東京国際フォーラムで3年ぶりに開催されている国際鉄道模型コンベンション(JAM)にいってきました。

 

普段は雑誌やウエブで作品を拝見している名人達に直接ノウハウを教えていただけるのはこの上なくありがたいし(声をかけるのには少し勇気がいりますが、皆さん、実に親切に教えてくださいます)、松本謙一さんの「天賞堂とともに Since 1951」と題する講演も、すごく面白かった。

 

けど、何より嬉しかったのは、なかおゆたか氏のレイアウトセクション「蒸気機関車のいる周辺」をみることができたことです。事前の情報やパンフでは、この作品を展示することは告知されていなかったと思うので、いきなり目の前に現れた名作に、しばし言葉を失いました。

 

このセクション、1969年に制作されて、TMSの251号、252号に掲載されたものです。小生がTMSの購読を始めたのは308号からなので、リアルタイムでは読んでいませんが、レイアウトテクニックに掲載された記事は、穴があくほど読み返しました。

 

小生、過去に1度だけ、この作品を見たことがあります。20年近く前に出張の際に立ち寄った大阪のマッハ模型に展示してあって「なかお氏から寄贈を受けた」とありました。安住の地のはずだったそのマッハ模型が今年の6/20に閉店してしまったので、このセクションがどうなったのか心配していたのですが、ちゃんとこうして残っていたのですね。今後どうなるかはどこにも説明がありませんでしたが、日本の鉄道模型史に残る傑作として、イモンさんあたりが常設展示してくださると、実にありがたいのですが。というか、本来だったら国かJRさんが買い取って大宮やら、京都やら、名古屋の博物館に飾るべき作品ですよねえ。

 

会場の展示ではロコが6台が乗っており、作風が共通しているので中尾氏の手によるものだと思うのですが、確証はありません。ただし、C51だけは、説明が置いてあったし、デフレクターに虫のマークが入っているので、間違いなく中尾氏の作品です。今のロストワックスパーツてんこもりの、ウルトラディーティル機とはまた違った端正な作風に、しばしうっとりさせられました。ダイモテープを使った、コンパクトなスイッチパネルもカッコいいですよね。

 

それにしても、市販のシーナリー素材も少なく、ウエザリングという言葉さえまだ一般的でなかった時代に、これだけの落ち着いたリアルな情景を作り出したセンスと技量には、本当に感服せざるを得ません。

 

貴重な作品の展示を実現してくださった主催者様には感謝の言葉しかありませんが、今回ちょっと心配だったのは、通電されて豆電球がずっと点灯されていたことです。それがさらに実感を増しているのですが、ハテ、万一電球が切れちゃったら、誰がどうやって交換するのでしょうね。何せこの作品、多くの壮年モデラーにとっての憧れであり、宝物ですから。

 

JAMは本日、明日も開催されます。お台場は遠いですが、この作品を見るだけでも1,200円の価値があります。しっかりマスクをして、お出かけください。