奥羽本線の難所といえば、まず思いつくのは板谷峠です。標準軌へと改軌された現在も、山形新幹線は勾配と雪に苦しんでいる印象があります。


そんな板谷峠の地下をぶち抜いて米沢までを短縮させる長大トンネル、少し前から整備の話が出ていたのですが、本日山形県とJR東日本の間で整備計画推進に関する覚書が締結されたと発表されました。


山形新幹線米沢トンネル(仮称)整備計画の推進に関する覚書の締結並びに山形県内の鉄道沿線の活性化等に関する包括連携協定の締結について

https://www.jreast.co.jp/press/2022/20221024_ho01.pdf


覚書を読みますと、今年度1,958万円の調査費を計上するなど、山形県がJR東日本を支援する内容となっています。

これの見返りかつ鉄道利用の活性化と思われますが、JR東日本からもワーケーション先としての設定や山形県産品の販売、さらには両者にメリットがありうる内容として交通系IC化の推進や災害リスク情報の共通などを行うとしています。


想定工期15年、予想建設費1,500億円と一筋縄では行かない工事ですが、完成が待ち遠しいと思います。


一方で、これは久々の在来線付け替え工事と見ることもできます。特に有名な北陸本線北陸トンネルをはじめ、国鉄時代は幹線の改良で付け替え新線が多数建設され、旧線が廃止放棄されてきました。しかしJR化以後は、あまり例のないことです。

この工事が完成すれば、現奥羽本線板谷峠は過去のものとなります。まだ時間は十分にありますから、この区間の絶景も堪能しておきたいところです。


建設される米沢トンネル、新幹線複線交流電化断面となりそうです。その場合、電化方式は交流20,000V/50Hz、軌間は1,435mmの「標準軌スーパー特急方式」ともいえるものになるでしょう。

新幹線断面とするのは、いうまでもなく整備新幹線である奥羽新幹線建設を睨んでのものです。このトンネルが建設されることで、こちらの整備も弾みがつけばいいですね。