GOTOトラベルから全国旅行支援へ | 鉄道きさらんど

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全国旅行支援事業がスタートした。

 



GOTOトラベル事務局のサイト(

 

)を見ればわかるように、GOTOトラベルは「一時停止中」という建前で、事業は存続していて事務局もまだあり、全国旅行支援は別の事業スキーム。つまり制度の形式上はGOTOトラベルと全国旅行支援は併存していることに!?しかし、実態としてはGOTOトラベルの後継となる代替事業が全国旅行支援であることは間違いないだろう。

 



ただGOTOと違い開始早々混乱に陥っている。都道府県ごとの独自の事業のルール運用でわかりづらく、しかも予算も都道府県ごとなので東京から行きやすい定番の観光地として人気の県からもう予算の枯渇がささやかれているという。

 

また宿泊施設の便乗値上げや、宿泊施設の予約システムのダウンで旅行支援を使わずに予約したい人が割りを食うという声も。ただこれには、元々例年は、いやコロナ禍時代になった一昨年以降でさえも秋は紅葉や連休で観光が活発な季節に旅行支援を始めたことが混乱や混雑に拍車をかけているという面もあるだろう。

 

元々GOTOトラベルは旅行需要がどん底まで落ち込んだ時期のテコ入れとして始められた。それと比べて全国旅行支援は一昨年や去年よりは旅行自粛ムードがだいぶ和らいで、しかも水際対策が緩和されてインバウンドが再び自由化されたのと同時期の今のタイミングでなぜ始めるのかという意見もある。

 

これは結局、与党の政治的思惑でこうなったという事なのだろう。本当はワクチン接種が本格化してコロナが落ち着いたがまだ鎖国状態の昨秋か、今年なら年明けからの第6波が落ち着いた春に始めたのが低迷する旅行需要の下支えという事業の趣旨からいってまだよかったが、選挙対策として衆院選や参院選の前に始めるのは不都合だったのだろう。2回の大型選挙の前にGOTOを実質再開してしまい終わらせるより選挙の公約として引っ張って旅行業界からの票集めに使いたいから2回の選挙を乗り切った後のタイミングにして、与党の勝利が決まって当分大型国政選挙がなく安定政権になることが決まってから事業開始の踏ん切りがついたと思うと、GOTOトラベルの「一時停止」から2年近くたとうとしているこのタイミングになったと思うと妙に納得がいく。

 

ただこれは問題が大きかった。去年1月の時点でGOTOはご破算になったようなものだけどGOTO事業の枠組みは存在し続けているので、「一時停止」で再開待ちという建前だから緊急事態宣言やまん延防止重点措置が出ているときにGOTOやれない前提で観光業界を守る新しく何をやればいいかという議論ができないし、飲食店は感染拡大で営業を止めたらむしろ協力金が入ってきて有利な制度設計なのに比べて観光や宿泊・交通は落ち着いてからのGOTO再開待ちという事で飲食店のような自粛期間の支援スキームの恩恵に与れずコロナ自粛の傷が深くなった。

 

そして長い自粛を経てホテルなどから離職者が出て人手不足気味の今のタイミングまでひっぱっての旅行支援の再開では、混乱が大きくなってしまいそうではある。

 

それでもやはり観光や交通業界の再活性化のいい機会になるし、旅行者もお得に旅行を楽しむことができるのは朗報である。

 

JR6社共通の毎年恒例の秋の乗り放題パスの発売やJR東日本パスと組み合わせての泊りがけの旅行が盛り上がるのは間違いないだろう。またGOTOの時の様に旅行支援クーポンで買えるお得なきっぷの発売をしてほしいもの。一昨年にJR西日本が発売した「自由周遊きっぷ」はなかなか使い勝手が良かった。

 

また、鉄道や公共交通の再活性化にも期待できる。インバウンドの自由化と相まって2年半以上減便されていた空港特急「NEX」や「はるか」が本数を元に戻すなどいい変化が起きている。