本日、めでたく西九州新幹線が開業した。めでたいニュースのその裏で歴史ある駅名が変わってしまった駅がある。長崎本線の肥前山口駅である。佐賀にある佐世保線も乗り入れる要衝の駅だ。

 
この駅は結構思い出深くてね。初めて一人旅をした高1の春休み、九州一周の旅の最終日の事である。
手持ちのお金がほぼほぼ底をついた5日目の昼、僕はこの駅に降り立った。当時1日単位でばらばらだった5枚目の18きっぷを握りしめ僕は改札を出た。腹がすいたので近くの農協だったかスーパーに行き、試食のミカンを頬張りあとはやっす~いジュースを買った。当初はもう少しお金が残ってるはずだった。前日の夜、長崎駅へ最終電車で入った。その前の晩は熊本駅で駅寝して、世間知らずだった僕は「ほぅ、九州のでかい駅は24時間開いてるんだな」と思い込み、長崎駅でも駅寝をしようと思っていた。しかし長崎駅の待合室では0時を回ったころに「閉めるからでてくださ~い」と追い出されてしまった。ちなみに何故熊本駅が24時間開いていたかというと真夜中に上下線のドリームつばめが停車するからである。夜中に停車列車のない長崎駅には24時間駅を開けておく理由はなかった。

予定外のことに困惑しながらも、野宿する勇気はなかったのでなけなしの財布をはたいてカプセルホテルに泊まった。「長崎もホテル代タダだから」と前日の阿蘇山でちょっとお金を使ってしまったこともあり、これでほぼすってんてんになってしまった。
その状態で降り立った肥前山口の駅。ホームの端っこに陣取ってジュースを飲みながら次の電車までぼーっとしていた。穏やかな陽気の小春日和だったと思う。
長崎本線と佐世保線という大きな路線が乗り入れる駅ではあったけどどことなくのんびりしており、穏やかな時間を過ごした記憶がある。
そんなこともあって肥前山口と聞くとあの日の記憶が思い出されるのである。ちなみにあの日、夜遅くに可部駅へたどり着いた時には本当に腹ペコ。飲まず食わずで10時間くらい過ごしたんじゃないかな。当時の時刻表を見れば正確にわかるだろうけど。(当時のやつ、持ってます。)
ちなみにこの駅は最長片道切符のゴールの駅。関口知宏さんの最長片道切符の旅でもこの駅でゴールする関口さんを祝福する人達が大勢訪れた。そういう意味でもこの駅は鉄道ファンには有名な駅だった。
しかしそれも昨日まで。今日からは「江北」というよそ者にはなじみのない駅名に代わってしまった。さらに西九州新幹線の開業で最長片道切符の旅のゴールも本日開業した新大村駅に移ってしまった。
昨日は僕が読ませていただいている鉄道系のブロガーさんたちもこの件で記事を書かれていた。
 
なじみのある駅名がなくなり最長片道切符のゴールでもなくなってしまった肥前山口駅。旧の国名が入る国鉄らしい駅名だったんだけどね。なんか寂しいですな。