今なお115系をはじめ多くの国鉄形車両が行き交う下関地区のJR山陽本線。特に注目を集めるのは朝夕にある105系と元荷物電車123系の併結列車です。「鉄道開業150年」の個人的なイベント?として、普段は眺めるだけのこの列車に乗ってみました。

 

 

105系(前寄り2両)と123系の併結列車。異形式の組み合わせ自体はそれほど珍しくありませんが、両運転台の元国鉄荷物電車の存在は異彩を放っています=下関駅

 

 

 

普段は宇部線や小野田線を走っている105系と123系。山陽本線での運用は、所属先の下関総合車両所運用検修センターへの入出庫を兼ねています。

 

両形式による併結列車は、下りの2453Mは宇部駅を8時42分に出て(始発は新山口駅で宇部線内は1833M)、下関駅に9時27分に着きます。上りの2456Mは下関駅を17時34分に発車し、終点の宇部新川駅に18時31分に到着します。どちらの列車も下関方に105系が入ります。

 

私は途中駅からですが、下りの2453Mに乗車しました。まずは前寄りの105系へ。ドアの開閉は115系のような音ですが、その後加速すると国鉄通勤形電車らしいMT55Aのモーター音が鳴り響きます。山陽本線では宇部線などよりも速度を上げるため、高速回転域における甲高い爆音は、常磐快速線や京浜東北線の103系後期型モハに乗っているような錯覚を覚えます。

 

 

105系の車内(別の日に撮影)。併結時に123系と接するクモハ105形の運転席側の車内は、ワンマン運転時の運賃箱が中央に設置されています

 

 

 

次に123系(クモハ123形)に乗り移ります。同系は貫通扉付きに改造されているためホームに降りる必要がありません。併結部分を通り抜けると、いろんな機器が所狭しと並んだ運転台がよく見えます。ワンマン運転が前提なのか、周囲は意外と見通しがよく開放感があります。

 

 

105系と123系の併結部分(クモハ123側から撮影)。先頭車同士が連結されているため途中に客室扉がなく、混雑時以外はスムーズに通り抜けられます

 

通路から眺めたクモハ123形の運転台。ガラス部分が広く内部がよく見えます

 

助士席側からは105系のブラックマスクもチラリと見えます。123系の異形式との併結マニュアルも置いてありました

 

 

 

JR西日本に残っている123系は二つのタイプがあります。この日に来たのは当初可部線向けに用意されたクモハ123-4でした。旅客用に改造する際、大きな客室窓、平天井、バケットタイプのシートが採用されました。国鉄末期の新製車並みのしっかりした仕様です。

 

 

クモハ123-4の車内。大きな窓が特徴で、バケット形の超ロングシートが並んでいます。車内広告がないのは小野田線の車両だからでしょうか(以前広告が一切ない廃車直前の115系に乗ったことがあり、気になります)

 

123系の片開きの側引戸。115系に乗り慣れた人には、このドアも非日常的に見えます

 

 

 

123系乗車の楽しみはMT57のモーター音で、私はメカには詳しくないのですが、すっきりしていて穏やかな印象です。併結列車の走行音ではMT55Aとの「協奏曲」を期待しましたが、すぐ隣りに連結されたクモハ105形の爆音が終始圧倒していました…。

 

 

クモハ123形の運転台周辺。ワンマン運転前提の構造のためか、見慣れた115系などとはずいぶん異なっていて新鮮です

 

 

 

105系と123系の併結列車は運用が決まっていてキャッチしやすいのですが、一方でその時間に全ての用事を合わさないといけないので、私はこれまで乗車機会はそれほどありませんでした。しかし久しぶりに乗ってみると懐かしさと新鮮さで、あっという間に時間が過ぎていきました。

 

 

 

下関駅に到着した105系+123系の併結列車。クモハ123形の武骨さが鉄道ファンとしては魅力的です

 

 

 

乗っても撮っても楽しめる山陽本線の105系+123系の併結列車。皆さんも機会があれば…いや、ぜひ機会をつくってご体験ください。

 

 

 

【追記】

本稿でご紹介した105系と123系の併結列車は、2023年3月のダイヤ改正で姿を消しました。

 

 

 

※併結列車は以下の記事でも紹介しています

 

 

 

※123系についてはこちらの記事もご覧ください