今は無き音威子府そばと天北線 / 音威子府から天塩川に沿って宗谷本線をさらに北へ【夏の北海道⑫】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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本ブログは鉄道・バス・船舶・航空機等について、記録も兼ねて記事掲載。

その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。

(前回記事の続き)

(JR宗谷本線から眺める北海道第二の大河・天塩川)










JR宗谷本線 音威子府駅

年季の入った跨線橋


JR宗谷本線 名寄発・音威子府行き普通列車は、16時05分、終点の音威子府(おといねっぷ)駅に到着

列車は終点の音威子府駅で57分間停車した後、列車番号が変わり、そのまま音威子府発・稚内行きになる。ドアは開いたままなので引き続き乗車でき、実質上は一本の列車扱い。


冬季は極寒地のため窓は2枚ある。車内に冷房はないため、夏季は天井の扇風機を回し窓を開けて涼む。

音威子府駅で57分間の長時間停車

稚内方面へ向かう最果ての線路

かつて、ここ音威子府駅からは、オホーツク海の浜頓別、猿払、鬼志別を通り南稚内に至るJR天北線が分岐していたが、1989年(平成元年)5月1日廃止になった。

音威子府駅は特急「宗谷」「サロベツ」など全列車が停車する。音威子府折返しの列車も設定されている。

全列車停車駅であるが列車本数は少ない。
特急列車は下り上り各3本(特急宗谷各1本、特急サロベツ各2本)、普通列車は下り3本・上り5本のみ。




国鉄時代末期に製造されたステンレス製気動車

静寂なホームにキハ54形気動車のディーゼルエンジン音だけが静かに響く。


屋根のない1番線ホームは普通列車専用の単式1面1線。普通列車専用のためホーム有効長は短い。

跨線橋を渡る2.3番線ホームは2面2線。特急列車も発着するためホーム有効長は長い。


キハ54が停車中の1番線ホームは跨線橋を渡らずに駅舎と繋がっている。

現音威子府駅舎「音威子府交通ターミナル」
1990年(平成2年)5月1日に駅とバスターミナルの兼用として落成。駅舎内に「天北線資料室」がある。

みどりの窓口(営業時間は日祝日を除く8時15分〜16時10分)と改札口。自動券売機はない。

将来の廃止が危惧される宗谷本線の名寄〜稚内間、通称「宗谷北線」


音威子府交通ターミナル(音威子府駅舎)には宗谷バス切符売場もある。

宗谷バスは、廃止になった旧・JR天北線(音威子府〜浜頓別〜稚内)の代替バスも走らせるが、音威子府始発は一日2本しかない。
また、1985年(昭和60年)7月1日に廃止になった旧・興浜北線(浜頓別〜北見枝幸)の終点・枝幸行きのバスも発着しているが、こちらは旧・興浜北線に沿って走らず近道を行く。


音威子府交通ターミナル(音威子府駅)の片隅には、2021年(令和3年)2月に廃業した、名物・音威子府駅そば屋が残っていた。

音威子府駅にあった駅そば「常盤軒」(西野商店)の創業は1933年(昭和8年)と古く、鉄道旅行者に有名な駅そば屋だった。かつては駅弁や「バター饅頭」なども販売していた。
以前の店舗はホーム上にあったが、その後駅舎内に移転。
店主夫婦の高齢等の理由により2018年(平成30年)8月17日から2019年(平成31年)4月24日まで休業。営業再開後は、10時30分〜14時00分頃(売り切れ次第閉店)の営業だった。
その後、新型コロナウイルス感染症拡大により2020年(令和2年)2月から長期休業していたが、2021年(令和3年)2月に高齢の店主が亡くなったことにより同年2月8日をもって正式に閉店し、「駅そば好きが最後にたどり着く駅そば」とも云われた音威子府駅そばは、約90年の長い歴史に幕を閉じた。


音威子府駅そばの麺は、1926年(大正15年)創業の畠山製麺の麺を使用。そばの実を甘皮ごと引いた真っ黒いそばに、昆布と煮干し出汁の濃い目のそばつゆが特徴だった。
駅そば屋に麺を卸していた畠山製麺も、1人で切り盛りしていた社長が高齢となったため、2022年(令和4年)8月末で約100年に渡り続いた製麺業は廃業となった。


音威子府村役場が掲示した音威子府駅そば屋閉店のお知らせ

ターミナル内には、音威子府駅そば現役時代の思い出の写真が飾られていた。




《音威子府村フェイスブックなどより》





2022年(令和4年)​8月21日(土)・22日(日)の両日、音威子府駅構内立ち食いそば屋だった旧「常盤軒」の最後の復活営業が音威子府村観光協会主催で行われ、数量限定で名物「かけそば」が振る舞われた。これをもって音威子府駅そばは長い歴史に本当に終止符を打った。


音威子府村交通ターミナル(音威子府駅)内にある天北線資料室

音威子府〜浜頓別〜猿払〜鬼志別〜南稚内を結んでいた全長148.9kmの旧・JR天北線。札幌と稚内を天北線経由で結ぶ急行「天北」(14系客車やB寝台車を使用していた時期もあり)も走っていた。





















音威子府交通ターミナル

JR宗谷本線、宗谷バス、音威子府村地域バスの複合ターミナル

車社会化した今は、駅前は閑散としている。

オホーツク海に面した枝幸と、旭川・札幌方面を結ぶ長距離バスの停留所


音威子府駅発車時刻表




JR宗谷本線 音威子府→幌延
音威子府駅に16時05分から長時間停車していた稚内行き普通列車。
音威子府駅から列車番号を変え、音威子府発・稚内行きへ。






17時02分、音威子府駅を発車

音威子府川を渡る。

北海道第二の全長256kmの大河・天塩川に延々寄り添いながら北を目指す。

非冷房の車内に、開け放たれた窓から、夏の北海道の森の冷気が入り込む。





筬島(おさしま)駅

ヨ3500形車掌車を改造した待合室


利用者はほぼいない。

悠々と流れる天塩川














佐久(さく)駅



利用者は数名程度




天塩中川(てしおなかがわ)駅

利用者は数名程度

駅舎は戦後の建築当時を偲ばせる駅舎に改装








天塩中川駅の次に歌内(うたない)駅があったが、2022年(令和4年)3月廃駅に。



問寒別(といかんべつ)駅

問寒別からは、かつて幌延町営軌道という簡易軌道(当初は殖民軌道問寒別線)があったが、1971年(昭和46年)に廃止。

小さな駅が次から次へと廃駅になったため、駅名標の隣駅は修正した跡だらけ。

待合室はヨ3500形車掌車を再利用。利用者は数名程度。


宗谷本線とは名ばかりの非電化単線のローカル路線






糠南(ぬかなん)駅

ホームは板張り

秘境駅として名高い駅

物置を再利用した簡素な待合室

利用者はほぼいない。駅周辺は牧草地で現在人家は一軒しかない。



数十kmにわたり天塩川沿いを走る。













糠南駅の次に上雄信内(かみおのっぷない)駅があったが2001年(平成13年)7月廃駅に。


雄信内(おのっぷない)駅

古い木造駅舎が残る。

この駅も利用者はほぼいない。


右隣も左隣も廃駅になったため修正した跡だらけ。



駅の稚内寄りの側線にモーターカーなどが留置



雄信内駅の次に安牛(やすうし)駅があったが2021年(令和3年)3月廃駅に。
 


南幌延(みなみほろのべ)駅

ホームは板張り。小さな待合室がある。


ホームから踏切を挟んだ手前に小さな待合室がある。

南幌延駅の次に上幌延(かみほろのべ)駅があったが2021年(令和3年)3月廃駅に。
 

間もなく列車は北緯45度のまち、幌延へ。


※2022年(令和4年)8月上旬