KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2022.10.04

北総線、悲願の運賃値下げを実施。

Z01002.jpg

北総線 運賃改定

▲印旛日本医大駅の運賃表のビフォー(上)・アフター(下)。最大で100円(IC:105円)の値下げが行われている
Z01001.jpg

北総線 運賃改定

▲普通運賃(きっぷ利用)の改定前と改定後の比較。北総線内の移動を促進するため、中距離帯を重点に値下げを実施した

10月1日、北総鉄道は北総線の運賃改訂を実施した。従来の運賃に対して全体として15.4%の値下げを行う内容となっている。

今回の運賃値下げが実現した背景には、長年の懸案事項だった同社の累積損失の解消がある。北総線の高額な運賃は、一時は400億円超にも膨らんだ損失の解消を優先したためだったが、ついに今年度にもその見通しが立ったのである。このことについて北総鉄道は、「累積損失解消を機に、ポストコロナにおける輸送動向や沿線の将来を展望し、また、利用者の声や沿線自治体のまちづくり施策との整合性などを総合的に勘案し、地域のインフラとして、利便性の向上や事業基盤の維持・向上に資するよう運賃改定を行うこととした」と説明している1)

普通運賃を11.6%、通勤定期を13.8%値下げ

以下、運賃値下げの具体的な内容を見ていこう。まず、普通運賃は全体で11.6%の値下げとなっている。初乗り運賃を210円から190円としたほか、北総線内の移動を促進するため中距離帯を重点に値下げを行った。値下げ幅が最大となるのは12〜14kmの区間で、従来よりも100円(ICカード利用105円)安くなっている。

通勤定期は全体として13.8%値下げした。一例を挙げると、京成高砂〜新鎌ヶ谷の通勤定期(1か月)は、従来の24,880円から20,160円に4,720円の値下げ。

通学定期は驚異の64.7%値下げ

中でも強烈なのは通学定期である。運賃を京成本線と同水準としたため、値下げ率は驚異の64.7%となっている。例えば、京成高砂〜印西牧の原の通学定期(1か月)は従来14,490円だったところ改定後は4,990円となり、実に10,000円もの値下げ。一般的に、通勤定期代は交通費として企業から支給されるが、通学定期の場合は各家庭の負担となる。通学定期の値下げ額がそのままほかの用途に使えるお金となるわけなので、沿線の子育て世代には朗報以外の何者でもないだろう。

京成成田空港線も運賃改定

京成高砂〜印旛日本医大で北総線と施設を共用する京成成田空港線も、同日に運賃改定を行った2)。運賃を改定する区間は、普通運賃と通勤定期が京成高砂〜印旛日本医大、通学定期が京成高砂〜成田空港で、それぞれ北総線の運賃と同額となるよう設定される。

◆ ◆ ◆

2021年11月19日に行われた運賃改定の発表は、その年の千葉県政10大ニュースに選出される3)ほど大きなものとして扱われた。それほどまでに、北総線の運賃値下げは北総鉄道にとっても沿線住民にとっても、そして千葉県にとっても、悲願だったわけである。

沿線自治体のひとつである印西市は東洋経済新報社が毎年公表している「住みよさランキング」4)の全国上位常連であるなど、住環境に定評のある街のひとつとなっている。今回の北総線の運賃値下げがプラスに働くことは間違いなく、まさに北総が考える沿線の活性化に資する施策と言える。今回の運賃改定が、北総線と沿線との好循環のきっかけになることを期待したい。

  • 北総鉄道
  • タグはありません

関連記事

北総7500形 「北総線沿線活性化トレイン」運転

沿線自治体の魅力を乗せて。北総鉄道では、8月末より7500形7503編成を使用した「北総線沿線活性化トレイン」を運転を開始した。この「北総線沿線活性化トレイン」は、北総と沿線自治体(市川市...

北総7500形 「北総線沿線活性化トレイン」運転
北総7500形 「会社創立50周年記念」ヘッドマーク

祝・北総鉄道会社創立50周年。2022年5月10日に会社創立50周年を迎えた北総鉄道では、これを記念したヘッドマーク電車の運転を行っている。ヘッドマークを掲出しているのは7500形7502編成...

北総7500形 「会社創立50周年記念」ヘッドマーク
北総鉄道 西白井の7000形保存車両をライトアップ展示

西白井の夜に浮かび上がるΣ形のシルエット。2022年5月10日に会社創立50周年を迎えた北総鉄道では、これを記念して西白井保守基地で保存している7000形7001号車のライトアップ展示を行って...

北総鉄道 西白井の7000形保存車両をライトアップ展示
北総線 西白井駅と白井駅に副駅名を設定

北総線、西白井駅と白井駅に副駅名を設定。北総鉄道では、3月下旬より西白井駅と白井駅に副駅名を設定した。副駅名は、西白井が梨も騎手も育つ街、白井がときめき梨の里となっている。両駅における副駅名の...

北総線 西白井駅と白井駅に副駅名を設定
北総7800形7838編成 登場

北総7800形にまさかの4本目の編成が登場。12月中旬より北総7800形7838編成が登場している。同編成はこれまでの7800形と同じく京成3700形のリース車両で、車両番号の変更は次の通り...

北総7800形7838編成 登場

最新記事

京成線 京成成田駅にイラスト入り駅名標が登場

京成成田駅にイラスト入りの駅名標が登場。京成線の京成成田駅にイラスト入りの駅名標がお目見えしている。登場したのは、3月末あるいは4月頭の模様。成田と言えば真言宗智山派の大本山のひとつ成田山新勝寺...

京成線 京成成田駅にイラスト入り駅名標が登場
北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)

今年も春がやってきた。4月21日、北総鉄道が主催する「ほくそう春まつり」の開催に合わせて臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。昨年、京成本線の八千代台始発として5年ぶりに運転された当列車...

北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)
千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版

当Webサイトでは、2023年3月の「千葉シーサイドバス路線図 2023年3月1日版」と題する記事にて千葉シーサイドバスの路線図を公開していたところであるが、約1年ぶりに改訂版を発行する。千葉...

千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版
京成グループ 車両の動き(2023年度)

京成グループにおける2023年度の車両の動きをまとめてみよう。まずは京成。ここ数年は列車無線のデジタル化に伴う予備車の存在や2度にわたる脱線事故の影響などでイレギュラーな車両の動きが続いていたが...

京成グループ 車両の動き(2023年度)
北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク

北総線開業45周年記念。北総鉄道では、3月上旬より7500形おいて「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマークの掲出を行っている。表題のとおり北総1期線(新鎌ヶ谷〜小室)の開業45周年を記念した...

北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク