JR西日本の「懐鉄入場券」発売から半年。先日、友人夫妻の協力で広島駅の2種類を手に入れました。一番欲しかった寝台特急「あさかぜ」と急行「ちどり」。後者は見たことも乗ったこともない列車…よい機会なのでちょっと調べてみました。

 

 

急行「ちどり」は広島と山陰地方を中国山地を越えて結んだ列車で、芸備線、木次線を走っていました。山陽新幹線や中国自動車道などの整備が進むまでは高い乗車率を誇っていたようです。のちに運転区間が芸備線内に短縮され、2002年に廃止されました。

 

 

 

広島駅で発売されている急行「ちどり」の懐鉄入場券。写真はキハ58系、キハ55系の混成で国鉄時代でしょうか

 

 

 

手元にある1984年8月の時刻表を見ると、当時は2往復あり、下り「ちどり1号」は始発の米子駅を9時50分に出発し、終点の広島駅には約6時間後の15時53分に到着。「ちどり3号」は鳥取駅を11時16分に出て、広島駅に18時39分に着くダイヤだったようです。

 

 

中国山地を越える木次線は、いまは利用が低迷し廃止も取り沙汰されている路線ですが、かつては陰陽連絡の主要ルートで多くの人々が往来したことでしょう。出雲坂根ー三井野原間の三段式スイッチバックなどは鉄道旅行の視点で見ても魅力的で、懐鉄入場券に記されている「紅葉の眺望は車内から歓声が上がった」との乗務員の思い出からも、往時がしのばれます。

 

 

木次線の名所、スイッチバック(写真は出雲坂根駅に下りてきて、出雲横田方面へさらに下るところ)。鉄道旅行を存分に満喫できる路線です=2005年

 

 

 

私が05年に青春18きっぷを使って「ちどり」と同じルートで広島から鳥取に向かった際は、列車本数の少ない区間をうまくクリアし、山陰本線の宍道駅からは特急「やくも」と寝台特急「出雲」に乗り継ぎましたが、結局約10時間かかりました。7時間で走った「ちどり」は、今ほどクルマ社会でなかった頃はきっと重宝されたことでしょう。

 

 

1990年ごろのキハ58系。広島急行色(初代)と呼ばれる塗装で「ちどり」でも見られたようですが、この車体色の期間はあまり長くなかった印象です(小郡運転区にて、許可を得て撮影)

 

 

 

急行「ちどり」はこれまで列車名を聞いてもピンとこない感じはありましたが、昔の時刻表と15年以上前の旅の写真で振り返ってみると、ちょっと親しみが出てきました。

 

 

鉄道知識を学んだり時刻表で机上旅行をしたりと、1枚150円の懐鉄入場券からはいろんな興味が広がります。全32種類…まだ8分の1しかそろっていませんが、それぞれのストーリーとの出合いが楽しみです。

 

 

 

※姉妹ブログでは、国鉄末期~JR初期の鉄道を振り返っています