KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2022.08.31

初登場となる京成線からの特急三崎口行。

D39712.jpg

京急1500形 1719編成
2022.5.26/京成立石〜青砥

▲三崎口・京急久里浜から青砥・京成高砂を発着する列車のうち、唯一京成線内を特急として走る1654H特急三崎口行。平日に1本のみの珍列車となっている
  • [平日]1654H 特急三崎口
  • 始発:青 砥1643 → 終着:三崎口1826
  • ダイヤ:2022.2.26改正
  • 備考:

平日1654Hは、京成線で平日1本のみ設定されている特急三崎口行である。2022年2月ダイヤ改正で登場した列車で、京成線内で特急三崎口行が走るのは初めてのこと。同改正では、都営浅草線内でエアポート快特が削減された影響で、日中時間帯に三崎口・京急久里浜〜青砥・京成高砂を走る列車のうち約半数が京成線内で快速特急として走るようになったが、1654Hはこの運行系統の変わり種。この列車だけ特急として走る。どうして快速特急ではなく特急なのだろうか。

1654Hが特急として走る理由は、単純に京急線内も特急となるからと考えられる。都営浅草線から京急線に直通する京急久里浜行・三崎口行は、日中時間帯は快特だが、夕方以降19時台までは特急として走る。1654Hもその1本。どうせ特急になるなら最初から特急としておけば「この電車は次の押上で種別が変わります・・・」といった余計な案内をしなくて済むし、種別の再設定の手間も省けるというもの。日中時間帯から夕方のラッシュ時間帯に移行する段階で出現する、典型的な珍列車と言えよう。

そして興味深いのは、この列車の出現により、青砥あるいは京成高砂発着で京急線方面に直通する列車において、押上線内で優等運転を行う列車の種別の付け方に変化が生じたこと。青砥・京成高砂発着の都営浅草線直通列車においては、押上線内で通過運転をする場合に、その列車にどういった種別を付けるのかはなかなか悩ましい。なぜなら、青砥・京成高砂発着の列車であれば、快速も通勤特急も特急もアクセス特急も快速特急も停車駅は同じだからだ。極端なことを言えば、通勤特急で青砥・京成高砂〜押上を走ったって構わないわけである。どうせ種別は押上でリセットされるのだし。

従来、三崎口・京急久里浜発着の列車が押上線内において優等運転を行う場合は、その種別はかつて急行で走っていた列車があった経緯から、快速として設定されていた1)。2010年7月ダイヤ改正で設定された1620Hや2022年2月ダイヤ改正までの2386Hなどがこれに当てはまる。しかし、今回はこの1654Hが京成線内も京急側の種別に合わせるということで、2386Hも始発の青砥から特急に変更されている。要するに、種別の付け方が京成側の視点から京急側の視点に変わったのである。

京成側の都合を考えれば、京急久里浜・三崎口発着の押上線快速特急は青砥で京成本線の快速に接続するのだから、京成線内を快速として走るのもアリかと思われる。しかし、今回は京急側の種別に合わせるという、新たな基準が示されることとなった。

  • 1)2010年7月ダイヤ改正で押上線急行が廃止されるにあたっては、それまで押上線内を急行で走っていた列車のうち、引き続き押上線内で通過運転を行う必要があるものは一律に快速に格上げされた。

スポンサーリンク

関連記事

四直珍列車研究 124 - 平日 1854T

ありそうでなかった快速特急西馬込行が登場。2022年2月ダイヤ改正では、京成本線を走る都営車がやたらと増えたことを以前の記事で紹介した。平日14往復分、土休日11往復分の設定はおそらく過去最多...

四直珍列車研究 124 - 平日 1854T
四直珍列車研究 122 - 平日 914T・1906T

都営車の新鎌ヶ谷行きが21年ぶりに復活。2022年2月に実施されたダイヤ改正は、各社局とも新型コロナウイルス感染症の影響による利用状況を受けた運行見直しにより減便や種別格下げなど苦しい内容が...

四直珍列車研究 122 - 平日 914T・1906T
四直珍列車研究 121 - 平日 2386H

平日深夜に運転されていた快速神奈川新町行。平日2386Hレは、かつて平日深夜に運転されていた快速神奈川新町行である。快速神奈川新町行が定期列車として走るのは、2002年10月ダイヤ改正で現行の...

四直珍列車研究 121 - 平日 2386H
四直珍列車研究 120 - 平日 1239N・1439N

北総車の快特青砥行が初登場。平日1239Nレ・1439Nレは、北総車で運転される快特青砥行である。2022年2月ダイヤ改正で設定されたもので、北総車の快特青砥行は平日に2本だけ見られる珍列車と...

四直珍列車研究 120 - 平日 1239N・1439N
四直珍列車研究 119 - 土休日 1808K

京成線ではまもなくダイヤ改正が行われる。ダイヤ改正直前というわけで、恒例としている消えてしまう珍列車をご紹介しよう。土休日1808Kレは快速特急羽田空港行である。快速特急羽田空港行そのものは特に...

四直珍列車研究 119 - 土休日 1808K

最新記事

2025.04.26

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

表現するならば、「激震」。4月1日、京成グループでは傘下のバス事業会社の再編を実施した。京成電鉄の完全子会社となる京成電鉄バスホールディングスを持株会社として新たに設立。その上でグループ15社...

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

2025.04.20

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

今年も春がやってきた4月20日、臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。同日に北総鉄道がイオンモール千葉ニュータウン提携駐車場で開催するイベント「ほくそう春まつり」に合わせて運転される恒例の...

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

2025.04.15

京成グループ 車両の動き(2024年度)

京成グループにおける2024年度の車両の動きをまとめてみよう。2024年度の車両の動きの目玉は、やはり3100形以来6年ぶりの新型車両となる3200形が登場したことであろう。今年度は日本車両製の...

  • 京成
  • タグはありません
京成グループ 車両の動き(2024年度)

2025.04.10

京成電鉄 松戸線が開業

Hello! Matsudo Line 4月1日、京成電鉄は新京成電鉄の吸収合併を実施した。これに伴い、新京成線は同日より京成松戸線として運行を開始。1947年12月に新津田沼〜薬園台で産声を...

京成電鉄 松戸線が開業

2025.04.06

京成3000形 「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマーク(2025年)

今年も桜に染まるまち、佐倉。京成電鉄では、3月中旬より3000形において「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマークの掲出を行った。同社と佐倉市が毎年この時期に実施している観光キャンペーン「桜に染まる...

京成3000形 「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマーク(2025年)

スポンサーリンク