名鉄蒲郡線は、観光需要の消失や沿線の過疎化に加えて不利な線形により厳しい経営を強いられて来ました。1997年12月、名古屋鉄道は不採算路線の運行見直しを発表、谷汲線や八百津線とともに、西尾線の一部(西尾ー吉良吉田)と蒲郡線も廃止検討路線の対象となりました。
2005年12月、名鉄の要請により西尾ー吉良吉田ー蒲郡間の利用促進と経費節減を目的とする"名鉄西尾・蒲郡線対策協議会"が発足、これにより名鉄と沿線自治体による様々な施策が講じられるようになりました。
この時点て蒲郡線の輸送人員密度はバス切替の目安と云われている4,000名/日に対して2,857名/日まで落ち込み、名鉄側としても『企業努力は既に限界を超えている』『大量輸送機関として鉄道の特性が発揮できないほどに利用者が少ない』と存続に対して否定的な意見が続きました。沿線自治体は『名鉄の公共交通機関としての責任』を訴え存続を希望、サイクルトレイン(自転車積込み列車)や蒲郡線均一運賃など試案も多く出され、サイクルトレインは2007年に西尾線福地ー蒲郡線蒲郡競艇場前で試験運用が行われています。
2007年度は初めて年間利用者が300万人を割込み、対策協議会には2009年からは愛知県も参画するようになりました。
2010年8月開催の第8回名鉄西尾・蒲郡線対策協議会に於いて
❶2010年度〜2012年度にかけて鉄道施設保有で必要な費用の一部を沿線自治体が負担する事
❷沿線学校、企業に利用促進の啓発活動や駅周辺の環境整備を行い利用を促す。
として名鉄・西尾市・蒲郡市の3社は路線維持に向け様々な対策を行いました。
2018年度の西尾線・蒲郡線の利用者数は340万9千人を計上し2009年度を底に増加へ転じています。
実は西尾線区間は増加を続けて輸送人員密度はバス切替の目安と云われている4,000人/日を超えて2008年度には4700人/日を計上しています。
一方で蒲郡線の利用者数は2008年度は167万人でしたが2018年度には161万1千人と減少し
輸送人員密度は2,000人/日を割り込んで、西尾線と蒲郡線では対策協議会の結果に大きな差が生じています。
近年、西尾線区間の利用者増は沿線住民の増加や観光需要の掘り起こしもあります。名鉄グループでは電車利用と沿線施設利用券をセットにした乗車券や企業通勤者への定期券への補助金交付(自治体より)など様々な施策を行なっています。
2022年には6000系白線帯車の運行が行われましたが、9月にはかつての本線直通特急"三河湾号"を(西尾線・蒲郡線内限定ですが)2000系ミュースカイを使用して復活運行されます。
にしがま号(2000系列車)運行予定日
- 9月10日(土曜日) 12時2分発
- 9月10日(土曜日) 14時2分発
- 9月23日(金曜日・祝日) 12時2分発
- 9月23日(金曜日・祝日) 14時2分発
なお、この列車に乗車できるのは蒲郡市に在住・在勤の方に限られています。