8月の豪雨で磐越西線喜多方近くにある濁川橋梁が流されてしまった。C57 180号機が秋から全般検査に入りしばらく会えなくなるので、出撃しようと思っていた矢先の出来事だった。

僕にとって磐越西線で返しのC57をどこで撮るかというのは悩ましい問題である。あまり人混みの中で撮りたくないが、追っかけもしたいのでなるべくなら喜多方の近くで1発目は撮りたい。煙が期待できる慶徳峠や旧三洋電子前は人が集まるので避けることになり、自ずと撮影場所は限られてくる。普通なら山都駅近くの一ノ戸川橋梁だろうが、あそこは絶気のことが多く、秋の斜光線ギラが狙えるとき以外はいまひとつ。そうなると残るのは濁川橋梁くらいになる。磐越西線に出かけるときはいつも夜中に自宅を出るので、往路の列車を追いかけ山都あたりで昼食の蕎麦を食べると眠くなってしまう。そこで濁川のほとりの桜の木の下に車を停め仮眠するのが常ということもあって、濁川橋梁付近での撮影が多くなる。

↓新緑の頃飯豊連峰をバックに濁川を渡るばんえつ物語号(2000年5月)

↓川に憩う白鳥も振り返ってC57を見送っている。(2009年11月)

↑↓濁川橋梁の北側の堤は桜並木になっている。画面左側には駐車スペースがあり、この時期のうたた寝は至福のとき。(上・2010年5月、下・2008年4月)

↓雪のない中をクリスマストレインが爆煙でやってきた。リースなどのデコレーションがつくのはまだ先のこと。(2002年12月)

磐越西線にある3大鉄橋(僕が勝手に言っている。新津方から早出川橋梁・一ノ戸川橋梁・濁川橋梁)のうちで最もマイナーな撮影場所だとは思うが、僕には豊富なアングルを提供してくれる場所である。鉄橋の南側からは飯豊山系を背景にロングでオーソドックスに撮ってもよいが、小さな滝のような段差を入れるとか、手前に川を大きく画面に入れるなど色々な撮り方ができる。鉄橋北の喜多方側の堤には桜並木が続いており、桜の時期には見物人を画面に入れて撮ることが多い。鉄橋の山都方から続く築堤では、順光の南側で七三や流し撮りを、北側では夏に青々と育った稲を入れて、晩秋には夕空の山々をバックにシルエットでと実にさまざまな撮り方ができる。夕日ギラが狙える季節を除き常に空いているのもいい。難点は駐車スペースが少ないことくらい。しかし、ちょっと離れたところに車を停め、機材を担いで撮影場所まで歩くというのも鉄チャンらしくて悪くはない。

ところで今回の豪雨では磐越西線以外にも至る所で被害を受け、多くの不通区間が発生している。まさか濁川橋梁を復旧しないということはないとは思っていたが、ようやく先日、来年春に復旧させると発表があった。ひと安心だが、撮影場所がどう変わるのか楽しみでもあり心配でもある。

↓「波とかもめ」の小工デフに換装されたC57 180を流し撮りした。(2008年11月)

↓濁川を渡り多くのギャラリーが待ち構える舞台田に向かうC57 (2001年7月)

↓青い田んぼの中をC57が通り過ぎる。(2009年8月)

↓急客機にふさわしい走りをみせるC57(2010年10月)

↓日が沈む頃C57が帰路を急ぐ。築堤の向こう側は夕日ギラを狙う鉄チャンで密だった。(2020年11月)