北陸鉄道8802編成を撮りに金沢へ

北陸鉄道浅野川線の元京王電鉄の8802+8812号が2022年9月24日に引退するということで、9月17日と18日にかけて金沢に足を運んだ。

北陸鉄道は私に縁のあった鉄道ではなく、大阪に住んでいた大学時代に足を運んだこともなかったが、今撮るべき被写体であることに疑問の余地はなく、行けるなら行こうと思ったという訳です。

今回は、趣味仲間と共に、私の自家用トラックで金沢に向かうことにしました。趣味仲間は準中型免許を持っていないので、私が全行程を運転することになりますが、高速代や燃料代を合わせても、新幹線代とレンタカー代を合わせた額より安価になるため、個人的には運転を頑張れるところです。

16日金曜日の夜、残業が続くという趣味仲間は首尾よく仕事を切り上げ、最寄りの西武線の駅で合流、23時頃に自宅を出発。

横川SA、妙高SAで休憩を挟みつつ、名立谷浜SAで給油、いよいよ眠気に負けて蓮台寺PAで仮眠を取り、7時前には目的地の内灘駅付近に到着した。


内灘駅に向かうと、もう1編成の元京王車8902-8912号が側線に入っていた。

朝の光線の良い時間にさながら貸切りの車両撮影会のようで、長時間運転してきた甲斐があったと、大満足。

内灘駅に向かう道中、鉄道ファンが集まっている場所を目にしましたが、次に内灘駅に到着した列車は03系。

なあんだ、彼らも運用を知らずに待っているのだ、と呑気に駅で写真を撮っていました。

8802編成が車庫に見当たらないという事は、当然、次にやってきた列車が8802編成。

編成が運用に入っていたと安堵すると同時に、内灘駅での折り返し時間の短さ故、これから移動しても朝順光の直線構図ではもはや撮影出来ないことに気付いて、かなり落胆。

実は、北陸鉄道の車両運用は公開されていたのですが、これに気付いたのは昼過ぎのことでした。

気を取り直して、次のスポットへ移動した。

朝から晴れていましたが、そもそも九州地方には強い台風が近づいており、日本中どこも天気の悪い予報が出ていたこの連休、金沢も怪しげな天気予報でしたが、良い意味で天気予報には裏切られ、青空を背景に撮影することが叶った。

三ツ屋~三口周辺の直線構図は光線と運転間隔の都合で撮影は難しそうだった。光線としてはいわゆる「面トップ」になるものの、ひょっとしたら面白い写真が撮れるのではと思った割出~磯部の金沢高架橋へ足を運びましたが、これは徒労に終わってしまった。作例の無い場所、立ち寄るべからず(民明書房 2022)

「すしべん」というローカルチェーンで昼食後、沿線での撮影に戻った。

午後になると予報通りではあるものの、雲が増えてきたので残念に思いましたが、通過時はしっかりと太陽が出ている状態で撮影となりました。

線路の北側まで光線が回る時間になったので、内灘の跨線橋へ向かった。

この区間は併用軌道(ではないが)のような雰囲気の区間なので、自動車と並ぶ構図で是非とも撮りたいと思っていた。現地に行ってみると、跨線橋のフェンスが思いのほか背丈が高かったが、なんとか無事に撮影することができて、これは本当に良い記念になったと思う。

跨線橋で撮影して、そのまま鉄橋の北西側の有名撮影地へ移動した。

ここは北鉄で最も有名なスポットだと思われるが、どれくらいのファンが押し寄せているのだろうかと心配したが、10人ほど集まっているかいないかといった具合で、平和に撮影することができた。

待っている間に、明らかに雲が移動して青空が広がっていた。この写真は15:45くらいに通過したもので、折り返しをもう一時間待って、いわゆる限界光線を狙おうかとも思ったが、居合わせた他の鉄道ファンが影落ちするかしないか怪しいと言っていたので、折り返しは移動することにした。

ただ、内灘での折り返し時間は短いので、北金沢行きの折り返しは鉄橋で待つことにした。

思った通り、青空はどんどん広がっていた。この立ち位置と構図では、どこか傾いて見えて撮影後に悶々とするのは分かっていたが思い切って縦構図で青空を大きく入れてみた。

勿論、やはりどこか傾いている気がして悩ましいが、曇り予報に打ち勝ったこの青空、後悔はない。

この鉄橋撮影地、真横が粟ヶ崎駅のホームになっているので、停車中にも数枚シャッターを切った。

管理人はもともと編成写真が好みでスナップ写真は苦手としているが、なかなか良い出来だと思う。今回の撮影でもお気に入りとなった一枚だ。

蚊爪駅の北側のカーブへ向かった。この京王車を置き換えている元メトロ03系はWパンタで、内灘側先頭車にパンタグラフが設置されている。その内灘側先頭車を順光で撮影するなら蚊爪駅北側しかないだろうと目星を付けていた場所になる。

その目論見は正しかったようで、素晴らしい夕光線を浴びる姿を捉えることができた。

学生の頃、一時期、何でもかんでも面縦で撮影すれば映えると考えていた時期があったが、昨今はもっぱら編成写真ばかりだったので、こういった構図は大変久々に挑戦したとように思う。

写真としては冗長な感じなので掲載はしないが、折り返しの北金沢行きも光線が残っていたので、近くの踏切から後追いで撮影。もともと、この場所で撮りたいと言っていた03系はこのわずか10分後の通過だったが、太陽はピンポイントで雲の中に隠れてしまったので、これにて初日は終了となった。


翌日は、運転の疲れが残っていて8時半頃に宿を出発する遅いスタートとなった。ファストフードで朝食後に、北金沢駅へ向かった。

狙うは、8812編成が駅へ入線する構図である。しかし、北金沢駅と内灘駅では、到着した列車の乗客が降車するまで、次の乗客を入場させないという運用が採られている。はて、どのようにホームに入るのだろうか。

駅員に尋ねると、入場券を買えばいつでも入場できるという。そして入場券は硬券なので自動券売機では発売されておらず、窓口で聞かないと出てこないという具合であった。

入場券を買ってホームに入ってまもなく、お目当ての列車が入線してきた。

近代的な地下駅に、古臭い車両が入線しているのはかなり異質だと思ったが、京王3000系が活躍していたころの渋谷駅のようだと言う声をSNSで目にした。

ところで、このようにホームから列車を撮る構図は「ありがち」だが、これは個人的に控えたほうが良いだろうと、改めて感じている。

ポーランドのワルシャワ駅がまさにこのような雰囲気の地下駅で、自分が乗ってきた列車の牽引機をまさにこのくらいの角度から撮影したところ、何もかも傾いているように見えてお蔵入りとなっている。

線路を挟んで対面のホームから編成を撮影出来ない場合、代わりにという言葉は適切ではないかもしれないが、メーカーズプレートやナンバープレートなど車両の特徴的な部分に焦点を当ててスナップ写真を心掛けたいと思った。

ただ結局、車両の一部分だけが映っている写真(しかもBokehが大きくディテールの資料にはならない)と、傾いている気がするが車両の全体像を把握できる写真のどちらが20年後ないし30年後くらいに見返したときに撮って良かったと思うのかはまだ分からない。

帰り際、窓口で記念乗車券を購入した。台紙の裏側も京王線時代の写真と北陸鉄道での写真が様々掲載されているが、どうやら北陸鉄道には写真を「分かっている」担当者がいらっしゃるようで、なかなか好ましい写真で揃えてある。

下に並べているのは硬券の入場券。入場券とはいえ一応現役の硬券を手にしたのは初めてな気もする。そうえいば、前回の四国旅行で徳島駅開業123年記念硬券を貰ったが、行方不明なことに気付いた。


北金沢駅で列車を見送ったのち、石川線の終点、鶴来駅へ向かった。8802編成の沿線での撮影は前日に満足したので、せっかくだから石川線の車庫を覗いておこうという事である。

今回は浅野川線の2編成残った京王車の1編成が引退するから撮影に来たが、石川線には京王車が1編成しか残っておらず、石川線の運転本数の少なさを考えると、こちらのほうが希少性が高い。

非常に趣のある駅舎は開業時から使用されているということなので、戦前建築ということだろう。

1編成しかいない京王車は駅に留置されていて、すぐにお目に掛かれた。

浅野川線の8000系と石川線の7700系はもともと同形式だが、スノープラウの形状が異なる点が目についた。浅野川線の8000系は、車体裾が絞られていないスタイルの8802編成よりも幅広なスノープラウを装備しているが、こちらは至って普通な感じだ。

素人考えでは、より山側で郊外を走る石川線のほうが雪が激しそうだが、そうではないのだろうか。

しばらくして1番線に鶴来駅終着の列車が到着した。

この日、7000系原型顔の3編成は全て車庫で寝ていて、改造顔の2編成が運転されているようだった。石川線も特に夏季はなかなか魅力的な光線条件で撮影ができるようで、再訪したいと思うが、金沢まで足を運んで改造顔しか来ない…と思うと尻込みしてしまう。


この後、富山に移動して富山地鉄を撮影した。特に市内線の撮影は満足度が高かったが、今回は北陸鉄道だけで記事を完結させたいと思う。

市内線の撮影後にそのまま帰宅を開始したが、さすがに復路の徹夜運転は厳しいものがあり、休憩と仮眠を繰り返して出発地に戻ったのは翌朝の9時前になってしまった。

ハードスケジュールの撮影だったが、お陰で、充実した連休と、北陸鉄道8802編成引退前の素晴らしい記念になる写真を手にすることができた。大阪に住んでいたころに足を運んでいれば良かった思うと同時に、地方私鉄で第二の人生を歩み、活躍する車両の撮影を心掛けたいと思った。

この冬は、上毛電鉄で活躍する元京王車を撮影するのは良いかもしれない。

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