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乗りつぶし 富山地方鉄道立山線編 2022夏の富山旅⑥ [鉄道の旅]

ニューレッドアローで立山線を踏破!

富山地方鉄道軌道線を乗りつぶした翌日は、地鉄の未踏破線区である立山線と不二越・上滝線を片付けにかかります。まずは立山線から。

◆立山線の「臨時」列車に体験乗車

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▲地鉄に移籍後も昔の名前で・・・

今回、地鉄乗りつぶしに出撃するに当たってはある列車の運転がきっかけの一つになりました。それが7月~10月末まで運転される立山線の「臨時」列車です。電鉄富山ー立山間に1往復設定され、内下り列車については途中2駅のみ停車の速達便なのです。コロナ禍による乗客減少でほぼ壊滅状態に陥ってしまった地鉄の優等列車、そんな中突如として現れた速達列車に興味をひかれたのであります。立山往復に際し各駅停車しか選択肢を与えられていなかったら二の足を踏んでいたかも知れません。

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▲電鉄富山駅のエントランス

平日の立山行き「臨時」の電鉄富山発は9:46,「ホテルヴィスキオ富山」を9:30頃チェックアウトし、駅前広場を横切り電鉄富山駅へ向かいます。立派な構えのエントランスに迎えられコンコースに入りましょう。

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▲今回利用した1日フリーきっぷ

今回の乗りつぶしには地鉄の鉄軌道全線1日乗り放題のフリーきっぷを利用します。¥2600と少々値が張りますが、果たしてモトを取れるでしょうか?
券面のデザインはご覧のとおり鉄分ゼロ。オマケに地鉄時刻表を付けてくれましたが、当然「臨時」は掲載されていません。

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▲発車標も堂々「臨時」表示

この「臨時」、途中停車駅は本線との分岐駅寺田と立山町の中心地に位置する五百石の2駅のみ。かつての特急が岩峅寺、有峰口にも停車していたのに比べても断トツの速達ぶりです。にも拘らず特別料金不要という大盤振る舞いです。
それでは3番乗り場へ急ぎましょう。


◆ニューレッドアローにご対面

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▲にっこり微笑むNRA

その3番乗り場でにっこり笑顔で迎えてくれたのがコイツ。西武鉄道から移籍して来たニューレッドアロー(NRA)こと20020形(旧10000系)です! 西武時代にはご縁のなかったコイツにまさか富山の地で乗車する機会に恵まれるとは嬉しい限りです。

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▲3両編成です

7両編成からコンパクトな3両編成に短縮されていますが、外観はほぼ西武時代のままのようです。


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▲西武時代の車番が

側面には地鉄の車番に隠れるように西武時代の車番が残っています。塗りつぶされていますが、打ち抜き文字なので隠し切れません。ちなみに3両編成の車番は・・・221(10106)+20022(10206)+20021(10102)→立山 ( )は西武当時。

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▲行先標はお手製で

こちらは立山方先頭車。表示幕の「臨時」に加えて、助士席には「臨時 立山行」と表示されたお手製の行先標が掲出されています。立山行の表示幕は用意されていないのでしょうか?

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▲仮ホームに移った1番乗り場

ここで構内下り方に視線を向けると何やら仮設ホームらしきものが見えます。現在電鉄富山駅はJR・あいの風の富山駅に続いて高架化工事が進められており、それに伴うホーム仮移設工事のようです。右側の仮1番乗り場は既に稼働しており、車内には「1番乗り場発の列車をご利用のお客様は時間に余裕をもってお越しください」という主旨の告知が掲出されていました。左手には施工中のホームも見えます。

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▲車内の様子

9:46,立山に向け定時発車。
私は先頭車の進行右側に席を占めます。車内は概ね西武時代のままのようです。座席は向い合わせ(4人ボックス状態)にセットされていますが、回転させることも可能です。

気になる乗り具合ですが3両編成各号車に10人足らずという状態。ガラガラではありますが、大して宣伝も打っていない割にはよく乗っていると思います。中には山登り風の乗客もチラホラ。

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▲セミコンパートメント?

先頭車連結面寄りにはこんなコーナーが。ヴィヴィッドな色合いのシートがロングシート状にセットされており、なにやら特別席といった雰囲気が漂いますが、その正体は優先席でした。元々はトイレがあった場所だそうです。


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▲常願寺川

さて、目を車窓に移しましょう。富山の市街地を抜け越中荏原ー越中三郷間で常願寺川を渡ります。下流域であるこの付近ではゆったりと流れる普通の川ですが、この後立山手前で見せるその表情は全く様相が異なります。

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▲のどかな田園風景が広がる

岩峅寺までの車窓は概ねのどかな田園風景が続きます。
平坦な区間ですが、スピードはさっぱり上がりません。それに速度がおおよそ60㎞/hぐらいになると激しいローリングに見舞われます。お陰で楽しみにしていたNRA名物モーターの美爆音は聞こえず仕舞いでした。

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▲押し寄せるグリーンモンスター

ところが岩峅寺を出た辺りから景色は一変、山の気配が濃くなります。線路際には恐ろしいほどの雑草が押し寄せ線路を呑み込まんばかりです。その様相はまるでグリーンモンスター。こんな所で脱線事故でも起きたらどうしようとあらぬ想像をめぐらしてしまいます。
勾配もきつくなり益々スピードは上がりません。

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▲千垣橋梁で常願寺川を渡る

終点立山も近くなった千垣ー有峰口間で常願寺川を渡ります。高さは40m近くはありそうです。
常願寺川の表情も上流域らしく荒々しい表情を見せます。
こんな険しい車窓が続く立山線ですが、かつて国鉄・JRから特急・急行が乗り入れていた時代があったんですね。今では想像もできませんが。

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▲ゴールを目前にもう一度常願寺川を渡る

さらに立山到着を目前にしてもう一度常願寺川を渡ります。上流域のこの付近では真川の別名で呼ばれることもあるそうです。川面に転がる巨石がこの川の荒々しさを物語ります。上流側には県道43号線の真川大橋が並行しています。

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▲終点立山駅に到着

10:39、立山駅に到着です。電鉄富山からの所要時間53分と普通列車に比べ10分程短縮されています。
ここで気になったことを1点。車内に設置された情報案内装置が「この列車は特急列車です。特急料金が必要です」とのデタラメ情報を終始流していたことです。運行システム上この列車は特急扱いなのでしょうか?

なにはともあれ富山地方鉄道立山線24.2km踏破完了です。

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▲立山駅コンコース

たどり着いた立山駅ですが、斜面に突っ込むような構造でコンクリートで囲まれたホームは薄暗くトンネル駅のようです。
一緒に列車を降りた乗客はすぐにどこかに消えて行ってしまい私一人取り残されます。折り返し時間は約30分、さて、どうしましょう。駅と周辺をざっと探索してみましょうか。

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▲立山ケーブル乗り場

2階は立山・黒部アルペンルートの一角をなす立山ケーブルの駅になります。それにしても人がいません。アルペンルートとの連絡が良くないのかなとも思いましたが、そんな時間帯に地鉄が臨時列車を設定するとも思えません。謎です。

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▲立山駅駅舎

駅の外に出てみます。周囲には宿が点在する程度で人影もありません。

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▲周辺案内図 目立つのは・・・

周辺案内図を見ると宿の他に目立つのは「P」の文字。どうやらアルペンルートをマイカーで訪れた人たちからクルマを預かり代行運転で反対側に回送するサービスに使われる駐車場のようです。
案内図下にある「千寿ケ原」というのは古くからのこの付近の地名で立山駅も開業当初は千寿ケ原駅を名乗っていました。

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▲折り返し待機するNRA

遥々西武からやって来たNRAですが、運が悪いことにコロナ禍とタイミングが重なってしまい出鼻をくじかれます。本来活躍の場になるはずだった特急列車が軒並み廃止に追い込まれ、コイツも稲荷町で無聊をかこつ日々を過ごしていました。それだけに今回の「臨時」列車仕業はコイツにとっては期間限定ながら待ちに待った晴れ舞台になったのではないかと思います。


などと、電車の人生いろいろについて考えながら立山駅を後にするのでありました。


今回の成果

新規踏破区間:富山地方鉄道 立山線(寺田ー立山)24.2km 

富山地方鉄道踏破率:85.517%(63.192%) 
私鉄路線踏破率:51.525%(51.216%)
 ( )は直前のデータ
乗りつぶしオンラインによる集計

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コメント 4

まるたろう

現在の地鉄富山駅の様子、高架化の最中なんですね。
よく分かりました。
なお、ニューレッドアローが地鉄に来たというのは聞いた事が
ありましたけど、今のところ特に大先生による手は加えられて
いないようですね。
あと1日乗車券のデザインも、全くの鉄分無しですね(笑)。
自分が過去、地鉄訪問時に使った時は、車両の写真が載って
いました。
by まるたろう (2022-10-15 19:48) 

サットン

まるたろうさん

電鉄富山駅、絶賛工事中ですが、完成時期不明だとか。早くも阪急淡路化してしまっているようです。
NRAに関しては大先生の出番はなかったようです。アルプスエキスプレスも中間車を外しているようで、当分観光列車どころではないというのが実情のようです。
鉄分ゼロのフリーきっぷには拍子抜けしました。こんな乗車券、乗り鉄以外に使う人もいないと思うんですが。
by サットン (2022-10-15 22:56) 

のり

地鉄も高架工事中なのですね。
かつて富山を訪問したときは、市内線の富山駅前からJR富山駅までの道すがら、チラリと見た程度です。
あの界隈、もうわからないほど激変したのでしょうね。
by のり (2022-10-16 00:20) 

サットン

のりさん

電鉄富山駅の高架化工事は今のところ完成時期は未定なんだとか。鉄道の高架化工事って本当に気の長い事業ですよね。
富山駅前の光景、確かに激変しました。私の眼には金沢駅前よりも変化が激しいように映りました。
by サットン (2022-10-16 22:17) 

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