNゲージの「国鉄箕面線白島駅」をせっせとつくっていたとき、プラの引き伸ばし線を使って、この作例通りの自転車を作ろうとしたことがありました。結果は惨敗で、小生、自転車の導入はあきらめていました。

 

ところがです、第6回レイアウトコンテスト推選(今の特選にあたると思います)の寺舘利之輔氏の製作記事(TMS1984年2月号)に、線材を使ったNゲージの自転車の作り方が出ていたのです。Nゲージ向けにアレンジされた、その製作方法にはすっかり感心させられました。機芸出版社様、再び掲載をお許しください。皆様、ひどい写真でスミマセン。このTMSは実家にあるので再撮影できないのです。

 

小生の場合は、半田付が下手なので、一部にプラ材を使ったさらに簡易な手法を取りましたが、夜な夜なせっせと自転車をつくった結果、白島駅のセクションには20台近い自転車が並ぶことになりました。こちらは白島郵便局前の郵便配達用自転車です。

 

こちらは公民館前に止めてあるもの。それにしても、プラバンで作った公民館は結構よくできていて、今の自分には作れないかもしれません。「オレは40年間何をやってたんだろう」とうなだれるばかりです。

 

駅前にはずらっと並んでいますが、自転車は高価なものだったので、実際は駅前に放置するような停め方はしていなかったようです。観光案内の看板は、画用紙に描いたものを写真に撮って密着焼きしたものですが、今のインクジェットプリンターを使ったものより細密かも。

 

畑と農家にも自転車があります。

 

さて、40年後の今日、Nゲージの自転車はどうなっているでしょう。ウエブで検索すると、おお、いろんな製品が出てきます。

 

何といっても素晴らしいのが、こばるのエッチング抜きのキットです。残念ながら同社は鉄道模型ビジネスから撤退してしまいましたが、今でもさかつうさんが「同等品」を扱っています。こちらはさかつうさんのサイトからお借りしました。

 

ステンレスの1枚板からチャイルドシートまで作らせちゃう設計の妙にはほとほと感心されられます。車輪にはスポークまであります。

 

 

こちらのエアロベース社様のキットもシャープです。おお、小生がえらく苦労して作った、夕やけ団地の駐輪場に似たものがついてます。

 

お値段を抑えたければ、レーザーカットのペーパーキットもあります。こちらのキハ工房様のものは18台分が800円です。

 

ミニチュアアート社のこちらはさらにお手頃です。楽天の同社ショップだと税込み308円(送料無料)だったので、ほろ酔い機嫌でネットを見ていて、ついつい購入してしまいました。

 

届きました。おおお、レーザーだと、こんなに細かい線が抜けるのですねえ。これに塗装をするだけで、白島駅セクション以上のものがつくれそうです。

 

けど、ちょっと待った。これをセクションに置いてしまうと、見た人(小生のまわりに鉄道模型好きの人はいないので、普通の人です)は間違いなく「へええ、手作りのジオラマなんですねえ。で、この自転車はどうやって作ったの?」と聞くことでしょう。ここまで頑張ったのに「あ、これは市販のキットなんです」と答えるのはちょっと悔しい。

 

というわけで、合理性のない偏執狂的こだわりが再燃して、自転車作りの苦しいプロジェクトが始まってしまいました。