かつて「あかつき」などの関西ブルートレインで活躍したJR西日本下関総合車両所運用検修センターの直流電気機関車EF65形1000番台(PF形)。現在は工事列車や団体列車などを担当しています。全盛期に比べて注目される機会は減っていますが、鉄道模型メーカーのKATOからNゲージでの製品化が発表されました。実車の主な特徴を簡単にまとめてみました。

 

 

下関総合車両所運用検修センターに所属するEF65 1134。製造から40年余、細かな改造を受けながら活躍を続けています=新下関—幡生

 

 

 

現在下関に配置されているのは1120、1124、1126、1128、1130〜1135号機の10両です(1120号機は昨秋から運用離脱し入場中)。このうち保安装置ATS-Pを搭載しているのは1124、1128、1132、1133、1135号機の5両で、関西方面に常駐していることが多いようです。今春に全般検査を受けた1124号機はトワイライトエクスプレス色を維持し、異彩を放っています。

 

 

2015年以来、トワイライトエクスプレス色となっている1124号機=新下関—幡生

 

 

 

これら10両のEF65PF形は、形態的にはいずれも1979(昭和54)年製の8次形です。このグループは同形の最終増備車として主電動機など機器類の改良が見られるほか、スノープラウや砂まき菅ヒーターの省略など、当初から東海道・山陽本線に合わせた仕様でした。

 

JRに移行後も外観上は大きな変化がなく国鉄時代の姿をとどめていましたが、2004年ごろから台車がグレー塗装となり、近年はテールライトのクリアレンズ化、スポットエアコン設置による側窓の変更などの特徴が出てきました。

 

 

 

こんどの製品化でプロトタイプとなる令和3年時点の1128号機。屋根上はJR東日本、JR貨物所属機と異なり、モニターやひさし上部が青色となっています(KATOのEF65PF形はひさしがクリーム色の製品が多い気がするので、少し心配です…)

 

 

2017年末時点の1128号機。全検を終えた後のようで、グレーに塗装された台車がよく目立ちます

 

 

近年の下関のEF65PF形の注目点はスポットエアコンが設置されたこと。両エンド助士席側の窓の形状に変化が見られます(1120号機)

 

 

もう一つの大きな特徴は、LED化でクリアレンズになったテールライト。締まりのない表情になってしまいましたが、5年以上が経過し個人的には見慣れてきました(1133号機)

 

 

1エンド側車体にあるジャンパ連結器KE70栓受。下関のEF65PF形は車体と同じ青色になっています(1120号機)

 

 

下関のEF65PF形で一番最初に形態差として現れた貫通扉の塗り分け省略(1126号機)。本来は上部に少しだけ青色が入りますが、クリーム1色にされています。

 

 

 

運転席の窓下にも何やら部品が…ウインドウォッシャーのノズルが装備されています(1126号機)。あまり気にしていませんでしたが、撮影した写真を確認してみると10年以上前から取り付けられているようです(Nゲージでは小さい部品になるので再現されないような気がします)

 

 

 

以上、Nゲージの製品化決定に合わせて、下関のEF65PF形を簡単に紹介しました。ブルトレけん引の撤退から15年以上が過ぎた現在の姿は、形態差という視点では「下関らしさ」が出てきて、趣味的・模型的には楽しめるかと思います。

 

各種改造を受けているのは製造から40年以上、時代に合わせて活躍を続けている証しともいえます。関西圏でも見られるとはいえ何となく地味な下関のPF形ですが、今回のNゲージ製品化を機に10両の経歴や形態差が注目され、語られる機会が増えてくるかもしれません。

 

 

 

【追記】

EF65 1120は2023年5月に全検出場し、運用に復帰しました。

EF65 1135は貫通扉の塗り分けを残していましたが、ほかの下関所属機同様、2023年10月頃クリーム1色になりました。

 

 

 

※下関の車庫でのEF65PF形の様子は以下の記事で紹介しています

 

 

 

※姉妹ブログ「歴鉄2番線」では、かつて下関のEF65PF形がけん引していた配給列車を振り返っています