赤渕駅【岩手県】(田沢湖線。2017年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

当ブログでは、私の鉄道乗りつぶしの過程や、最近の乗り鉄のレポート等を中心に紹介いたします。


今回の【駅】コーナーは、
岩手県西部、雫石町西寄りの山間部入口に位置する田沢湖線における岩手県内西端の駅で、盛岡方面からの一部の列車が折り返す駅である、
赤渕駅 (あかぶちえき。AKABUCHI Station) です。
  
 
駅名  
赤渕駅 (駅番号なし)
 
所在地  
岩手県岩手郡雫石町  
 
乗車可能路線  
JR東日本:田沢湖線    
(※) 秋田新幹線『こまち』は停車しません。    
 
隣の駅  
盛岡方……春木場駅  
大曲方……田沢湖駅 (秋田県)     
 
訪問・撮影時  
2017年8月  
 
 

赤渕駅は地平駅で、南側の盛岡方(東寄り)に駅出入口があります。
北側に出入口はなく、北側から駅へアクセスするには約330m西の国道46号陸橋または約400m東のガードを通って南側へ回る必要があります。
駅舎は存在せず、直接構内踏切に入る経路になっています。構内踏切前にはバリケードがあり、自動車の侵入を防いでいます。バリケードの間には車いすが通れる幅の通路があり、バリアフリーに対応しています。
ちなみに昔に駅舎があったかどうかは不明ですが、スペース的には駅舎があったかもしれません。
出入口前はアスファルト敷の小さな広場になっています。バス停留所はなく、駅付近を通るバス路線もありません。
また、右側には汲取式の公衆便所があります。左側には保線用スペースがあります。
写真は北を望む。
 
 

駅前です。東を望む。左側に駅出入口があり、左前方には公衆便所が見えます。
奥へ延びる道路は国道46号です。国道沿いに小さな集落が形成されています。商店は見られません。
駅周辺は南北を山に挟まれていますが、東へ進むと田沢湖線と並行して流れている雫石川の谷が開けて盆地に入り、南岸には広大な田園地帯が見られます。
 
 

駅前です。西を望む。右側に駅出入口があります。
奥へ延びる道路は国道46号線です。こちらも国道沿いに民家が連なっています。商店は見られません。
駅西側は奥羽山脈の山奥になります。
田沢湖線は左へカーブして雫石川沿いに南西へ進みますが、国道46号は右へカーブして田沢湖線を乗り越し、雫石川の支流である竜川に沿って北西へ遡ります。両者ともトンネルで奥羽山脈を越えて秋田県に入り、両者が並走して田沢湖駅方面へ向かいます。
また、国道46号を北西へ進むと、田沢湖線の前身である橋場線の終着駅であった橋場駅跡があります(徒歩30分ほど)。遺構が残っているそうです。
 
 

駅出入口です。北を望む。
赤渕駅は無人駅で、改札機能は全くなく、乗車駅証明書発行機すらありません。『Suica』もエリア外です。
ちなみに赤渕駅では車内精算方式が採用されています。乗車時は巡回してきた車掌からきっぷを購入し、下車時は車掌にきっぷをお渡し下さい。尚、田沢湖線の少なくとも雫石~田沢湖におきましてはワンマン運転の列車は設定されていません。
バリケードを通ると構内踏切があり、渡って左へ曲がり、1番線と2番線の間にある通路を通ってスロープを登るとホームに到達します。スロープは手すりがなく勾配がやや急ですが、両側にある柵を手すり代わりに利用できます。また床面には点字ブロックが設置されていて、バリアフリーに対応しています。
トイレは右後方にあります。また、ホーム上には待合室があります。
尚、赤渕駅周辺に売店・コンビニはありません。ご注意下さい。
 
 

建植式駅名標です。電照式で、上部の灯具で照らします。
JR東日本の標準デザインですが、文字の書体が標準とは違い、文字が小さいです。
矢印の中央には黄緑色が表示されていますが、これは田沢湖線のラインカラー(紫)とは異なります。
赤渕駅には駅ナンバリングが導入されていません。
また、右側の電柱には行灯式の縦型駅名標が設置されています。
 
 

 

赤渕駅は島式ホーム1面2線の地平構造で、概ね東西方向にホームが延びています。
左(南)が1番線で下り大曲方面、右(北)が2番線で上り盛岡方面ですが、1番線は上り待避列車の入線や盛岡方面からの折り返しにも対応しています。
また、1番線の左側には保線用の側線があり、盛岡方(後方)のみで本線と接続しています。側線の左には作業用のアスファルト敷きスペース(保線基地)があります。
ホーム有効長は4両分ですが、線路有効長は8両分ほどあり、7両編成の秋田新幹線『こまち』同士の行き違いにも対応しています。
ホーム幅はやや狭いです。『こまち』の通過時は、両側とも分岐器が両開きである関係で高速では通過しないものの注意が必要です。
上屋は全く設置されていません。降雨時、降雪時の乗降は要注意です。
ホーム中ほどには幅が狭い密閉型の待合室がありますが、空調はありません。
そして、ホームの盛岡方の端にはスロープと通路があります。右後方に構内踏切と駅出入口があります。
写真は大曲方を望む。
 
 

こちらが待合室です。大曲方を望む。
内部にベンチと掃除用具入れまたは除雪用具入れのロッカーがあります。
両側に扉があり、雨風や雪はしのげますが、冷暖房はありません。
 
 

 

こちらは盛岡方を望む。右が1番線、左が2番線です。1番線の右には保線基地があります。
ホームの大曲方(手前側)に出入口はありません。奥側の盛岡方に出入口があります。
 
 

 

上写真はホーム端より、下写真は構内踏切より、いずれも盛岡方を望む。
通路の端を右へ曲がると構内踏切と出入口があります。
また、田沢湖線は秋田新幹線が走るため、標準軌に改軌されています。普通列車も標準軌専用車両(701系5000番台)が使用されています。
この先、左手に山並みが迫り、右側を通る国道46号と並行して雫石川に沿って東へ走ります。その後は山並みが遠ざかり、田園地帯に入ると国道46号が田沢湖線をオーバーパスして左へ遠ざかり、さらに左右に住宅地が見えてくると程なくして春木場駅へと至ります。
 
 

大曲方を望む。
雨上がりの朝方の撮影であるため、霧が濃くて写真奥にそびえる奥羽山脈の山々が見えませんでした。
また、戦前は田沢湖線の前身である橋場線が当駅付近から右へカーブして現・国道46号線と並行して北西へ進み、終着駅であった橋場駅へと至りましたが、戦時中に不要不急路線として休止に追い込まれました。戦後になって田沢湖線を建設するに当たり、仙岩峠の南側を回る現行ルートが選択されたため、橋場線の末端区間(雫石~橋場)は不要となり、国鉄分割民営化の時点で事実上の廃止となりました(ちなみに、現在線の雫石~赤渕は新線として建設されました)。
 
この先は山岳区間になります。すぐに国道46号が田沢湖線を乗り越して右へ離れると田沢湖線は左へカーブして竜川を渡り、雫石川の支流である志戸前川に沿って山間部を南西へ走りますが、断崖区間でもあります。その後は志戸前川の支流である大地の沢に沿って山深い中を短いトンネルの連続で西へ走ります。この辺り、木々に囲まれて眺望はあまり良くありません。冬期は大雪に見舞われます。そして分岐器がスノーシェルターで覆われている大地沢信号場を通過すると全長3,915mの仙岩トンネルに入り、トンネル内で秋田県仙北市に変わります。トンネルを出ると生保内川の谷を北西へ走り。やがて周囲が開けてくると右手に住宅地が見えてきます。そして仙岩峠では離れていた国道46号が右から接近して田沢湖線を乗り越すと住宅地の中を西へ走るようになり、程なくして『こまち』の停車駅である田沢湖駅へと至ります。
ちなみに赤渕駅と田沢湖駅の距離は18.1kmあり、田沢湖線としては最長駅間です。また、赤渕~田沢湖は山間部かつ豪雪地帯であり、雪害などの自然災害のリスクが高く現状でも冬季を中心に遅れが多発しているため、県境区間に「新仙岩トンネル」を建設する計画が存在します。もし新トンネルが完成するとルートが変更され、赤渕~田沢湖、ひいては東京~秋田の所要時間が短縮され、また遅延や自然災害のリスクが大幅に低減されるとされています。
 
 
あとがき  
私が赤渕駅で下車(乗車)したのは2017年の1度きりです。乗車していた田沢湖線列車が当駅で後方車両を切り離すため長時間停車したため、車外・駅外へ出ました。1面2線の小さな駅で、駅舎が存在しません。駅前は国道46号線沿いに小さな集落が形成されていました。尚、岩手・秋田県境にある仙岩峠は駅から10km以上離れており、県境の先にある田沢湖駅は徒歩で行ける距離ではありません。
 
東京からですと秋田新幹線の『こまち』に乗車して盛岡駅まで行き、田沢湖線の普通列車に乗り換えて当駅下車です。場合によっては雫石駅で普通列車に接続している場合がありますので、事前に時刻表を確認して計画を立てて下さい。普通列車の本数が少ないため、日帰り訪問はできるものの、タイトな日程になります(最大滞在時間…約5時間)。
一方、大阪からですと新大阪駅から東海道新幹線で東京駅まで行き、以降は上記と同じルートで到達できます。結構タイトな日程になりますが、日帰り訪問は可能です(最大滞在時間…約3時間)。
(飛行機の利用は考慮していません)
 
食料・飲料について、駅前や周辺にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店は一切ありません。約850m北西の国道46号線沿いに小さなドライブインがありますが、営業しているかどうかは不明です。必ず事前に用意して下さい。
  
東京、大阪とも到達難易度が非常に高いですが、田沢湖線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は赤渕駅でも途中下車されてみて下さい!
 
(参考:地理院地図、Google地図、Wikipedia)