Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
56回目は、イタリア国内TEEのアンブロシアーノ(Ambrosiano)号です。以前紹介したミラノ〜ローマ〜ナポリ間のTEEヴェスヴィオ号が大好評で、その結果をうけてヴェスヴィオ号運行開始の翌年となる1974年に運行開始しました。
ミラノ・ローマ間といえば、日本の東京・大阪間に該当する「2大都市間特急」であり、オール1等車でも充分需要があったようで、70年代半ばごろのミラノ・ローマ間には、セッテベロ号、ヴェスヴィオ号、と今回紹介するアンブロシアーノ号の3本のTEEが運行されています。
列車名の由来は?
4世紀に実在したミラノの司教(守護聖人)であった、アンブロジウス(聖アンブロス)に由来しているようです。
運行されていた国 イタリア
運転時期と区間
急行列車の格上げで登場。ダイヤはセッテベロ号を踏襲
1974年5月26日 〜 1987年5月30日
ミラノ − ローマ
2等車連結のインターシティーに格下げ
使用された車両、編成
客車列車
グランドコンフォルト型客車(国内向け)
イタリア国鉄の国内線向けグランコンフォルト車両が運用に入っていました。
運行開始当初は通常期9連、冬期はコンパートメント車(A)を2両追加し11連で運行されました。
編成内容(冬期)は、ミラノから3 A+1 Ap+2 WR+1 Ap+3 A+1 Ds でした。
※Dsは荷物・電源車、Aは1等コンパートメント車、Apは1等オープン座席車、WRは食堂車。数字は両数
以降の編成構成について。美食の国らしく、食堂車の構成が中心となります。
1975年〜 夏のバカンス中(7、8月)に限って、食堂車2両のうち1両減車
1979/80年冬ダイヤ〜 食堂車2両のうち1両が荷物・電源車(Ds)に変更されオープン座席車(Ap)の乗客向け供食サービス用として役割を果たしています。とはいえDsへの変更後も必要に応じて、食堂車(WR)1両を追加していたようです。
その食堂車でのメニューですが、伝統的なイタリア料理と、急いで食事を取りたい乗客向けの機内食タイプがそれぞれ用意されていたとのことです。
牽引機
E444形直流電気機関車
「かめ」の愛称が付けられていました。
実際の時刻表紙面
すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!
参考資料:
・Cook Continental Timetable、Thomascook International Timetable
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
・Die Geschhichte Des Trans Europe Express /Maurice Mertens、Jean-Pierre Malaspina 2009
参考サイト:TEE、Ambrosiano(Train)(ともにWikipedia)
ページ内写真:Flickr の各リンク