芸備線 と 持続不能の日本・その11 | 安芸もみじ / Photos, Historys, Trains - Hiroshima JAPAN

芸備線 と 持続不能の日本・その11

-芸備線と維持困難路線・その11-

昨日の115系と同じ5月22日に、南岩国駅と岩国駅で撮影したキハ40系です。

下関と広島を結ぶ5両編成のキハ回送の下り列車ですが、115系と同じように蓮根畑の広大さを意識して撮ってみました。

ただキハ40系は1本の列車を連続で撮影しています。



南岩国駅へ8両編成で到着すると、先頭車は嵩上げされていないホームで下車することになります。

東から岩国駅までは低床ホームから電車ホームへ変わる途中で、その中間の高さの時代があって、デッキとステップの無い車両と有る車両の両方に対応していました。

が、南岩国駅はその中間時代が無いため、115系で嵩上げされていないホームへ降りる際には、まさに飛び降りる感じです。



ホームの大まかな高さは階段2段分近いので、それが面白くて編成が長い時や跨線橋の解体工事中で停止位置が移動されていた頃には、わざわざ先頭車に乗っていました。

しかしキハ40系が通過して行く姿を見ていると、ホームの高さは丁度良い感じで、まさに一昔前の汽車ホームそのものなんだなぁと感じます。

蒸気機関車が電気機関車に変わっても、客車列車が往来していた時代に思いを馳せ感じられる駅••••••••それが南岩国駅ではないでしょうか。



さて、JR西日本の非電化区間の主力は、キハ120系が誕生してもいまだにキハ40系です。

確かに名車であることに間違いはなく、昔ながらの旅情を楽しむには、これほどの車両はないでしょう。

しかし沿線の住民が普段使いするには、やはり快適性に劣ることも現実的な問題点です。



芸備線において利用客が高速バスに流れるのは、運賃と時間だけの問題ではなく、利用者が快適に過ごせる居住性にも問題があることは間違いありません。

鉄道が高速大量輸送の役目を果たせていないとJR西日本は言いますが、2022年という現在において1980年代という40年前の価値観の供用は、旅客離れに直結しています。

三次市や庄原市へ行くにあたり、列車に乗ること自体が面倒臭いという拒絶感に、長らくJR西日本は無関心でいました。



本来、車内設備が整っていればバスの方が快適な筈はなく、あの広くて自由な車内というキャパシティを考えても、居住性を上げれば時間が多少かかっても、列車を選択する旅客は潜在的に多いのです。

それは高度成長期やバブル期の時代ならともかく、あくせく迫られない今の時代では自分の時間を大切にしたい人も多く、鉄道ファンではない列車旅を求めている人々が、それを望んでいるからに他なりません。

過去の記事でインフラ・ビジネス・エンターテイメントの3つが再生事業に必要だと述べましたが、移動手段の車両の居住性も重大な必須要件と思われます。



上のユーチューブへのリンクは、1968(昭和43)年に日本国有鉄道が制作した「生活の中の鉄道・ローカル線編」です。

動画の中でナレーションにて語られている話しは、今現在赤字ローカル線の問題で言われていることと全く同じで、音声だけを現在の映像に乗せても誰も疑わないでしょう。

下のリンクは去日に公表された国交省で指針を示すための案が、有識者会議を経て公式に指針として発表されたことを受けてのTVニュースですが、ここへ来てやっと誤った日本の交通政策に是正のチャンスが訪れたように感じます。

ーご了承事項と免責事項ー
● 芸備線と持続不能の日本のシリーズは、第1回からの連載となっています。

● 以前の記事を前提として積み重ねで記して行くので、特にスポットを当てた回でない限り、同じ解説を本文内では致しません。

● このシリーズは日本国の法律を基とした下記の既成事実を、中立的に私一個人の思いを綴っていますことを、ご理解とご了承のお願いを致します。

▼ ローカル線が使い辛いのと鉄道の優位性が発揮できないのは鉄道会社の責任で、沿線都市へ人が訪れない原因は、受け入れ態勢が脆弱な各自治体の責任である。

▼ 日本人口の減少と山間都市の過疎化は国政の責任で、諸問題を先送りにして国鉄分割民営化を強行させたのは国民の責任である。

▼ 公共交通の提供は日本国憲法と交通政策基本法に定める基本的人権の1つであり、安易に国民の権利を奪うことは許されない。

▼ 街の活性化は住民と訪問者の両輪が必須で、そのためにはインフラ・ビジネス・エンターテイメントの3要素に、恒久性が欠けては成立しない。

▼ 諸問題を先送りにして実行された諸事案件は、当時の有権者の責任であることは間違い無いが、先送りが実行された以上は当時まだ未成年や未誕生だった国民が、現在と将来においてその全ての責任を負わなければならない。


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