昔の鉄道ジャーナルの投書 | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

鉄道ジャーナルのタブレット欄について、あんなものは鉄道マニアの勝手な願望を書いたものに過ぎないという人がいるが、それは必ずしも正しくないと思う。

 

タブレット欄の事実上の店じまいを知り、手持ちのジャーナル誌で過去の投書はどんなものだったのだろうかと改めて興味がわいたのでいろいろと読んでみた。たとえばちょうど20年前の2002年の7月号はこんな感じだった。

 

この月の投稿は41通だった。この号は表紙と目玉ルポの題材はトワイライトエクスプレスだったが意外なことに投書は皆JR東海や東海地方がらみが多く、

  • ”逆”サイレンスカーの導入に賛成(東海道新幹線について)
  • <のぞみ><ひかり>の料金格差是正を(同)
  • 名古屋にも共通ストアードカードを(SFカードについて)
  • セラムビジョンの普及が楽しみ(桜通線の駅設備について)

タブレット欄の中にさらに、より長文の投稿を扱う読者論壇というコーナーがあり

  • 南方貨物線を撤去してよいか
  • 天浜線をバリアから解放せよ

と東海地方の旧国鉄未成線や転換線についてのものが占めていた。

 

この中では乳幼児が保護者と気兼ねなく乗れる(赤ちゃんが泣くのを遠慮しなくていい)東海道新幹線ファミリー車両は繁忙期限定の旅行商品といえ逆サイレンスカーの実現の形となった。大人がテレワークで通話してもいいSWORKS車両は大人向け逆サイレンスカーだし。また「のぞみ」とそれ以外の列車との料金格差の縮小はこの号が出た翌年の品川駅開業のダイヤ改正で実現した。この号が出た10年以上後だが名古屋の共通SFカード導入の代わりにICカードが共通利用できる時代になった。駅のデジタルサイネージ

は都市部では珍しくない時代に今はなった。

 

こう考えるとジャーナル投稿欄の提案をそのまま事業者が取り入れたわけではないのは勿論だが、結果的には形を変えてでもそれに使い形に変化した例はいくつもあり、鉄道趣味誌を読むような層が一般利用者の意識と遊離していることもなく、むしろ利用者の利便や快適を考えて社会的に提言する意識があるとさえいえる。(熱心な鉄道ファンは社会性がないというのは偏見だろう)

 

ただ南方貨物線は結局活用されず、天浜線のバリアフリー化はまだまだ道半ば。大都市の通勤路線や地下鉄、新幹線と違って貨物輸送やローカル線は鉄道ファンの提案もあまり実現しないもので、そこは現代の鉄道界の残念な所だろうか。